2023年6月

新聞社の責務とは何

新聞社の責務とは何なのだろうか。基本は真実を正しく伝えることだと思う。更に、単に客観的報道をするだけでなく、問題を解決するための事実を集め、読者に問い促す課題解決型報道こそ、新聞社の責務の極致だと思う。そんな例がある。富士川を長期取材した静岡新聞だ。事の発端はサクラエビ漁の異変だ。1960年代の最盛期には年間7000トン超、2000年でも2000トン超だった漁獲が、2018年以降100~300トンに落ち込んだ。温暖化の影響では説明がつかない。まずは富士川の上流で問題になっている堆砂問題から始まった。国策民営会社の日軽金の雨畑ダムの管理不良で、総貯水量以上の土砂が堆積し、雨畑地区で浸水被害が起きた。でも国交省は問題を先延ばしした。更に日軽金の子会社はダムの堆積土砂を使って砕石製造を行っていたが、砕石後に出てくる濁水に凝集剤を混ぜた汚泥を富士川に垂れ流ししていた。この投棄とアユとサクラエビの不漁の時期が一致していた。しかし、山梨県は業者に対して行政指導のみで刑事告発をしなかった。富士宮市議会と富士市議会が国と県に河川環境の改善を求める住民の請願を採択し、不法投棄が止んだ3年後にアユとサクラエビが戻り始めた。更に日軽金が過去35年間にわたり大幅な不正取水を行なっていたことが判明。結局80年間も続けられた不正行為が、静岡新聞の取材・公表で断ち切られたのだ。静岡新聞の「川は誰のものか」「海は誰のものか」の切り込みが、サクラエビ漁を復活させたと言える。まさに課題解決型報道の手本なのだ。

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くさび形文字の解読

中学・高校の世界史の授業で思いで深いのは「くさび形文字」だ。半世紀以上前に習った時は、解読が出来ていないとのことだった。でも未だに解読は進んでいないようだ。ところが、イスラエルの考古学者とコンピュータ科学者が今流行りのAIを使って翻訳にトライするとのこと。アッカド語の「くさび形文字」は、古代メソポタミアで紀元前3000年頃から使われていた言語だ。アッカド語は紀元前2000年頃に、バビロニア語とアッシリア語という二つの方言に分かれ、紀元前6世紀頃からはアラム語に取って代わられ、徐々に消滅してしまった。現存する石板は50万枚近くあり、その大部分が解読されていないという。解読が進めば、人類の歴史のもっとも初期、アッカド人の文明や信仰、そして彼らが何を話し、何を書き留めようとしたのかを知ることが出来る。しかし、AIで解読するといっても、問題は山積みだ。デジタル化された石板は数万枚しか無い。AIに学習させるには少な過ぎるのだ。またアッカド語が存在した3000年間に文字自体が大きく進歩し、初期と後期ではくさび形文字自体が異なるのだ。更に、言語の構造が英語とは根本的に異なるのも厄介だ。それが一語ごとの翻訳を不可能にしているので、文の要素を再構築しなくてはならない。でも、解読作業はAIの得意分野だ。成功すれば、世界史が生まれ変わるかもしれない。

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日本にも存在する東西の壁

日本にも「東西の壁」が存在するという。場所は米海軍厚木基地の南。広さ30ヘクタールを超す大公園の中央に「東西の壁」がある。壁を隔てて、大和ゆとりの森と綾瀬スポーツ公園がある。大和ゆとりの森は、その名の通り大和市に属し、綾瀬スポーツ公園は綾瀬市に属している。両公園の境は長さ約700m。植栽とフェンスで分断されている。フェンスは前大和市長時代の2015年に「両市の管理区分を明確にするため」に設置されたとのこと。市民は不便さを訴えている。大和市長が代わり、フェンス撤去に前向きな姿勢を示しているという。市長は市民からフェンスの設置目的を尋ねられると言葉に詰まり「綾瀬市と大和市が、いろいろありましてね」とお茶を濁したという。その「いろいろ」については言及しなかった。綾瀬市と大和市が仲が悪いのは間違いない。結局、縦割り行政の弊害なのだ。行政の意地が市民に不便をかけているのだ。長野市の公園廃止のような判断ミスに陥らなければ良いのだが。何処の行政も、市民ファーストとは程遠いようだ。

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バイデンによる防衛費倍増

バイデン米大統領が6月20日支援者集会で「日本の防衛費倍増について、私が岸田を説得した」と語った。この集会でバイデンが発した「習近平は独裁者」発言が世界中のマスコミで大きく取り上げられたので、その時は「岸田を説得」発言は小さなニュースだった。でも、日本では大きなニュースとなった。当時岸田が防衛費倍増と言い出したのは唐突だった。しかも増税で補うと言ったのだから蜂の巣をつついたような騒ぎになった。国会では、野党が「増額は対米公約か」と迫ったが、岸田は「我が国の防衛費は我が国が主体的に決めるもの。決して対米公約ではない」と否定していた。防衛費の大枠を示したものの、肝心の中身はスカスカ。必要な装備や人員などにかかる経費を具体的に積み上げた額ではない。日本の国民なら誰でも憶測出来る。岸田はバイデンに強制させられたのだと。自分も瞬間的にそう思った。ところが、バイデンは27日になって「岸田は既に決定しており、説得は必要ではなかった」と修正した。何のことは無い。松野官房長官がバイデン発言は「防衛費増額は日本自身の判断」とする政府の立場と相いれないとして異論を申し入れたからだ。これは嘘の上塗りになる。政府はまたまたバイデンに借りを作ってしまった。益々米国の言いなりになる土壌が出来てしまった。岸田には、しっかりした後見人が必要だ。

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一昨日の四十九日の続き

仏教では、人は亡くなってから49日間裁判を受けて転生が決まり、霊から仏になって骨はお墓に入る。即ち殆どの人々は、49日後に転生が始まることになる。と言うことは、お墓には骨が納められるだけで、転生した仏は入っていないということになる。日本のお墓の中には、先祖や父母の仏はいないのだ。お墓はモニュメントであり、モニュメントを通して亡き人々を思い馳せるものなのだ。和尚さんが言っていた。お墓に水を掛けるのは、死に水と同じで、死者のよみがえりを願う儀式とのこと。では、海外ではどうだろう。9.11の犠牲者を偲んで「千の風になってDo not stand at my grave and weep」が歌われた。その詩には「私のお墓の前で泣かないでください そこに私はいません 千の風になって あの大きな空を 吹きわたっています」とある。キリスト教が主流の米国においても、亡くなった人はお墓の中にはいないのだ。自分の父や母が亡くなった30年前ころは、お墓の中に魂はいると思っていた。だが、義母の葬儀を通して77歳にしてお墓の存在意義を知った次第。

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昨日の四十九日の続き

昨日の四十九日の続き。日本の仏教宗派の数は多いが、殆どの宗派は四十九日で霊から仏になりお墓に入る。四十九日の間、故人はネチネチと毎週裁判にかけられるのだから、死んだ後も苦労する。でも、四十九日を待たずに、即仏になれる宗派もある。浄土真宗だ。浄土真宗と言えば、親鸞の「善人なおもて往生す、いわんや悪人をや」が有名だ。この悪人とは犯罪者のことではない。自分は悪い行いをしたと自覚していて、それでも仏様にすがって極楽に行けるように願っている人のことを指す。悪行をしても、一心に仏様にすがれば極楽に行けると発想転換したのが親鸞の浄土真宗だ。だから、各宗派の中で浄土真宗の信者数が最も多いのだ。因みに、1位が浄土真宗の西本願寺派792万人で、2位は東本願寺派791万人で、3位は浄土宗602万人で、浄土真宗が飛び抜けている。西本願寺派と東本願寺派に分かれているのは、徳川家康が大名より勢力のある浄土真宗の分断を図ったからとのこと。一方で最近では無宗教派が増えている。我が家も無宗教なので、葬儀は献花だけとし、墓は流行りの樹木葬にしようと考えている。自分は分骨して平塚の海に海葬してほしいと望んでいる。子ども達が墓参りなどするよりも、平塚の海を見たときに、ここに居るんだなあと思ってくれれば、それだけで充分だと思うのだ。

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今日は義母の四十九日

早いもので今日は義母の四十九日だ。無事納骨も済んだ。義母の家系は元々日蓮宗だったはずだが、お寺は曹洞宗に替わった。葬儀の日に初七日も済ませるのが当たり前の時代になっている。そこで、そもそも初七日って何?何故納骨は四十九日なの?との疑問が湧いた。調べてみた。仏教では亡くなると輪廻転生を繰り返して徳を積み、極楽浄土を目指すと信じられている。亡くなってから49日後に生まれ変わりの行き先が決まる。霊はこの49日間、現世と来世の間を彷徨っているのだ。その行き先がどこになるかは、七日ごとに行われる裁判で決まる事になる。初七日は、不動明王によって生前への未練が断たれ、生前の殺生について調べられる。その裁判の結果、三途の川が激流か緩流か、橋の上を渡れるかが決まる。二七日は、三途の川を渡った後、奪衣婆に衣服を剥ぎ取られ、釈迦如来によって生前の盗みについて調べられる。三七日は、文殊菩薩に生前の不貞について調べられる。四七日は、普賢菩薩に生前嘘をついたかどうかを調べられる。五七日は、閻魔大王が裁いて六道のうちどこに輪廻転生するかを決定する。六七日は、弥勒菩薩が生まれ変わる細かい条件を決める。そして七七日に、薬師如来の最終判決が下る。故人の来世がどうなるか最も大切な最後の裁判なので、親戚中の人々を集めて大きな応援を送る。七七日即ち四十九日とはそういう日なのだそうだ。もしここでも決まらなかった場合、百ヶ日の時に観音菩薩、一周忌の時に勢至菩薩、三回忌の時に阿弥陀如来による追加の審理が行われるとのこと。恐らく、義母は四十九日に人間道へ転生したと思う。

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モグラのキムタクは

キムタクがテレビCMに引っ張りだこだ。カローラから日産に乗り換えたときは、道義上良いものかと思った。でも、上手くいっている。ひるまックではマクドナルドのイメージチェンジに成功した。でも、タウンワークの頃から扮装に凝り出した。その究極がオープンハウスだ。何とモグラになった。オープンハウスは首都圏に強い大手格安ハウスメーカーだ。オープンハウスは、梁と柱を組み合わせる「木造軸組み工法」で家を建てている。地震に強いエンジニアリング・ウッドを使っているのが特徴だ。最低限の標準装備であれば、1,000万円~1,500万円程度で家が建ってしまうローコスト住宅としても有名だ。業績は好調で、直近7年間の売上高成長率は平均30%を超えている。ところが。そのオープンハウスには欠陥トラブルの告発が相次いでいるという。基礎が傾いている、シロアリが発生した、壁のクロスが剥がれる、台所の床に柱が無いので傾いて冷蔵庫のドアが閉まらない、外壁に穴が開いていて雨漏りが心配、等々。元々住宅産業はクレーム産業と言われるだけあってクレームが多いのは事実だ。それにしても、オープンハウスは安かろう悪かろうを地で行っているように見える。さて、モグラのキムタクは、地上に出た後、オープンハウスから去るのだろうか。それとも再び地中に戻りCM出演を継続するのだろうか。

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マイナカード、トラブル頻発は何故

マイナンバーカードのトラブルが頻発している。健康保険証に紐付けたものの、認証が出来ず診療がストップしたとか、コンビニで住民票を取得しようとしたら、他人名義の住民票が出てきたとか、トラブルが尽きない。どうも単なる初期トラブルでは無さそうだ。とうとう内閣支持率まで下落し、岸田が慌ててコロナ並み体制を敷くとまで言い出した。河野デジタル相はビデオメッセージで謝罪した上で、コンビニの問題が解決するまでサービスを停止する指示を出した。このサービス・システムを構築したのは富士通Japanだ。富士通は典型的なITゼネコンだ。Windows95を設計した中島聡氏は「国がITゼネコンに丸投げしたのが諸悪の根源だ」と指摘している。この種の仕事をITゼネコンに丸投げするのは、国の常道だ。でも、ITゼネコンは仕様書の作成と工程管理のみを行い、実際のコーディングは下請けや孫請けに丸投げする。まさにゼネコンスタイルなのだ。しかし、どんなに優秀なソフトウェア・エンジニアでも、実際にコードを書かずに良い設計をすることは不可能で、コードを書きながら設計を変更し、徐々に良いものに仕上げていくプロセスが必須なのだと指摘している。結局、国がITゼネコンに丸投げすることで、出来損ないのシステムが出来上がり、IT投資の大半はITゼネコンに流れ込む。中島聡氏はこの解決策を提言している。河野デジタル相は中島聡氏と会談し、早く目を覚ますべきだと思う。

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入管難民法の運用の見直しを

入管難民法改正案の採決が行われた参院法務委員会で、山本太郎れいわ新撰組代表が採決を阻止しようとして自民党議員2名にケガを負わせた。問題視した自公立民5党が懲罰動議を提出。ところが、参院議院運営委員会は理事懇談会で、懲罰を審議しない方針を決めた。石井議運委員長は、懲罰を審議しない理由として山本氏から反省の言葉があったとした。だが、山本本人は「楽しみにしていますとはいったが、反省しているとは一言も言っていない」と言っている。反省していないのに5党の懲罰動議を退けたのだ。まことに参院の不思議な出来事だ。国会では全てが万事このように物事が進んでいるようだ。でも、これは些細な出来事だ。問題は入管難民法そのものにある。日本が難民条約を批准したのは1981年。もう40年が過ぎた。だが、難民認定者は極めて少ない。2019年のドイツの年間難民認定者は5万人超だが、日本はたったの44人。実態は難民を拒絶しているのだ。難民の認定方法は難しい。着の身着のままで逃げてきたのだから、難民を証明するものなど持っているはずがない。ドイツの認定者が多いのは、難民条約の規定に合いそうな場合は認定することにしているからだ。一方日本は厳格な審査をして僅かでも規定を満たさなければ認定しないことにしている。一昔前の国民は難民受け入れに難色を示していたが、今では受け入れに前向きに変わった。入管難民法の精神や運用そのものを見直すことが必要だ。

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ブリンケン訪中の成果

ブリンケン米国務長官が訪中した。当初習近平との会談が出来るかは分からなかった。訪中の目的は米中首脳会談の実現のための地均しだろう。バイデンには米国内で米中首脳会談を実現し、再選に弾みをつける狙いがある。一方習近平には世界のステーツマンであることを誇示したい思いがある。さてブリンケンの訪中は成功したのだろうか。ブリンケンは最初に秦剛外相と会談した。最初の面接にパスしたのだろう。次は王毅国務委員と会った。この面接もクリヤーし、最後に習近平と会うことが出来た。しかし習近平との会談ではなかった。習近平が得々と独演会を始めた。時間はたったの30分。まるで謁見する皇帝様と、かしずく外国使節の構図だった。習近平は「世界は発展し、時代は変化している。世界には、総体的に安定した中米関係が必要だ。中米両国の成否がそのまま、人類の運命の前途に関わってくるのだ。両国の関係が上手くいかないのは米国が悪いからだ。だから米国が改めろ」と諭した。それに対しブリンケンは数分で「米国は新冷戦を求めず、中国の制度改変を求めず、台湾独立を支持せず、中国との衝突が発生することを望まない」と答えたという。米中首脳会談の実現のためとはいえ、ブリンケンは余りにも弱腰過ぎた。この弱腰は米国内のトランプ派を勢いづかせることになる。バイデンの再選を妨げることになるはずだ。

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「笑点」はどこまで続くのか

テレビの長寿番組と言えば日テレの「笑点」だ。1966年に始まり57年目を迎えるという。1965年から始まった「金曜寄席」が前身で、当時のヒットドラマだった「氷点」をもじって「笑点」と名付けたとのこと。初代司会者は立川談志で、二代目が前田武彦で三代目が三波伸介。四代目が5代目三遊亭圓楽で、五代目が桂歌丸。そして六代目は6代目三遊亭圓楽と思われたが、春風亭昇太が昇格した。思い起こすと、初代から全ての司会者の時代の記憶が残っている。それほど長く自分は視聴してきたのだ。1966年と言えば、自分が大学2年生の時だ。その自分は現在76歳。「笑点」は、まさに自分と共に時代を過ごしてきたのだと感慨深い。人間は思ったほど成長するものではない。自分を振り返って、そう思う。では「笑点」は、どうなのだろう。少なくとも、圓楽の時代までは、真打ちが落語の真髄を伝えていたような気がする。でも、歌丸に続き昇太の時代に、真打ちの価値が損なわれたように感じる。大切りの真打ちが劣化している。真打ちも酷いが昇太も酷い。もはや「笑点これまで」と思っていた。ところが、圓楽の穴を埋めるために春風亭一之輔なる者が現れた。故・小三治師匠が「久々の本物。天与の才がある」と称した落語家だ。「笑うだけが落語じゃねえ」と場内の静寂をも支配するという。ヘラヘラではなく無言を押し通す凄みがある。ひょっとすると、笑点は生まれ変わり、更なる長寿を目指すことになるかもしれない。

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新鉱物「北海道石」

大阪大学などの研究グループが北海道の2地域で新鉱物「北海道石」を発見したと日本地球惑星科学連合2023年で発表した。このグループは、日本のプレート沈み込み帯での炭素元素の循環過程を研究している。北海道石が見つかったのは、北海道鹿追町と愛別町の山林。炭素と水素のみから成る有機化合物の天然結晶で、紫外線を当てると美しく蛍光する特性を持つ。日本で初めて採取できた「多環芳香族炭化水素鉱物」の例でもある。地層中の生物の化石が火山の地熱を受けてできる。北海道石は、炭素および水素のみよりなる有機化合物「ベンゾ[ghi]ペリレン」の天然結晶だ。これは、コロネンと呼ばれる有機化合物の天然の前駆物質であると考えられ、従来詳細な情報がなかったコロネンの生成メカニズムや純粋になるプロセスの有力な情報を与える。つまり、北海道石には石油生成の謎を解くカギが含まれているということになる。更に光機能性材料としても宝石としても価値があるとのこと。北海道には夢がある。

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3型糖尿病って

日本でのアルツハイマー型認知症は認知症患者の半数を占め、今後も増加の一途をたどると言われている。日本人は世界一、アルツハイマー型認知症に罹りやすい国民なのだそうだ。糖尿病専門医は、アルツハイマー病の発症メカニズムは、糖尿病とそっくりで、予備軍が多いと指摘している。現在日本には、1000万人を超える糖尿病患者がいて、更に、糖尿病予備軍が1370万人いるとされている。日本人患者のおよそ95%は長年の生活習慣によって引き起こされる2型糖尿病なのだ。そのため、アルツハイマー病を「糖尿病性認知症」と呼ぶべきだという意見も出ているほどで、実際に「3型糖尿病」と表現する医療関係者もいるという。発症メカニズムがそっくりなのだから、2型糖尿病の人やその予備軍にある人はアルツハイマー病も発症し易くなると言える。ところが、アルツハイマー病を発症してから治す方法は1つも無いのが現状だ。進行を止める方法も無い。予防が全てなのだ。アルツハイマー型認知症になるのが嫌であれば、まずは食生活を制御し2型糖尿病にならない食習慣を築くしかないようだ。

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中島聡さんの主張を静かにじっくりと聴くべし

中島聡さんをご存じだろうか。あのWindows95を設計した人物だ。デジタル・エンジニアの神的存在だ。その人が河野デジタル相と対談し、総理大臣候補としての河野氏への提案を考えているアイディアを披露したという。MAG2NEWSの「AIでも半導体でもない。世界的エンジニアが日本再生のために投資すべきと提案する5つの産業分野」に、その一部が公開されている。これは中島聡さんの有料ブログ「週刊 Life is beautiful」から抜粋したものだ。生憎自分はこのブログを購読していない。だから全容は分からない。でも、良いこと言っている。一部だけだが、紹介しようと思う。題は「私が考える日本再生計画」だ。今やるべきは「社会のニーズ」を解決する産業を育てることだと断言している。1つは、日本の教育改革であり、理科系人材の育成。日本の大学は、研究機関でも職業訓練校でもない。単なる「受験の時点で優秀な生徒を集めて就職まで預かっておく」だけの付加価値の低いものに成り下がっている。ソフトウェア・エンジニアを中心に、即戦力のエンジニアたちを5年間で育成する全寮制の高専を日本各地に作り、受験勉強から解放すると同時に、世界に通用する即戦力のエンジニアを大量に育成することが肝要。2つめは、少子高齢化に伴って起こるさまざまな問題を「社会のニーズ」と捉え、そのニーズを解決する産業を育てること。政府は半導体に力を入れているが、半導体製造ではなく、その応用に特化すべき。それが価値を生むと説く。今日本に必要なのは、革新的なリーダーだ。河野が中島さんに学んで実行すれば、日本の未来は拓かれてくるはず。中島聡さんの主張を静かにじっくりと聴くべし。

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岸田の二重の過ち

岸田首相が13日の会見で「解散・総選挙の時期について情勢をよく見極めたい」と薄ら笑いを浮かべた。如何にも解散するぞと映る。それに対し穀田共産国対委員長が「解散権をもてあそぶな」と批判した。そして、今日15日に岸田は「今国会で解散はしない」と公言した。岸田は解散権について二重の過ちをしていると思う。1つは、解散する気も無いのに解散をちらつかせ与野党議員をもてあそんだこと。もう1つは、首相の専権事項である解散権を国会閉会前に放棄してしまったこと。一方野党も野党だ。立憲民主は内閣不信任案を提出するぞと息巻いていた。それに呼応して与党は「内閣不信任案は解散の大義になる」と言い出した。すると安住立憲民主国対委員長は何と「我が党が内閣不信任案を提出しても成立しない。成立しないものを前提に大義とするのはおかしい」と発言した。では一体内閣不信任案は何が目的で提出するのだろうか。恒例だからとでも言うのだろうか。言外に「解散総選挙は嫌」という思惑が在り在りだ。結局、議員一同ノホホンと過ごせることになった。では、岸田にとって、解散見送りはプラスなのだろうか。安倍長期政権は選挙に勝つことで力を付けてきた。岸田の解散見送りは、今後ボデーブローのように効いてくるはずだ。

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自民の離婚と再婚

自公連立政権の雲行きがいよいよ怪しくなってきた。小選挙区の10増10減で自公が対立し、東京については選挙協力しないことになったのが発端だ。元々連立とは、政策と信念が共鳴し合い手を組むべきものだ。だが、自民と公明は安全保障や憲法改正、対中国政策など、尽く意見が食い違ってきた。数合わせと打算だけで歪な関係を続けてきたのだから、破談に向かうのは当然だ。自民の主流派である大物の岸田、麻生、茂木らは公明への反感を隠そうとしなくなった。一方公明は、公然と「我々の助けがなくなれば、自民党は立ち行かない」と挑発して憚らない。自民の主流派が公明との協力に否定的になったのは、公明の弱体化だ。選挙で常勝だった公明が勝てなくなった。創価学会の2世・3世学会員は盲目的に公明を支持することが少なくなった。カリスマである池田名誉会長も影が薄くなった。これまで公明各選挙区で2万~3万票動かせると言われてきたが、むしろ公明のため減った票の方が多いのではないかと言う議員も現れた。更に維新の台頭がある。公明と手を切っても、維新と手を結べば穴は埋まる。今こそ、政策と信念が共鳴し合う相手と連立を目指すべき時だと思う。

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株価が高値を更新し続けている

日経平均株価が高値を更新し続けている。今や1989年12月28日のバブル期最高値38,915円をも更新するかもしれないと言われている。連日の更新は海外投資家の6週連続の買い越しによるもの。確かに潮目は変わりつつあるようだ。要因はいくつかある。1つは、30年も続いたデフレから脱却しインフレが起き始めたこと。物価が上がり賃金も緩やかに上昇し始めた。1つは、経済安全保障をめぐり世界規模でサプライチェーンの再編が起きている。中国経済がリセッションに入り、今後企業の製造拠点が日本に戻ってくる可能性がある。1つは、日本取引所グループJPXの山道CEOがグループの指針を大幅に転換し、企業価値の向上、株主還元、資本コスト意識の改善を促すため株価純資産倍率PBR重視を打ち出した。PBRは、大まかに言うと日本が1倍、欧州が2倍、米国が3倍だ。日本企業が資本効率を重視すれば未来は明るい。更に1つは、ウォーレン・バフェットが日本株買いを始めたことで、海外投資家が気安く日本株を買い易くなった。何処を見ても、日本株が大ジャンプするベースは揃っている。だが、問題は岸田だ。岸田が増税を言い出せば、一挙に熱は冷めることになる。岸田は何もせずジッとしていろ。岸田の何もしないことが日本経済を再浮上させることになるはずなのだから。

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何の役にも立たない八ッ場ダム

JBpressの記事「建設か否かで紛糾した八ッ場ダム、5320億円かける価値あったのかを検証」が目に留まった。民主党政権時代に前原元国交相が建設にストップをかけたが、自民党が建設を再開し完成させたあのダムだ。このダム建設の目的は、東京への給水、工業用水としての利用、洪水の防止だった。2019年の台風豪雨で、試験湛水を始めたばかりで、ほぼカラだった八ッ場ダムが一気に一日で満水となった。テレビでは「八ッ場ダムが洪水を防いだ」と報道された。当時は、結局作っておいて良かったのだと思ったものだ。ところが、この記事によると八ッ場ダムが無くても水位は17cmしか上がらないとのこと。「洪水を防いだ」なんて真っ赤なウソだったのだ。給水に関しても、東京の給水量は1990年から2021年にかけて3割減っている。東京への給水も必要無かったのだ。更に、工業用水としても使われていない。結局、八ッ場ダムは何の役にも立たず、只ひたすら水を溜めているだけなのだ。水源開発問題全国連絡会は「八ツ場ダムの小さな治水効果を期待するよりも、河床掘削で河床面の維持に努めることの方がはるかに重要である」旨の論考を発表した。今後国交省が、ダムと堤防だけに頼る旧来型の治水から、森林の保水力も含めた流域治水に転換することを願いたいものだ。

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PGAツアーとリブゴルフが統合するって

何とPGAツアーとリブゴルフが統合するとのニュース。犬猿の仲で、リブゴルフがPGAツアーを独占禁止法で提訴し、来年から裁判が始まる予定になっていた。リブゴルフは昨年6月にスタートした。資金の提供はサウジアラビアの政府系ファンドPIF。この初戦での賞金総額は2500万ドル(約32億円)、個人優勝400万ドル、団体優勝300万ドルと、賞金自体が破格だった。有力選手を1億ドル単位の契約金で引き抜いた。その一人としてミケルソンが有名だ。PGAはリブゴルフに参加する選手はPGAツアーに参加出来ないと宣言した。まさに決裂宣言だった。サウジアラビアは人権問題をたびたび指摘されており、リブゴルフの設立はスポーツウォッシングなのではないかと懸念されてきた。リブゴルフは予選落ちが無く、成績の悪い選手でも高額な賞金を貰える。だから、リブゴルフの大会に世界ランキングのポイントが付与されることはないとされていた。どう考えてもPGAツアーとリブゴルフが統合するには無理がある。しかし、統合するという。まさに青天の霹靂と言える。さて、統合後世界の男子プロゴルフ界は如何なる道を辿るのだろうか。

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入管難民法改正の是非

外国人の収容・送還ルールを見直す改正入管難民法が、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立した。立憲民主、共産、れいわ新選組は反対し、山本太郎新選組代表は採決を阻止するためもみ合いとなり、懲罰動議が提出された。改正することになった発端は、2021年に名古屋入管で収容中のスリランカ人女性が死亡したことだ。政府は施設内の医療体制見直しを進めてきたというが、酔っ払いの医師が外国人収容者を診察するなど、実態は変わっていないようだ。日本の難民認定率は約1%で、国際水準と比べて極めて低い。難民が申請すると、難民審査参与員が認定の是非を判定し法相が採用する仕組みになっている。だが、難民審査参与員を10年間務めた阿部明学大教授は、認定するよう40件の意見書を提出したが、1件も採用されなかったと告白している。元々代理人のいない難民が申請しても、認定されない日本ファーストの手続きになっているとも言っている。「ここは日本に不利益をもたらす外国人を管理し、排除するところだ」という組織内の共通認識が蔓延っていると言う。今回の改正は、3回目以降の申請者は送還可能とすることが柱だ。トットと送還してしまおうという考えに基づいている。今回の改正については、立憲民主らの主張が正しいように思う。

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タウリンの老化防止効果

米コロンビア大などの国際チームが、タウリンの補充が老化防止に有望であることを動物実験で確かめたと発表した。チームは、加齢に伴い血中のタウリンが減少することを確認し、着目した。乳幼児に比べ60歳の人は8割減るという。マウスやアカゲザルでも加齢に伴い大幅に減少することを確認し、アカゲザルに1日1回、半年間にわたってタウリンを投与したところ、投与しなかったグループに比べ、骨密度と骨量が増加。さらに、膵臓や肝臓の機能低下を示す物質が減るなど、加齢に伴う体の衰えが改善した。人間に換算すると約7~8年の延命になるという。人での効果や有効量は、今後の検証が必要だが、人に近いサルで、タウリンが老化防止に関わることを明らかにしたのは重要な成果だ。タウリンの構造式はH2N-CH2-CH2-SO3Hで、別名アミノエチルスルホン酸。生体中のほとんどすべての組織に存在し、特にイカ・タコ・貝類・甲殻類・魚類など魚介類に豊富に含まれている。タウリンには、からだ、細胞を正常状態で保つ作用があると言われている。そう言えば、Regain、リポビタンD、チオビタドリンク、レッドブルなどの栄養ドリンクにはタウリンが含まれている。その効果はエネルギー補充に留まらず老化防止にも役立ちそうだ。

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空気から水を取り出す技術

世界的に飲料水が不足している。飲用可能な水は全世界の水の3%以下しか無い。地球温暖化で干ばつが進んでいるし、産業が水を汚染している。更に世界的な人口爆発で飲料水需要は5割増えると言われている。イスラエルでは空気から水を作る開発競争が激しくなっているという。2012年にWatergenというスタートアップが、空気を冷やし、液化して水にする、エアコンみたいな機械を開発した。H2ollというスタートアップは、Watergenの技術を改良し、空気全体を冷やす代わりに、抽出した水分子だけを冷やして水に変えるコスパの良い方法を開発している。水質は水道水より綺麗だという。この技術はイスラエル政府の支援を受けてスラエル工科大学が開発を進めている。米軍もこの技術に注目しているとのこと。実は日本でも同様な技術開発が行なわれている。アクアテックが三井住友海上火災保険と事業提携し、空気から水を作る装置を販売している。アクアテックは、2011年の東日本大震災を切っ掛けに、2012年からの独自開発に成功した。日本政府が本腰を入れて開発を加速させるべき分野だと思う。

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ヘボ将棋あれこれ

アマ将棋と言えば、ヘボ将棋と相場は決まっている。落語にも良く出て来る。「将棋の殿様」が有名だ。将棋を覚えたての殿様が、飛車が相手の駒を飛び越えたりするなどルールを逸脱して家臣を負かし、勝つと家臣の頭を鉄扇でピシャリ。家臣たちが困っていると、将棋に強い元家老が現れ殿様と対局する。例によって殿様の飛車が飛び越すと、元家老はその飛車を投げ返し、いやしくも盤上の軍師たる飛車たる者が、軍略・陣法に従わず、卑怯にも道なき所を飛び越して参るのは将棋の法、軍法にそむいている、と諭し鉄扇で殿様の膝をピシャリ。殿様はポロポロ泣いて「明日から将棋を指す者には切腹を申し付けるぞ」という落ち。古今亭志ん生の「雨の将棋」も有名だ。王将の駒が無いので死んだ油虫を代用した。勝負が始まるが、王将が無くなっている。油虫が生き返ったのだ。わあ~っ、股ぐらに入って来やがった。王将かなわないもんだから、金の後ろに逃げたんだ、という落ち。昔から何としても勝ちたいのが将棋だ。先日の将棋アマチュア大会「学生名人戦」で、決勝の対局中に将棋ソフトを使用したとして、優勝者が大会規定違反で失格になったとのニュース。失格者は前世で殿様だったのかもしれない。

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真の少子化対策とは

岸田首相が大見得を切った「異次元」の少子化対策の財源確保が、未だに宙を彷徨っている。社会保険料の上乗せと歳出削減だと言うが、歳出削減は手付かずだ。13日の記者会見で岸田が概要を説明するとのことだが、具体的な歳出削減策は全く期待出来ない。恐らく歳出削減は努力目標で霧の中となり、社会保険料の上乗せだけが認知される結果となるのだろう。一般家庭においても、支出に順番はある。今までAに使っていたが、諸般の事情からAを削減しBに充当するというのが当たり前だ。それは国家の財政にも当てはまる。いきなり税収が増える訳ではない。限られた財源の中でやりくりするのが当然だ。Aを削減しBに充当するという決断が岸田に求められている。しかし、岸田には全く期待出来ない。岸田は少子化対策を倍増すると宣言したが、そもそも岸田の少子化対策は的を射ているのだろうか。専門家は、少子化のもっとも大きな要因は未婚化・晩婚化だと指摘している。子育ても重要だが、第1要因ではないのだ。結婚しないのは、雇用の不安定と低賃金の問題があり、将来の生活の安定を見据えられないからなのだ。岸田の少子化対策はやった感がある。しかし、未婚化・晩婚化の解消は政治家の実績に表れ難い。だから、政治家は少子化対策を目指す。だが、日本にいま必要なのは未婚化・晩婚化の解消なのだ。この難しい問題に取り組み政治家こそ、真の政治家といえる。

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毛生え薬と歯生え薬

最近「毛生え薬」のCMが目立つ。リアップとかニューモとかが新参で、リーブ21は最古参だ。毛生え薬の技術が確立しつつあるようだ。でも、ヒトの歯は毛生え薬のようにはいかない。まず乳歯が生え、次に永久歯が生えて終わる。永久歯が抜けてしまえば、義歯で補うしか方法は無い。ところが、日本の研究チームがマウスを使い「歯生え薬」の開発に成功したとのこと。ある遺伝子を欠損させたマウスは、歯の数が増えることを発見したのだ。その遺伝子によって合成されるたんぱく質USAG―1は、歯の成長を抑制する働きがあった。つまり、USAG―1が合成されなければ歯が生えるのだ。そこでUSAG―1中和抗体薬を開発し、見事マウスに歯を生えさせたという次第。現在、薬は人への利用に向け無歯症の治験の準備が進められているとのこと。実は、ヒトの歯は永久歯が終わりではなく、永久歯の次に当たる第3生歯の芽があるという。ほとんどの場合、成長に伴って無くなってしまうと考えられている。しかし「歯生え薬」の技術を使えば、第3生歯を生えさせる可能性があるとのこと。いずれは、入れ歯、インプラント、歯生え薬の3択の時代が来るかもしれない。

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河村市長がまたヤラカシタ

名古屋城復元をめぐる討論会で「障害者は我慢せいよ」の発言があり、河村市長が陳謝したとのニュース。このニュースを聞き、第一感として、あの河村市長がまたヤラカシタと思った。名古屋城を昔通りの木製で復元する計画がある。討論のテーマは「名古屋城の天守閣の復元におけるバリアフリーについて」。名古屋市は、より忠実な復元を目指すとして新たな木造の天守閣には、現在設置されている5階までのエレベーターは設置せず、車いす利用者と介助者が利用できる2階までの小型昇降機を導入するとしていた。討論会に参加した車椅子の男性は、エレベーターを排除することは「障害者が排除されているとしか思えない」と主張した。ところが反対派の男性は「平等とわがままを一緒にすんなって。エレベーターも電気もない時代に作られた物を再構築するのに、なんでバリアフリーの話が出てくるのが荒唐無稽だ。おまえが我慢せえよ」と発言。その後行われた河村市長による挨拶も「熱いトークもあってよかった。ぜひ皆さんで愛する名古屋を盛り上げようみゃー」というにとどまり、差別的な表現をとがめるような言葉はなかった。後日、河村市長は「いろんな意見が出てくるのは当たり前のこと、それを禁止することは恐ろしいこと」とコメントしたが、結局制止出来なかったことに対し謝罪したとのこと。でも、河村市長の心の内に「障害者は我慢せいよ」があったことは間違いなさそうだ。こんな木造復元など止めてしまえ。

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プロ将棋あれこれ

藤井聡太竜王が渡辺名人を下し、名人位を獲得した。これで名人・竜王・王位・叡王・棋王・王将・棋聖の7冠の偉業を達成した。しかも、20歳10カ月での獲得は最年少記録だ。残る冠は王座だけとなった。挑戦者決定トーナメントを勝ち抜けば、永瀬王座が待ち構えている。藤井名人と永瀬王座は、杉本師匠の教室で少年時代に共に将棋の研究に励んだ仲だ。でも、もはや昔の手の内は通じない。互いに如何に成長したかが問われる勝負となる。きっと奥の深い将棋が繰り広げられるに違いない。史上初の8冠獲得を期待したいものだ。一方で、プロ棋士でもチョンボはあるという話。ABEMAトーナメント2023予選リーグでの出来事。佐藤天彦九段と船江恒平六段の対戦は、プロ棋士には珍しい王手放置という反則で決着した。持ち時間が双方10秒を切り、盤上が、さながらボクシングの殴り合いの様相の中で、佐藤九段の3五角の王手に対し、船江六段は王の対応をせず、3八飛の王手で返してしまった。王手をかけられたら、王を逃がすなど必ず王手を防ぐ手を差さなければならず、王手をかけられた中で王に関係のない手を差すのは反則負けとなる。そう言えば、かつてNHK杯で橋本八段が二歩で負けたことがあった。プロでもチョンボはある。相田みつおではないが、人間だもの。偶にあるから益々面白くなる。

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原子はどのように生まれたのか

自分は大学と大学院で化学を専攻し、化学会社で働いてきた。いわば化学漬けの半生だった。大学1年の時、当時103あった周期表の元素名と原子番号を全部覚えたものだ。でも、今まで元素がどのように生まれたのかは知らなかった。最近になって、本「時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙:ブライアン・グリーン 」で、元素が生まれた順番と生成条件を知った。どんな複雑な原子でも、作り方のレシピは決まっている。陽子と中性子が結合出来る条件を満たせば良いのだ。始まりは160億年前のビッグバンだ。でも、ビッグバンで生まれた原子はたったの5つ。水素とヘリウムと重水素とヘリウム3とリチウムだ。次に十分に質量の大きな恒星は、そこからさらに原子核同士を融合させて、周期表の先のほうにある、より複雑な元素を合成した。ヘリウムを融合させて炭素と酸素を作り、更に炭素を融合させてナトリウムとネオンを作った。そして更なる核融合でマグネシウム、硫黄、ケイ素、鉄が合成された。鉄の陽子と中性子は、あらゆる元素の中でもっとも強く結合しているので、このプロセスは一旦停止した。しかし核融合が停止すると、物質は猛烈な勢いで恒星の中心部に向かって落下し、爆発する。その衝撃波によって鉄以降の原子が生成されたという。化学を学び始めて60年を経過したが、今になってやっと原子の起源を知った次第。感無量。

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SIMスワップ詐欺って

物騒な世の中になったものだ。聞き慣れないSIMスワップ詐欺なるものが相次いでいるという。ある日突然電話が繋がらなくなる。そして本人が知らぬ間に銀行預金が引き出されているということが起きるという。携帯番号が乗っ取られた為だ。自らの手元にスマホがあるのに、なぜ携帯番号が乗っ取られるのか。手口はこうだ。まず犯罪グループは、SMSなどで偽サイトに誘導して個人情報を盗み取る。その個人情報をもとに運転免許証などを偽造し、それを使って紛失の名目でSIMカードを再発行してもらったり、解約して他社へ乗り換える手続きをしたりする。そして、不正に入手したSIMカードを犯罪グループが持つスマホに差し込む。これで携帯番号の乗っ取りが完了だ。当然本来の持ち主の携帯は繋がらなくなる。その後、被害者のインターネットバンキング口座にアクセスし、あらかじめフィッシングで入手したパスワードを使い預金を引き出す、という具合だ。この手口だと、金融機関が使うワンタイムパスワードも犯人に届いてしまうので無効だ。SIMスワップ詐欺に掛からないための対策は、URLが公式なものかをチェックすることと、不審なメールなどに記載されているリンクや添付ファイルは開かないことだ。もっとも、携帯電話販売店がSIMを再発行する前に、被害者に電話して本人確認をするルールを確立すれば防げるのだが。

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