地方創生のための予算が未消化だとのニュース。地方創生は2014年に安倍政権が始めた。初代担当相は石破現首相。あれから10年が過ぎた。でも、この10年間の日本の実質成長率は年平均0.5%にとどまった。2014年に1.42だった合計特殊出生率は2023年に1.20まで落ち込んだ。地方創生予算の2023年度末までの執行状況を確認できたのは292事業。うち26事業は予算の過半を使い切れず、国庫に返納していた。自治体の施設整備支援、テレワークによる移住推進、商業施設の改修補助等は半分以上も使い残したのだ。地方創生の予算付け理由が、如何に実態とかけ離れているかが良く分かる。なのに石破は、地方創生に2024年度比で倍増の2000億円の交付金を計上した。更に新しい地方経済・生活環境創生本部の初会合で「何がうまくいかなかったのか反省をきちんとしないと、これから先の展望はない。金額だけ増やしたということでは何の意味もない」と言及した。仰る通りだが、これでは実行と結果があべこべだ。予算を付ける前に、反省しなければならない。反省してからこそ、有効的な予算が組める。予算と反省の同時進行は有り得ない。
生活が苦しい人に無料で食事を振る舞う飲食店は「思いやり食堂」と呼ばれ、最近、中国の都市部で広がっているとのこと。北京にはメニュー表にない隠語「唐辛子肉炒め丼」を注文すれば支払いは不要という中華料理店があるという。メンツを重んじる中国人を思いやり、店主が自発的に生活困窮者へ食事を提供しているのだ。都会で助け合いの輪が広がることに、心が温まる思いがする。だが、裏返せば「救い」を求める人が増えているという寒々しい現実なのだ。中国政府も昨年末から生活困窮世帯への支援を強化する方針を打ち出したとのこと。中国経済は大減速している。経済減速による若者の就職難、リストラや企業倒産の増加によって、都市部を中心に新たな貧困層が出現している。中国は格差社会でもある。これまで貧富の格差は、高所得層が急速に豊かになることで引き起こされてきた。ところが、今後は中低所得層の収入が落ち込むことで格差が広がる構造に変化する。習近平はこれまで「強国建設」を掲げてきたが、社会的弱者を支えるセーフティーネットを整備し、庶民の安心感や希望を取り戻すことに舵を切り替えることが求められている。出来るだろうか。
永遠の疑問だった「ナスカの地上絵は誰が、いつ、何のために描いたのか」を坂井正人山形大教授が解明したとのニュース。今まで見つかっていた地上絵は430点あったが、坂井教授らは新たに303点発見したという。地上絵が描かれたのは紀元前100年~紀元後300年ごろと考えられている。忘れ去られていた地上絵に光が当たったのは1920年代。1994年世界遺産に指定された。坂井教授らはAIを駆使し発見したので「考古学分野のAI革命」とも呼ばれている。坂井教授らによると地上絵には2種類あるという。1つは、ハチドリやコンドルなどの野生動物が90m規模で描かれている「線タイプ」と呼ばれるもの。もう1つは、地表に凹凸をつけているが、平均約9メートルと小さい「面タイプ」と呼ぶもの。今回の発見は全てこの「面タイプ」だった。坂井教授らは、線タイプは「聖地巡礼の発着点に設けた儀礼広場」とみている。一方、面タイプは文字に代わる掲示板のような情報共有のツールだったのだろうと推測している。ナスカの人々は文字を持っていなかった。絵の並びにも意味があり、道を歩きながら絵巻物のように見ていくことで、人身供犠の意義や家畜の繁栄などの価値観を共有し、次世代に受け継ぐ意味があったという。ナスカの地上絵は、決して宇宙人へのメッセージなどではなかったのだ。
石破首相の初めてのトランプとの首脳会議は大成功に終わったとマスコミが報道している。どうやら杞憂に過ぎなかったようだ。トランプが日本に脅しをかけることは当面無いことが明らかになった。成功の要因は何だろうか。対米投資などの土産をどっさり用意し、経済投資話に終始したことだ。USスチール買収計画は買収ではなく投資だと提案し、何と対米投資を150兆円まで引き上げると表明した。会談前の安倍元首相の遺産、防衛費を倍増した岸田前首相の前払いが功を奏した。何よりも事前準備が完璧だった。トランプの性格、好み、コミュニケーションスタイルなどを徹底的に調べ上げ、分析したうえで、この日の会談に臨んだ。石破は関係者から何日も講義を受けたという。そのポイントは、抽象的でなく具体的な話をすること、結論を先に、話は簡潔に、トランプを褒めること、だったとされている。是非とも国会においても「具体的に、結論を先に、簡潔に答弁すること」を願いたいものだと思う。人間やれば出来るのだ。
長らく使っていたiPhone8をiPhone15に機種変更することになった。iPhone8の生体認証は指紋だが、iPhone15は顔認証に変わるという。マイナカードの顔認証はエラーが多いことで有名だ。そこで少し心配になり調べてみた。マイナカードの顔認証は、化粧、メガネ、髪型が変われば認証しないことが多いという。マイナカードは平面的な写真だけを使い、目や鼻、口、耳といった顔の特徴点を手掛かりに、写真と同一人物なのかを判定している。そればかりではない。マイナカードの顔認証機は5社が作っていて、メーカー毎に異なっているし、写真の鮮明さも影響しているとのこと。それに較べiPhoneの顔認証は、平面的な写真だけではなく、赤外線カメラなども活用して顔の3Dデータも使っている。では、マイナカードも3Dデータにしたらと思うが、ICチップの性能面から無理だという。デジタル庁は2026年に、現状のマイナカードよりも機能を向上させた次期個人番号カードを導入しようとしている。しかし、現状の顔認証でも「大きな支障が生じていない」という判断から、白黒の平面的な画像だけという今のままとなる予定とのこと。結局、マイナカードの顔認証はセキュリティの強化ではなく、顔写真による盗用防止のためにあるようだ。
外国産コメの民間輸入が拡大している。2023年度は368tだったが、兼松は2万tを輸入するという。近所のスーパーでもカリフォルニア米を売り出した。国内産は5kgで3700円だが、隣に置いてある米国産カルローズは2700円と国内産より安いのだ。農水省の管理ミスにより2000円だったコメが倍額になり、米国産よりも高くなってしまったのだ。最早2000円には戻りそうもない。外食業界はコメ確保に汲々としている。商社各社は今後民間輸入を大幅に増やすに違いない。日本人の主食であるコメを輸入に頼って良いのだろうか。農水省は未だに「コメは作るな」政策を取っている。食糧安全保障の強化が求められるのに、コメ政策は逆行している。今こそ、コメ政策を大転換しコメを増産すべきだ。現在のコメの消費量は約700万トンだが、田んぼをフル活用すれば、年間約1300万トンのコメを生産出来る。日本のコメは旨いので高額で輸出出来る。酪農の飼料としても使える。増産によりコストも下がる。一石二鳥だというのに、農水省は一体何を躊躇っているのだろうか。
ホンダと日産の経営統合が白紙になった。当初統合を前提としていたが、ホンダが日産の子会社化に舵を切ったからだ。ホンダから見ると、日産の再建策は甘く、対応が遅いからだ。一方日産から見れば、ホンダの変わり身が速く不信感を募らせたからだ。実際、日産の再建策は甘過ぎる。日産の生産能力は500万台だが320万台しか生産出来ず、稼働率は6割しかない。メキシコのダイムラーとの合弁工場と追浜工場は閉鎖すべきだが、日産はそこまで踏み込めない。日産が窮地に陥っているのは北米事業の悪化にあるが、北米事業の責任者を切れず、役員の抜本的な改革も出来ないでいる。このまま統合に進めば、ホンダは大きなお荷物を抱え込むだけで、共倒れするのは目に見えている。統合話が白紙に戻るのは当然だと思う。それにしても、日産の役員らは、何故統合撤回を決めてしまったのだろう。抜本的な構造改革もしない、役員の首もすげ替えないでは、お先真っ暗だ。恐らく、子会社化ということに役員らのプライドが許さなかったに違いない。でも、そのプライドが日産を消滅の道へと進めているというのに。
DeepSeek-R1に関する中島聡氏のコメントが為になる。中島聡氏とはWindows95の生みの親で、秀逸なコンピュータ技術者であるし、その道の達人だ。言わばこの道の神様的存在と言える。中島聡氏曰く「DeepSeekの発表で、Nvidiaの株価が17%も下がったが、それは一時的な動揺で何の問題も無い。現在、MicrosoftやMetaは1日でも早く人間よりも賢い人工知能を作るためのスピード競争をしている。1万台のGPUで6ヶ月かかる場合、2万台のGPUがあれば3ヶ月で作れる。だから、過剰とも言えるほどのAIインフラ投資が行われている。それがDeepSeekの出現で、これまでの10分の1のコストで人工知能が作れるようになるかもしれないと言うことは、10分の1の時間で、人工知能を開発出来ると言うことになる。更に「オープンな人工知能がクローズドな人工知能に追いつくスピードがさらに短かくなり、米国と中国の技術力の差が縮まった、人工知能の低価格化がさらに進んでいる」と指摘している。結論としてDeepSeekの出現は「AIインフラへの投資意欲が失われることはなく、投資意欲は高まる可能性が高い」と指摘している。因みに、DeepSeekはオープンウェイトという、誰でも同じ人工知能を自分で走らせることができるものなので、ローカルデバイスや、米国のサーバーで実行する場合には、その危険は無いとのこと。日本では安心してDeepSeekを活用すべきということかもしれない。
トランプの関税狂騒曲が始まった。2月1日、トランプ大統領はカナダ、メキシコに対して25%の関税、中国に対して10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名した。ところが直後の3日、トランプ大統領は発動を30日間延期する大統領令を発出した。いずれもカナダ、メキシコ両首脳との電話会談で、対策を取っていると判断したからだとしている。でも、当初から発動を3月1日に延期する方針だったのが真相とのこと。いずれにしてもブラフ政治であることに違いはない。トランプは就任演説で、議会襲撃事件の恩赦、政府効率化省の設置、パナマ運河奪還、パリ協定離脱、エネルギー非常事態宣言、多様性政策撤廃、メキシコ国境の非常事態宣言、出生地主義の廃止、不法移民の強制送還、石油・天然ガスの積極的採掘、グリーンニューディール終了、EV優遇策廃止、貿易システムの見直し、対外歳入庁の設置、言論の自由の徹底、建国の精神・愛国心教育等の改革を並べた。常人は良識・常識を真っ向から覆されると、意外とすくむものだ。さて、何時になったら反撃するのだろうか。
コンゴ民主共和国を中心に「死に至る病」として恐れられているエムポックスが急増し、重症例・死亡例が増えているとのニュース。昨年夏WHOが緊急事態宣言を発表した。現時点で日本では流行していないが、今後訪日外国人の増加や海外渡航をする日本人が増えれば国内でまん延する恐れは無くも無い。治療薬の準備が必要だ。海外ではデンマークのワクチンが広く使われている。だが、日本では承認されていない。日本製のワクチンも発売されていない。厚労省は先月、米国の製薬会社SIGA Technologies社の「テコビリマット」を承認した。そしてSIGA Technologies社は日本が承認したと発表した。ところが、その発表は世界中で物議を醸し、米科学誌Scienceでも大きく取り上げられることになった。何故なら、テコビリマットは二つの臨床試験で有効性が否定されていたからだ。厚労省は、効かない薬を承認したのだ。Scienceの取材に対し、日本の医薬品を承認する機関の医薬品医療機器総合機構は「特定の薬剤に関する質問には答えない」と回答したとのこと。新聞も週刊誌も取り上げるべき問題だと思う。
日産の経営再生のためのホンダ・日産経営統合の方向性が彷徨い続けている。1月末までに方向性を見定めるとしていたが、2月に先送りされた。昨年11月に発表した再生計画では9千人を削減するとしていたが、未だに具体案は無い。労使協議も無いし、従業員への説明も無い。最近は日産の子会社化が言われ出した。従業員の不安は募るばかりだ。内田日産社長の無能さが際立っている。そもそも、ホンダ・日産の経営統合話が唐突に生まれたのは何故なのだろう。鴻海が日産を買う情報が入り、経産省が「鴻海に取られる位ならホンダと統合させてしまえ」とでも考えたのだろう。ホンダはホンダイズムが徹底しているが、一方日産は官僚気質だ。統合するには無理がある。子会社化では日産社員が浮かばれない。幸か不幸か、鴻海には元日産NO3の関EV事業最高戦略責任者がいる。日産はゴーン改革の影響でHVに後れを取った。今更後追いは出来ない。幸いEVでは先行している。現在EV市場は世界的にシュリンクしているが、逆に言えばチャンスでもある。この際、鴻海と組んで、EVの新世界を切り開くべきだと思う。
コメの価格がほぼ倍に高騰している。流通段階でのコメ不足が深刻になっているからだ。少なくともコメ17万tの在庫が行方不明になっている。農水省は、新米が出回ればコメ不足は解消するとして、備蓄米を放出しなかった。でも、新米が出回っても解消しないのだ。農水省は、JAや大手集荷業者の在庫しか把握していないので、コメ17万tの行方が分からないのだ。コメは日本人の主食だ。急激な価格変動はあってはならないというのに、農水省は一体何を管理していたのだろう。農水省は、2月の状況を見て、備蓄米の放出を考えるとしている。結局、コメ高騰の要因は、農水省の2つのミスだと思う。1つは、現状の流通状況を把握せず、在庫をしっかり管理してなかったこと。もう1つは、管理ミスで生じたコメ不足に対し、機敏に備蓄米を放出しなかったこと。この2つを実行していれば、コメの価格がほぼ倍に高騰することは無かったはずだ。