葉っぱを見て、木も森も見ていない

物価・賃金・生活総合対策本部の初回の会合で、岸田首相が節電をした家庭や企業を優遇する新たな制度を発表した。岸田が力を込めたのが、電力不足への対応として掲げた節電ポイント事業の拡充だ。現在企業向けに行なわれているデマンドレスポンスという仕組みを一般家庭にも広げようとする狙いだ。デマンドレスポンスとは、電力ひっ迫が予想される前日利用者のスマホに節電のお願いのメールが送られ、節電するとスマートメーターが電力会社に通知し、節電達成度に応じてポイントが得られる仕組みだ。節電量1kWhあたり5ポイントが付与され、Tポイントやdポイントなどに交換可能だ。ところが、月に260kwhを使うモデル家庭で、目標とする3%の節電をした場合では、還元されるポイントは月数十円ほどにしかならない。即ち、岸田は「月数十円のポイントをあげるので節電してください」と呼び掛けているのだ。岸田がやるべき事は、節電要請ではなく、電力を安定供給させることだ。岸田は木を見て森を見ていない。いや、木の葉っぱ数枚しか見ていない。