2022年6月

火消しあれこれ(2)

「燃え易いものを燃えないもの」と偽造しUL規格を不正に取得した東レで、社長自らが火消しに走っていたことは「火消しあれこれ」に書いた通りだ。不正に関わった日覚社長と大矢副社長は、6月13日のガバナンス委員会で減俸処分を受けた。いくらワンマンとは言え、日覚社長の続投は有り得ないと思っていた。ところが、23日の定時株主総会で日覚社長の取締役選任案に対する賛成比率が64%となり、続投が承認されたのだ。東レには自浄作用が無いようだ。最も、不正問題も全社一丸で隠し通したのだから、株主総会も全社一丸で切り抜けたに違いない。でも、東レは今後如何なる道を歩むのだろうか。社風というものは一朝一夕には変わらない。生き証人の日覚社長が証明している。もし、心底社風を刷新したいのであれば、日覚社長は自ら職を辞すべきだと思う。政治家は責任を追及されても、在職のまま責任を果たすと言う。単にしがみついているだけだ。日覚社長もソックリ。

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政治家による恫喝の連鎖

茂木幹事長が「年金を3割カットするぞ」と国民を恫喝したので呆れていたら、今度は金子総務相が地方交付税で自治体を恫喝した。政治家による恫喝の連鎖だ。政府は6月7日に「マイナンバーカードを2022年度中にほぼ全国民に行き渡るようめざすこと」を閣議決定した。現在のマイナカード交付率は全国平均44.7%に留まっている。年齢別、男女別、県別、自治体別の交付状況が「総務省のHP」に載っている。県別交付率の1位は宮崎県56.4%で、最下位は沖縄県35.8%と、県別ではあまり差はない、だが、自治体別に見ると、宮崎県都城市79.7%だが地方の寒村には20%程度のところもあり、かなりバラツキがある。金子総務相は地方交付税の算出に交付率を考慮に入れると言う。寒村を地方交付税でいじめようとしているように映る。そもそも現在のマイナンバーカードは何の役にも立たない。取得して5~6年経ったが、マイナポイントを貰うためとワクチン接種証明に使っただけ。健康保険証として使うよう奨励しているが、現行の保険証の替わりに使うメリットも無い。せめて、持病や検診データや投薬状況が入っていれば、もしもの時には役立つと思うのだが。政府は交付率を上げることよりも、利便性を上げることを優先すべきだ。況んや、地方交付税で恫喝するなどもっての外。

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参院選1票の格差は3.032倍

2022年の参院選の1票の格差は最大3.032倍になる。3倍を超える選挙区は3つある。神奈川県3.032、宮城県3.025、東京都3.014。更に2倍を超える選挙区が21ある。1票の格差について、最大3.00倍だった2019年の参院選について、最高裁は2020年に合憲とする判決を出している。日本は民主主義国家なのだから、1票の格差は限りなく1倍に近くにあらねばならない。3.0倍を是とする最高裁は間違った判断をしていると思う。格差を是正しようとすると、必ず出てくるのが「地方の声が国政に届きにくい」という意見だ。では、3.0倍なら声が届くのだろうか。衆院選でも格差は2倍ある。是正するため10増10減が行なわれる。でも、安倍元首相や細田衆院議長までもが「地方の声が国政に届きにくい」と反対している。結局、3倍であろうが、2倍であろうが、我に不利と見れば反対の声を挙げるのだ。最高裁は、限りない1倍に徹するべきだと思う。その上で、地方の声を国政に届ける仕組みを作るよう、国会に促すべきだと思う。

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消費税減税は法人税増税で

参院選は、消費税堅持の与党と消費税減税の野党の構図だ。野党の消費税減税の大合唱に対し、何と茂木幹事長が「消費税減税なら年金3割カットだ」と恫喝した。茂木は、官僚が「取り扱いマニュアル」を作成するほどパワハラ体質で有名だ。とうとう国民をも恫喝し始めた。消費税収が20兆円だから、5%に戻せば10兆円の財源が必要になる。国が負担する社会保障費の3割が10兆円だから計算上は辻褄が合う。それにしても乱暴な物の言い様だと思う。では、財源として法人税増税を考えてみたらどうだろうか。法人税収は、かつては20兆円あった。それが減税を続け今では11兆円になっている。戻せば10兆円が捻出される。経済学者は口を揃えて「法人税を下げれば海外からの投資が見込める」と言う。でも、野口悠紀雄一橋大名誉教授は「製造業が生産拠点を決める最も重要な要因は、賃金の格差であり法人税率ではない。国際課税原則の下では、その国の企業は工場をどこに立地しようと収益をその国に持ち帰る限り、最終的にはその国の税率が適用され税負担は変わらない」と指摘している。今や日本は低賃金国に成り下がっている。思い込みを一掃してFACTFULNESSを見直してみてはどうだろうか。

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経産省の使命は節電ではなく安定供給

夕方に明日の電力需給ひっ迫注意報が発令された。明日の夕方に予備率が5%を下回る見込みとのこと。3月の福島沖地震で火力発電所が被害を受けたことや、異例の6月猛暑も重なり、電力需要が急増したとのこと。毎日、毎日四六時中節電を呼び掛けている。経産省が緊急的に節電を呼び掛けることも肯ける。しかし、電力不足の本質的な問題は、地震と猛暑ではない。大元は電力行政の失敗にある。その失敗とは、電力事業の自由化の進め方と、太陽光発電の価格設定だと思う。いきなり電力を自由化したため、電力会社は老朽化してペイしない発電所を次々と廃棄している。もうこれだけで需要に供給が追いつかない。発電機能を持たない新電電が乱立したが、コストアップで次々と撤退した。更に民主党政権が太陽光発電の価格を破格の42円に設定したから、猫も杓子も参入した。昼間だけ発電して、どうする。電力不足は来年も再来年も続く。経産省は、これらの失敗を反省して、早急にエンルギー政策を見直すべきだ。しかし、萩生田経産相は参院選応援にかまけ、今後のエンルギー政策には全く触れない。国民の不安は益々募るばかりだ。

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梅雨明け宣言の無い梅雨明け

天気図から梅雨前線が消えた。週間天気予報は晴れのオンパレードだ。夏の空気に変わってきた。でも、気象庁は梅雨明けを発表しない。何故なのだろう。梅雨明けの定義に厳密なものはない。一応、梅雨前線が遠ざかるか消滅し、太平洋高気圧に広く覆われるようになり、その気象状況が持続する、が目安とされている。その目安からすれば、間違いなく梅雨明けだ。ただ、この状況が例年よりも約1ヶ月も早い。気象庁は、常識に捕らわれ逡巡しているのだろう。そもそも、気象庁による梅雨明け宣言自体に意味があるのだろうか。例年9月になると、気象庁は「梅雨入り」と「梅雨明け」を確定値として発表する。これは統計データとして残るから意味がある。一方、梅雨明け宣言は「そう思う」程度の判断だから、然程重要ではない。もし、意味があるとすれば、大雨災害の時期は過ぎましたよとか、熱中症に気をつけましょう、程度のことだ。気象庁は、サッサと梅雨明け宣言をすべきだと思う。元々気象庁が思う程、国民は気象庁の天気予報を信用していないのだから。

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節電ポイントの誕生秘話

物価高対策が参議院選挙の最大の争点に浮上する中、政府が目玉として打ち出した政策が「節電ポイント」だ。21日に発表したが、国民の評価はボロクソだ。月当たり数十円のポイントしか付かないのだから、バカにするなと非難囂々。政府は慌てて、24日にイロを付けた。節電プログラムに参加した世帯に2000円相当のポイントを支給すると共に、電力会社の節電ポイントに国がさらに上乗せする方針を明らかにした。イロを付けても、物価高対策としては全く寄与しない。恐らく、こんなやり取りがなされたのだろう。「物価高の最大要因は電気代です。国民はポイントが好きだから、節電ポイント制を導入すれば国民に受けますよ」「そりゃグッドアイデアだね。早速発表しよう」「評判が芳しくないです。月数十円の効果しか無いようです」「そりゃ小さ過ぎる。参加世帯には2000円分を上乗せしよう。待てよ。それでも小さい。国独自のポイントもオンしよう」。これはあくまで自分の想像だが、恐らく9割方は当たっているに違いない。

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嗚呼、ジェネリック医薬品不足

ジェネリックの供給不足が全国的に続いている。ジェネリックは複数のメーカーが製造しているが、代替品すら無いという状態が1年も続いている。これほどの薬不足は今までに無く未曽有の薬不足と言われている。薬不足の発端はジェネリックメーカーの小林化工の製造工程での異物混入だ。水虫の治療薬に睡眠薬が混入し健康被害が出た。全国で査察が行なわれ、ジェネリック大手3社の1つ日医工をはじめ、複数のメーカーで製造工程の問題が見つかった。頼みはジェネリック大手の沢井製薬と東和薬品による増産だ。でも、医薬品は安全性が厳しく問われるので、生産体制を整備し出荷するには3年掛かるという。薬不足はあと3年続くのだ。これまで国は薬局に調剤報酬を餌に「ジェネリックにシフトせよ」と大号令をかけ続けてきた。だから、薬局はこぞって利益の大きいジェネリックに変えてきた。ジェネリックにシフトして、膨らみ続ける医療費を縮小しようという国策は理解出来る。しかし、ジェネリックメーカーは、大手製薬会社に比べて体力が弱い。無理に増産させれば、生産・品質管理が疎かになるのは必然だ。結局、国の性急なジェネリック転換政策がジェネリックの供給不足を招いたのだ。もし、大手製薬会社と同等の査察に強化していれば、薬不足は防げたはずだ。投げやりな政策だと思う。

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葉っぱを見て、木も森も見ていない

物価・賃金・生活総合対策本部の初回の会合で、岸田首相が節電をした家庭や企業を優遇する新たな制度を発表した。岸田が力を込めたのが、電力不足への対応として掲げた節電ポイント事業の拡充だ。現在企業向けに行なわれているデマンドレスポンスという仕組みを一般家庭にも広げようとする狙いだ。デマンドレスポンスとは、電力ひっ迫が予想される前日利用者のスマホに節電のお願いのメールが送られ、節電するとスマートメーターが電力会社に通知し、節電達成度に応じてポイントが得られる仕組みだ。節電量1kWhあたり5ポイントが付与され、Tポイントやdポイントなどに交換可能だ。ところが、月に260kwhを使うモデル家庭で、目標とする3%の節電をした場合では、還元されるポイントは月数十円ほどにしかならない。即ち、岸田は「月数十円のポイントをあげるので節電してください」と呼び掛けているのだ。岸田がやるべき事は、節電要請ではなく、電力を安定供給させることだ。岸田は木を見て森を見ていない。いや、木の葉っぱ数枚しか見ていない。

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東京五輪の経費の実態を明らかに

東京五輪組織委員会が大会最終経費は1兆4238億円だったと公表した。組織委は6月末に解散する。五輪の経費は、招致時の見積もりから実費に至るまで、いい加減だった。招致段階では、コンパクト化を売り物に7340億円だった。そして開催決定から3年後には1兆5000億円に膨らんだ。実は3兆円を超えたという試算もある。今回発表の1兆4238億円も、実際の経費ではない。鉛筆を舐め舐めして、単に1兆5000億円以下に辻褄を合わせたに過ぎないのだろう。五輪の経費は、国、都、組織委が負担した。国と都には監査があるが、組織委は情報公開制度の対象外。全体を把握する機能が無いのが最大の問題だ。また大会経費には定義が無い。会計検査院は1500億円とされている国負担額が、関連経費を含めて1兆600億円以上になる試算を公表していた。都の試算と合わせると3兆円を超えるのだ。税金がどのように使われたのか、国民は知る由も無い。長野五輪では招致委解散後に会計帳簿が焼却処分されてしまった。2030年開催に立候補している札幌五輪の経費は、今から予算の倍と予測されている。東京五輪の経費の実態を明らかにすることこそ、明るい明日のスポーツ大会開催の礎になると思う。

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なおざりな物価高対策

参院選の争点は「物価高対策」だ。NHK日曜討論では、与党の消費税堅持と野党の消費税減税が対立した。野党は、1989年度対比で消費税は18兆円も増えているのに、法人税は6兆円も減税されている財務省の一般会計税収の推移を基に、消費税の流用を指摘した。対する高市政調会長は、事実無根と反論。高市は消費税減税を問われ「安定的な財源が確保できなくなる。増税前の駆け込み需要や減税前の買い控えも起こる。事変更は業者にも負担が掛かる」と、反論すればするほどボロを出した。ネットでは「#平気で嘘をつく高市早苗」が大炎上中だ。でも、野党の言い分も、与党の反論も、事実認識が間違っている。消費税28兆円は社会保障財源に特化されている(但し、地方消費税の半分3兆円は一般財源に組み込まれている)。社会保障4経費(年金、医療、子育て、介護)45兆円を賄うには消費税だけでは足りず、赤字分20兆円を赤字国債や他の財源で補っているのが実態だ。とは言っても、物価高対策として、消費税を減税するのは世界の常識。与党が消費税堅持を固持するほど、政府の物価高対策へのなおざりさが鮮明になってくる。

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パナソニックの価格決定権

「他店より安くします」が家電量販店の常套文句だ。それが高じて、ヤマダもビックもケーズも、殆ど横並びの値段設定になっている。ところが、絶対値引きをしない電化製品が現れた。ひと昔前は、メーカーに価格決定権があった。だが、日本に国内市場の開放を求めた日米構造協議で、米国の圧力によりメーカーが流通業者の販売価格を拘束することは、独占禁止法で違法に変わった。そして殆ど全ての製品がオープン価格になった。価格COMが重宝する訳だ。パナソニックが値引きをしない製品を売り出した。その取引形態は、パナソニックが在庫リスクを負担する代わりに、価格決定権を持つというもの。在庫リスクを負うことでメーカーが直接販売していることになり、販売価格を決めても違法とはならないとのこと。家電量販店にとっても、値下げ競争から抜け出して、収益性の高い製品を販売するメリットがある。メーカーにとっても、製品寿命が延びて更なる高付加価値化を検討出来る時間が取れる。購入者にとっても、家電量販店を渡り歩いて価格を調べる手間が無くなる。三方良しだが、全ての家電がこの方式になってしまうと、量販店は単なるショールームになってしまう。でも、この方式が成立するのは、高付加価値製品に限られるだろう。結局、パナソニック方式は家電量販店に新たな息吹を吹き込むことになるに違いない。

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八方塞がりの状況に

金融政策決定会合後の会見で、黒田総裁は「賃金の上昇を伴う形で2%の物価目標を安定的・持続的に実現できるよう金融緩和を実施していく」と強調し、また「最近の急速な円安は経済にマイナスで望ましくない」と指摘したとのこと。一見当然のように聞こえるが、矛盾だらけだ。先ずは金融緩和の問題。黒田は就任早々、デフレから脱却するするため金融バズーカ砲を撃った。トリクルダウンで企業が儲かり、賃金が上昇し、物価が上がるという狙いだった。ところが、9年経っても、賃金は上がらなかった。これ以上金融緩和を進めても、賃金が上がる可能性は殆ど無い。金融緩和政策は既に破綻しているのだ。持続すること自体に問題がある。もう1つは円安の問題。黒田は先日まで、円安は日本にとってメリットがあると言っていた。就任当時は1ドル85円だったから、50円も円安に導いたことになる。ところが、130円から135円の円安だけをとって、経済にマイナスだと言う。でも、何故急速な円安は経済にマイナスなのかは説明しない。下手に説明すると、円安に導いてきたことが誤りであることがバレてしまうからかもしれない。今更金利を上げて円高に修正することも出来ない。金利を上げれば、国家の財政が破綻してしまう。黒田は、まさに八方塞がりの状況にあるようだ。

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サルでも反省するのに

新型コロナウイルス感染拡大の抑制策である「まん延防止等重点措置」は、感染抑制に効果があったのだろうか。未だに、効果に対する考察が国から出ていない。国の対策はいつもこうだ。対策は打ったとは言うものの、その総括は行なわない。サルでも反省するのに、国は反省しない。だから、効果も分からないのに同じ事が何回も繰り返される。コロナ感染拡大中、頑なにまん防発令を拒んだ奈良県知事が「まん防の感染抑制効果は無い」と考察している。奈良県は感染経路・地区別感染者数のデータを取っている。県内で緊急対処措置を取った地区と取らなかった地区の比較もしている。奈良県民は大阪への通勤者が多く、大阪からの感染が多いが県内の感染は少ない。大きな繁華街が無い。結局、まん防を出した大阪府と出さなかった奈良県の感染者数は同じ傾向で推移した。その結果「効果は無い」と結論付けた。更に知事は「医療が逼迫するから飲食店を時短する。このロジックが分からない」と政府の対策に懐疑的だ。知事には、政府が科学的根拠に基づいた対策をしていないのではないか、という問題意識がある。知事は更に「数字の意味を分析していない情報は、インフォメーションではない」と語っている。少なくとも、コロナ有識者会議は、まん防を総括する責任がある。

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花と美食の城下町へ

先月、出没!アド街ック天国で「千葉佐倉」を放送していた。副題が「花と美食の城下町」で、文化の質が高いとの触れ込み。一度行ってみるかということになった。チューリップの季節は過ぎていたので、佐倉ラベンダーランドを訪ねた。生憎ラベンダーの時期には早過ぎたが、咲き誇れば綺麗だろうと空想した。まだ背の低いポプラもある。何年かすると、北海道好きが集まるようになるかもしれない。国立歴史民俗博物館のある佐倉城址公園は、広大で樹木の手入れも行き届いていた。散歩するには快適だ。佐倉市は財政に恵まれているのだなと感じた。市立美術館も覗いてみた。入館者はゼロで何人かの監視&説明員がジッと座っていた。日本のホワイトカラーの生産性が上がらない訳を実感した。旧平井家住宅と旧今井家住宅は、手入れをしないバラック同然だった。国の登録文化財の名が廃ると思った。昭和初期から開業している房州屋で蕎麦を食べた。味は今一だったが、悠久の時が流れていた。インスタスポットとして注目されているという竹林の小径であるひよどり坂は趣があった。結局、花と美食は堪能出来なかった。でも、車のお守りにはなった。

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今度は感染症危機管理庁を開設か

岸田首相が感染症危機管理庁を開設すると発表した。有事には各省庁の職員を指揮下に置き、首相のリーダーシップの下、一元的に感染症対策を行なうという。加えて、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、アメリカ疾病対策センターCDCをモデルにした日本版CDCも創設する。3年前からコロナ感染が始まり、首相のリーダーシップの下取り組んできたはずだが、未だに首相のリーダーシップによる効果は現れていない。と言うよりも、首相がリーダーシップを発揮した形跡すら見当たらない。そもそも今更感染症危機管理庁を開設するのは、時機を逸していると思う。思えば、2001年の森喜朗内閣の時代に、中央省庁の大規模な再編が行なわれ、運輸省と建設省が合併して国土交通省に、厚生省と労働省が合併して厚生労働省になった。でも今では国交省や厚労省が、大き過ぎて一人の大臣では管理不能と言われている。一方で、庁の乱立が目立つ。デジタル庁は金を使うだけで全く機能していない。来年新設されるこども家庭庁と幼稚園を管轄する文科省との折り合い、感染症危機管理庁と厚労省との違い等々、不明瞭な点が多い。庁の多量創設は、屋上屋を架すようなもの。首相本人だけが、やった気持ちになるだけだ。

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デジタル・プロダクト・パスポートって

第四次産業革命が始まろうとしているとのニュース。EUが2027年に導入し内外企業に取得を義務づけるという「デジタル・プロダクト・パスポートDPP(全デジタル製品に割り当てる旅券)」のことだ。パスポートといえば人の属性、履歴を書き込む公的な本人証明書だ。起源は古く、古代のエジプトやローマに遡るが、プロダクトである「モノ」にパスポートを付けるのは21世紀の欧州が初めてだ。運用が始まれば、パスポート(冊子というよりQRコード的なもの)を持たない製品は域内に入れなくなる。製品がどこで採掘された原料を使い、どこで最終製品にされたか。その間、製品はどう運ばれ、二酸化炭素を合計どれだけ出したか、などもパスポート上で電子的に把握できるようにする。欧州の環境基準に達せず、認証機関のお墨付きが得られなければ、域内企業にも海外企業にも販売許可を与えない。監視は販売後も続く、という内容だ。EUのDPP導入の狙いは、脱炭素と循環型経済でEUが先行する立場を不動のものにするためだ。体のいい非関税障壁とも言える。儲ける仕組みを考えるEUは、日本よりも役者が一枚上だ。日本が勝つには、脱炭素が論理的に間違いであることを立証することだと思うのだが。でも、飲み込まれるのだろう。残念。

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侮辱罪と危険運転致死傷罪

インターネット上の誹謗中傷対策で「侮辱罪」を厳罰化する改正刑法が、参院本会議で賛成多数により可決、成立した。ネット上で誹謗中傷され自殺した女性プロレスラーの母親が、ネット上の中傷被害の深刻な実情を社会に訴える活動を続けた。それが法改正に結びついた。侮辱罪と危険運転致死傷罪は、成立過程が似ている。危険運転致死傷罪は、東名高速で酒酔い運転のトラックに追突され家族を亡くした母親が飲酒運転の撲滅を訴え続けたことが契機で成立した経緯がある。道交法の厳罰化は、その後交通事故低減の特効薬になり素晴らしい効果を発揮している。では、侮辱罪による効果はどうなるだろうか。これを契機にネット上の誹謗中傷が低減するのは間違いない。女性プロレスラーのような悲劇は激減するに違いない。しかし、一方で侮辱罪の悪用も危惧される。まず悪用するのは悪徳政治家や質の悪い著名人だろう。侮辱の定義は曖昧だ。屁理屈をつけて、侮辱罪を楯にとって反撃するに違いない。自分は侮辱罪の厳罰化は間違っていると思う。ネットの誹謗中傷は、投稿者の即時開示等で対応すべきだ。言論の自由を奪う法改正には問題がある。

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止められない円安に

財務省と金融庁、日銀が初めて幹部による3者会合を開き意見交換をした。外国為替市場で急速に進む円安をけん制し「憂慮している」との声明を公表した。今や1ドル135円に迫ろうとしている。黒田総裁の上司であったミスター円と異名を取った榊原元財務官は「150円近くまで円安が進む可能性がある」と言っている。円安の要因は日米の金利格差だ。円安を是正するには、日本が金利を上げれば良い。だが、金利を上げるには米国の同意が必要。でも、米国の同意が得られる状況ではない。円安を止める手段は金利以外に殆ど無い。つまり、財務省も金融庁も日銀も、打つ手無しのお手上げ状態なのだ。それで仕方なく3者会合を開き、努力はしているというアリバイ作りを行なったと見るべきだろう。しかし、財務省、金融庁、日銀による「憂慮している」表明は、何の役にも立たないことは明白だ。しかも、黒田総裁の「円安は日本にプラス」発言が、足を引っ張っている。財務省、金融庁、日銀は、止められない円安にオロオロしているだけだ。

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世界最強のボクサー

7日に行なわれた井上尚弥のボクシングは圧巻だった。WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者の井上選手とWBC同級王者のノニト・ドネア選手の3団体統一戦。一般のテレビ放送は無かったが、Amazon Prime VideoでLiveを観ることが出来た。自分は本をAmazonで買うことが多いので、Prime会員になっているが、この試合を観られたことはラッキーだった。結果は、2回TKOで井上選手の圧勝。その迫力に並み居る歴代のチャンピオンたちも目を丸くしていた。4団体統一戦は井上選手の悲願。だが、WBO王者側の条件がややこっしく実現の目処は立っていない。井上選手は、実現不可なら目標を4階級制覇に切り替えることも考えているという。10日、世界的に最も権威のある米老舗ボクシング専門誌ザ・リングが、階級を超越した最強ボクサーを決めるパウンド・フォー・パウンドPFPの1位に井上選手を選出した。何と3団体統一ヘビー級王者ウシクをも上回ったのだ。まさに世界最強のボクサーとなった。

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首相として必要な素養は

昨年の茂木派のパーティーで、安倍元首相は「自分と同期一番の男前は岸田文雄、一番頭が良いのは茂木敏充。そして一番性格が良いのは安倍晋三と言われていた」などと語っていたとのこと。そして昨日の自民党所属議員の会合で、首相として必要な素養は「運と多少の人柄」などと挨拶したという。確かに、この3人は1993年衆院初当選の同期だ。安倍は首相退任後自民最大の派閥の領袖となり、未だに裏で権力を握っている。茂木は自民幹事長で、岸田は現首相。1993年同期が権力の中枢にいることは間違い無い。しかし、安倍の人物評価は的を射ていない。岸田は優柔不断だ。決断が出来ず全てを先送りする。首相としての資質に欠ける。茂木は、記憶力抜群だが癇癪持ち。暴君そのものだ。安倍に至っては、首相在任中、NHK国民調査で「最も人柄が信頼できない」との定評だった。しかも、身内に甘く、外には冷酷だ。身内への甘さが、数々の疑惑を生んだ。首相として必要な素養は、決して「運と多少の人柄」ではない。首相には「決断力と説明力」が必須の資質といえる。

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経済安保法の致命的な欠陥

政府は日本の食料自給率について「コメ98%、野菜80%、鶏卵96%」などと説明している。でも、これを信じて良いのだろうか。鈴木東大大学院教授が警告している。「野菜の種の90%は海外頼みで、鶏のヒナもほぼ100%が海外依存。どちらも輸入が途絶したときの自給率はすでに0%に近い。コメも野菜と同様に種採りが海外でおこなわれるようになる恐れがある。そうなれば、近い将来、日本は飢餓に直面するだろう」と指摘している。政府の食料自給率にしても、農水省のデータから推定すると、2035年にはコメ11%、青果物や畜産は1~4%と、危機的な状況に陥ると見られている。何もしなければ、日本は2035年には飢餓に直面する恐れがあるのだ。一方で経済安全保障推進法が先月成立した。だが、その中には食料自給率は含まれていない。経済安保法は、供給網の強化、インフラの安全確保、特許の非公開化、先端技術の研究開発の4本の柱から成っている。でも、肝心の食糧の確保は含まれていない。経済安保法には致命的な欠陥があるようにみえる。

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嬉しくもあり、懐かしくもある

三菱電機が海洋牧場の実現を目指しているとのニュース。魚は音を聞き分けられる。音波で魚群を誘導しようと狙っている。まずは、魚の嫌がる音波で魚群を遠ざける技術を開発したとのこと。更に好みの音波で魚群を集める技術にも取り組んでいる。これらと、音波の方向をコントロールする技術を組み合わせ、漁網の要らない「海洋牧場」の実現を目指している。でも、同じ調子で音を届けると慣れてしまって効き目が薄れるため、出力間隔を変化させることで、慣れを解消する必要があるとのこと。この研究が更に進めば、魚種別のコントロールも可能になるかもしれない。音波による海洋牧場について、自分は40年前頃に考えたことがある。だから、三菱電機の海洋牧場開発は、嬉しくもあり、懐かしくもある。一方で、三菱電機は品質不正が発覚し、調べれば調べるほど不正が出て来るので、まさに泥沼の中にいる。そこでこう思う。三菱電機は、まず泥の中にいるドジョウを見つける技術を開発し、更に更生させる技術を開発すべきではないかと。

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#値上げ受け入れていません

黒田総裁が昨日の講演で、商品の値上げが続くことに対し「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」との見解を示したことが波紋を広げている。この言葉を額面通り取れば「国民は値上げもシャーナイと思っている」という意味になる。当然全方位から批難の声が挙がった。年俸3,500万円の黒田にとっては、許容の範囲かもしれないが、一般庶民にとっては切実だ。黒田は、新型コロナで行動が制限されたことにより貯蓄が増えたと考えたようだ。黒田と庶民の認識は相当ずれている。ネット上では「#値上げ受け入れていません」がツイッターのトレンドになっている。ところが、今日になって黒田の主張は一変した。「昨日の発言は、賃上げの必要性がより高まっているという文脈で申し上げた」と、前言を翻す政治家まがいの言い訳。これ程認識のずれた総裁に金融政策を任せて良いのだろうか。一方で金融バズーカの出口も見つからない。ひょっとすると、黒田は故意に総裁を退くためのタネ「値上げ許容」を撒いたのかもしれない。

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半導体不足で半導体が作れない

産業の米である半導体が不作で、世界経済に打撃を与えている。一向に解消される兆しが見えない。トヨタの新車納期は半年先だ。家電メーカー各社も洗濯機、炊飯器、エアコン、テレビなどの家電製品を作れない状態にある。これから夏を迎えるというのにエアコン不足で、酷暑の夏が危惧されている。勿論、世界各国の半導体メーカーは、長引く半導体不足を解消すべく、増産に次ぐ増産を行っている。また、半導体メーカーの生産能力を増強するため、各種の製造装置メーカーも、これまた増産を行っている。ところが、半導体不足は製造装置メーカーにも及んでいる。半導体を作りたいのに、半導体を作る装置を作れないのだ。半導体を作るには、ドライエッチング装置、露光装置、洗浄装置、検査装置等々を使い、製造工程は1000工程以上に上る。半導体製造装置に使われる半導体は15種類もある。その中の1つが欠けても半導体は作れない。先ずは半導体製造装置を作るため、半導体メーカーが製造装置メーカーに優先供給するのが先決だ。ところが、自動車も家電もその他の機器の業界も半導体の奪い合いを続けている。半導体供給の割り振りを取り仕切る世界のリーダーはいないのだろうか。

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居眠り議員は不要

広島県安芸高田市の石丸市長が注目されている。議会の機能不全を是正するため、議員の半減化を目指している。本人は、京大経済学部卒で三菱UFJ銀行に入行したが、前市長が河井元衆院議員から現金を受け取り辞職したことで、銀行を退職し出馬を決断。市長就任早々「居眠り議員は不要」とツイート。転職サイトで全国から副市長を公募する議案を提出したが、財政難を理由に議会で否決。性的マイノリティのカップルが婚姻と同等の扱いを受けられるパートナーシップ宣誓制度を導入するなど、先進的な政策を次々と進めている。「政治の見える化」を掲げる石丸市長が、どうしても実現したい肝いりの政策は市議会の議員定数半減だ。安芸高田市の人口は27,000人だが、議員は16人もいる。石丸市長は議員に対し「質問しない。居眠りする。説明責任を果たさない」と批判している。勿論一方で反対意見も多い。実現するかは別として、これを契機に、国会での居眠り議員撲滅と議員数削減に話題の焦点が移ることを期待している。

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加速化する少子化

少子化が想定以上に加速しているとのニュース。3日に公表された合計特殊出生率は1.30で出生数は81万人だった。2017年に発表された国立社会保障・人口問題研究所の人口将来推計は、合計特殊出生率1.40、出生数87万人だから、益々少子化が加速している。推計に対し6年前倒しされた格好だ。政府は希望出生率1.8を掲げているが、遠のくばかりだ。イーロン・マスクは、何と「このまま続けば日本はいずれ存在しなくなるだろう」と警告を発している。2004年の出生率が続けば、2100年には4,100万人に減少し、3300年には0人になると試算している。少子化担当相は2007年に創設され、20名以上の大臣が入れ替わり担当したが、成果は全く出ていない。野田現大臣はその存在すらも不明瞭だ。大前研一が改善策を提案している。西欧では婚外子が50%だが、日本は2%。西欧では婚外子でも国民として認められるが、日本の婚外子は戸籍を得ることが出来ない。だから生まない。戸籍制度を廃止し欧米並みに婚外子を国民と認めるようになれば、出生率は上がるはずだと言う。日本の少子化対策は家族制度を抜本的に見直すことから始める必要がありそうだ。

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犬猫へのマイクロチップ装着の義務化

改正動物愛護管理法が6月1日施行され、犬や猫に所有者情報などが分かるマイクロチップを装着することがペットの繁殖・販売業者に義務づけられた。飼い主に対しては、チップを装着した犬猫を購入した場合所有者情報の変更登録が義務化され、以前から飼っている犬猫には装着が努力義務となった。チップは直径1.5mm、長さ1cmほどの円筒形。獣医師が専用の注入器で首の後ろ辺りに埋め込む。費用は数千円~1万円ほどとのこと。ペットフード協会と環境省の調査によると、全国で飼われている犬は710万頭で、猫は894万頭。保健所の引き取り数は、犬2万7千頭で、猫は4万5千頭。そのうち殺処分が犬4千頭、猫2万頭。環境省動物愛護管理室の担当者は「飼い主の管理意識の向上が期待でき、安易に犬猫を捨てることの抑止にもつながる」と意義を強調している。でも、マイクロチップを積極的に装着させる飼い主はどれ程いるのだろうかと思う。ペットショップでは数十万円もする犬猫が売られている。しかし、その数は氷山の一角にも至らない。殆どの犬猫は、引き取られたり拾ったりされているのが現状だ。マイクロチップの義務化は現実離れしているように思えてならない。

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夜間でも発電する技術

夜間でも発電する技術を豪州と英国の研究チームが開発したとのニュース。太陽光発電は、昼間の日光を基に電力を生成するシステムなので夜間には発電出来ない。ところが、太陽光発電と同じような原理で夜間にも発電出来るという。ずばり赤外線の利用だ。昼間には太陽光が降り注いているが、夜にはこれと同じエネルギーが赤外線として地球から広大な宇宙空間に熱放射されている。この夜に赤外線として大気中に放射される熱エネルギーから変換して電気を発生させるのだという。サーモラジエイティブ・ダイオードという半導体を使用する。現時点での発電量はソーラーパネルの10万分の1程度と非常に小さいが、応用利用は可能だ。例えば、人工心臓の電池。現在は定期的な電池交換が必要で感染のリスクもある。だが、この技術を使えば原理的には体温で充電出来るようになるかもしれない。早期の実用化を願いたい。

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コメンテェーターの質の劣化

テレビの情報番組のコメンテェーターの質の劣化が甚だしい。一茂なんぞが出てくる。野球へのコメントならば分からなくもないが、滔々とウクライナ戦争などを解説したりする。呆れてしまう。いわゆるプロのコメンテェーターにも酷いのがいる。代表例が羽鳥慎一モーニングショーの玉川徹だ。当初ゼロコロナ政策を推奨していた。中国がゼロコロナ政策で世界経済をメタメタにしてしまったのを見れば、ゼロコロナ政策がいかに間違っていたかが分かる。ロシアがウクライナへ侵攻した時、人命最優先でウクライナが無条件降伏することを主張していた。ロシアが人道に基づかない行為をすることを見誤っていた。東京都の太陽光パネル義務化について「どんどん進めるべき」と主張した。太陽光パネルが義務化されれば、益々住宅価格が高騰し、住宅を買えない人が続出する。義務化は絶対に間違っている。帯状疱疹ワクチンは保険がきくと誤情報を流した。事実を調べもしないで、いい加減なコメントをする。無責任そのもの。自分は、他人の話を聞かずに、口を尖らせて自説を主張する輩は嫌いだ。玉川は、コメンテェーターとして失格だし、人間性も劣る。何故テレビ朝日は玉川の起用を続けるのだろうか。

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