2019年11月

5Gの風が吹くと

風が吹けば桶屋が儲かるという諺がある。何か事が起こると、巡り巡って意外なところに影響が及ぶことの喩えだ。現代では、可能性の低い因果関係を無理矢理つなげてできたこじつけの理論・言いぐさを指す。ところが、技術の発展により「風が吹けば・・・」が現実に起きそうな事例があるという。次世代の高速通信システムである5Gの実用化によって、天気予報の精度が30%も低下し1980年代レベルに逆戻りする可能性があると懸念されている。米国では5Gの帯域として24GHz帯を割り当てている。一方で、気象衛星は水蒸気を観測するために23.6~24GHzの周波数で動作するセンサーを搭載している。この2つが干渉すると気象衛星のデータ収集と送信が大幅に妨害される恐れがあるという。残念ながら5Gが本格稼働しないとその影響は分らないとのこと。日本では5Gに28GHz帯が使われる。5Gアンテナからヒトに有害なレベルの非電離放射線が発せられ、健康被害の出る恐れが懸念されている。「風が吹けば・・・」が現実に起きなければ良いのだが。

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当たるも八卦と言うが

100年後の世界を予測する記事が花盛りだ。でも、明日の天気予報も当たらないのに果たして100年後を予測出来るのだろうか。発端は、今から100年前の1920年に政教社が出版した「百年後の日本」だ。当時の知識人350人が100年前に今年の予測を寄稿した。だが結構当たっている。飛行機の出現、IT技術の発達、コンビニの出現等々。一方現代では三菱ケミカル小林会長がThe Global KAITEKI Centerを設立した。まさに「100年先の世界と地球」を見据えた技術やノウハウを生み出すために設立された研究所だ。貫くテーマは持続可能性とのこと。小林はKAITEKIという言葉を、トヨタが広めたカイゼンに続く世界共通語にしたい考えとのこと。確かに10年先では近過ぎ、1000年先ではピンと来ない。100年先は想像可能なのかもしれない。ドラえもんが誕生したのは2112年9月3日。まさにドラえもんは100年後の世界だ。現代予測として100年後には世界人口が110億人まで膨れ上がる。そのうち7割は都市に集中するという。しかも、温暖化で現在の巨大都市の多くは水没してしまう恐れもあるという。そこで海上都市の建設技術を持つ会社が脚光を浴びるという説もあるようだ。でも、先は長い。当たるも八卦当たらぬも八卦とは言うが、100年先を考えることは、極めて有効的なことだと思う。

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結婚記念日あれこれ

今日は48年目の結婚記念日だ。カミサンのお好みのフレンチ・レストランに行って美味しいものを食べてきた。昔は結婚記念日といえば、7周年の銅婚式、25周年の銀婚式、50周年の金婚式しか無かったように思う。ところが、今はのべつ幕無しだ。1周年が紙婚式、2周年が藁婚式、3周年が革婚式という具合。よく見ると、(金属)婚式が多い。6周年が鉄、8周年が青銅、10周年がアルミ、11周年が鋼鉄だ。我が家はあと2年で金婚式を迎える。15周年以降は5年毎になるので、48周年は無名だ。そこで我が家独自の結婚記念日を命名することにした。自分は化学を生業にしてきた。だから周期表が身近な存在だ。周期表で金Auは第79番目の元素だから、2つ前の第77番目のイリジウムIrを採ってイリジウム婚式と呼ぶことにした。このまま長生きすると、55周年のエメラルド婚式、60周年のダイヤモンド婚式が待ち構えている。まさかカミサンがその年になってエメラルドが欲しい、ダイヤモンドが欲しいなどとは言い出すまい。その頃は宝石の価値も自分の存在すらも分らなくなってしまっているかもしれない。

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フランシスコ教皇

ローマ教皇フランシスコが広島で戦争の悲惨さ、核兵器の不要さ、未来を語る国際的なリーダーシップの不在さを訴えて帰路に着いた。フランシスコ教皇は元々バチカンの腐敗を改革するために選出された。その後共産圏との宥和を進め、キリスト教東西分裂以来ほぼ千年ぶりにロシア正教との会談を実現したし、司教任命権で中国と暫定合意し国交を回復させた実績がある。極めて稀有な教皇だと思う。世界を見渡すと、何と戦争が多いことかと思う。その殆どが宗教対立に起因している。キリスト教対イスラム教、ユダヤ教対イスラム教、ヒンドゥー教対イスラム教、イスラム教の宗派対立、プロテスタント対カトリック等々、数え上げたら切りが無い。今こそ、各宗教のトップが宥和のため腰を上げるべき時だと思う。フランシスコ教皇こそ、その呼びかけを行う適任者だと思う。フランシスコ教皇がイランの最高指導者ハメネイ師と会談するだけでも、世界は変わってくると思うのだが。

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似て非なる買収

久々に大型買収の話が進んでいる。海外ではルイヴィトンLVMHがティファニーを約1兆8千億円で買収することに合意したという。一方日本では昭和電工が日立化成を買収する優先交渉権を獲得したという。買収額は約9千億円と見られている。LVMHはファッションと小売りが柱で、手薄の時計・宝石を強化させるのが狙いだ。同一業界内の弱い分野の補強だから上手くいきそうだ。一方昭和電工は日立化成を買収して相乗効果が出るのだろうか。日立化成はスマホに使う半導体の封止材料やリチウムイオン電池の負極材などで世界でも高いシェアを持っている。昭和電工から見れば魅力的に映るのかもしれない。だが、日立化成は小さな事業の集合体で、昭和電工に較べると一人当たりの生産性が極めて悪い。もし、買収に成功しても、まずは事業の整理・リストラから手を付けざるを得なくなるに違いない。簡単に言うと、売り上げ・組織は大きくなるが1+1の相乗効果は期待出来ない。寧ろ買収額9千億円の半分程度はドブに捨てることになるかもしれない。発表により、昭和電工の株価は-6%下がり、日立化成は+15%上がったのは、昭和電工に対して無謀なことはするなという市場からの警告だと思うのだが。

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潮目は変わるかも

香港の区議会選挙で民主派が圧倒して勝利を収めた。4年に一度の選挙。投票率は前回の47%をはるかに上回る71%。結果は民主派385議席対親中派59議席。誰も予想しなかった驚愕の選挙結果だった。高い投票率と民主派圧勝は、間違いなく中国政府にNOを突きつけたと言える。香港市民が如何に自由を願っているかが伝わってくる。一方米国では、中国当局による人権弾圧を裏付ける内部文書が流出しニューヨークタイムズが掲載した。ウイグル族の大量拘束に関する党上層部の指示などが書かれている。習近平がウイグル自治区で現地の職員らに対して、テロリストや分離主義者を容赦なく取り締まれと指示した未公開の演説原稿も含まれている。現にウイグル人を100万人も強制収容している。分離主義者とは少数民族だけでなく、香港や台湾も指すと考えるべきだろう。今こそ世界中が中国の人権侵害に厳しい目を向け声高に非難すべき時だと思う。香港選挙が蟻の一穴となり、潮目は変わるかもしれない。

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9つの利き酒セット

今日は恒例の同期会。約半世紀前の初任地の仲間だ。その2年後には各地に別れていったが、まるで幼馴染みのようだ。気心が合うとはこういうことを言うのだろう。幹事は公平に持ち回り。今日の幹事はワイン通のH君。東京国際フォーラム内にある小洒落た酒蔵レストランを見つけてくれた。全国9つの蔵元がオフィシャルパートナーで、郷土の食と日本酒を世界に発信する店だと宣伝している。ビールで乾杯後、全員が利き酒セットを頼んだ。普通利き酒セットは3つのところが殆どだが、この店は何と9つもある。山形の大山、宮城の浦霞、栃木の開華、岐阜の久寿玉、京都の酒呑童子、奈良の春鹿、岡山の嘉美心、高知の司牡丹、大分の西の関。殆ど飲んだことのないお酒ばかりだ。実家が蔵元のW君は「最初は癖のない浦霞が良い」と言う。酒造メーカーの工場長をしていたF君は日本酒に精通していて蘊蓄を傾ける。飲み比べた結果、結局、司牡丹船中八策が一番旨いということで、W君とF君と自分の意見が一致した。東京国際フォーラムの場所は嘗て都庁があった。その前は土佐藩上屋敷があった。期せずして、土佐の司牡丹に軍配が上がったことに何か縁を感じる。もし次回行く機会があれば、龍馬の好物であった軍鶏鍋を所望しようと思う。

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GSOMIAの行方

昨日の土壇場になって、ついに韓国が日韓軍事情報包括保護協定GSOMIAの破棄を停止すると発表した。韓国世論は破棄支持が多かったから、想定外のニュースとして伝えられた。でも、自分は韓国が最終的には破棄しないだろうと思っていた。協定上は日本も韓国も破棄出来ることになっているが、裏には米国がいるから、当事国の独断で破棄出来る訳がない。韓国は記者会見で「いつでも協定を終了できる前提の決定」であると語っているが、これは韓国政府の国民に向けた最大限の言い訳だろう。一方日本ではある政府高官が「ほとんどこちらのパーフェクトゲームだった」と語ったいう。この高官は二つの間違いを犯している。一つは、この問題を勝ち負けで判断するのは余りにも見識が無いこと。レベルが低く幼稚過ぎる。日本は何もしなかっただけ。したのは米国だ。もう一つは、この発言が今後の展開に水を差すこと。戦犯ものと言える。即刻実名を明かし、更迭すべき輩だと思う。

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アイデアコンペ

今から40年くらい前の頃、化学会社の研究所勤務の時、所員の活性化を図るためアイデアコンペを企画したことがある。その時出てきたアイデアが採用されて実現したものはなかったが、後世になって第三者により実現されたものは多い。例えば、使い捨てカイロ。アイデアは出たが、具体的な達成手段までには至らなかった。自分は「空中に浮かぶ広告塔」を提案した。当時は夢のような技術だったが、その後ホログラフィーやプロジェクトマッピングで可能になった。セルロースの利用も考えた。木材はセルロースから出来ているから資源は豊富だ。だが、セルロースを使い易くする技術がなかった。ところが、技術開発が進展し、今ではセルロースナノファイバーが脚光を浴びている。東京モーターショーでは「木から出来たスーパーカー」が展示されていた。セルロースナノファイバーを樹脂に混ぜると、軽量かつ強靱になる。ガラス強化のFRPと違い燃えるのでリサイクル可能だ。環境に優しい化学技術が着実に歩を進めていることをとても嬉しく感じる。

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ポスト5Gって

今年は5G(第5世代移動通信システム)元年だ。移動通信は10年スパンで世代が交代してきた経緯がある。1980年代の1Gは自動車電話などで移動しながらの電話が可能になった。1990年代の2Gは通信がデジタル化され、誰でも携帯電話が持てるようになった。2000年代の3Gはインターネットで画像が送れるようになった。2010年代の4Gはスマホで映像などを配信できるようになった。そして今年から5Gの世代に入る。5Gは4Gに較べ、通信速度が100倍速くなり、扱えるデータ容量は1000倍にもなる。5Gは第4次産業革命をもたらすとも言われている。ところが、日本は国が5G開発を援助しなかったから、出遅れてしまった。総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」では5Gを理解出来ない者同士で未だにトンチンカンな議論が行われているという。5Gも理解出来ないのに、政府は「ポスト5G」のため2200億円の基金を創設し、技術育成すると発表した。金を出せば技術が出来るというものではない。何にお金をかけるかの議論と共通理解が求められている。

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日本に基礎研究が根付かない訳

政府が唐突に、iPS細胞の備蓄事業予算10億円を打ち切ると山中教授に通達した。山中教授は「いきなり支援をゼロにするのは相当に理不尽。公の場での議論もなく、理由も分らない」と憤っているという。内閣官房からの一方的な通告で、文科省も蚊帳の外とのこと。政府は12年度にiPS細胞の研究全体に10年間で1100億円拠出することを決め、その中で備蓄事業も支援してきた。備蓄事業には既に90億円を注ぎ込んでいる。患者自身からiPS細胞をつくって移植すると、数千万円の費用と数カ月の時間がかかるので、重篤な患者では間に合わない可能性もある。そこで、献血のようにあらかじめ複数の型のiPS細胞をそろえておく備蓄事業が創案された。だが、研究は難航しゲノム編集した6種類のiPS細胞で日本人のほぼ全員をカバーすることにした。ところが、iPS細胞から移植用の細胞をつくる企業の側は、1種類のiPS細胞だけを使い、免疫抑制剤で拒絶反応を抑える方が事業として成り立ちやすいと判断したようだ。研究者も企業も政府も、それぞれの立場があることは分かる。だが、国を挙げての研究が、当事者同士の議論も無く一方的な内閣官房の判断で中止されるのは納得がいかない。これでは日本に基礎研究は絶対根付かない。

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長期安倍政権の評価

安倍首相の通算在任日数が今日で2887日となり、明治以来桂太郎を抜いて最長となった。人間にとって長生きは好ましいことだとは思うが、果たして政権にも当てはまるのだろうか。真摯に考えるべき事だと思う。安倍政権がヨチヨチ歩きだった頃、日本の首相は1年替わりで入れ替わっていた。それに較べれば7年は相当長い。当時イタリア歴史に詳しい塩野七生が「安倍に10年くらいやらせてみたら」と言っていた。西欧の歴史から見ても大切なのは政治の安定化だと確信していたからなのだろう。自分もある程度長期政権が必要だとは思っていた。でも、結果はどうだったのだろうか。7年間の実績は惨たるたるものだったと思う。それまでの首相の1年間の実績と7年間の実績が対等と考えれば、7年間の実績は1年生首相の7倍であるべきはずだ。でも高々1~2倍でしかない。塩野の目論見は外れていた。安倍政権の長期化の要因は、安倍個人の力量ではなく、小選挙区化、官僚の人事権掌握、内閣情報局の私物化だったのだと思う。安倍政権は実績を残したのだろうか。アベノミクスは株価が上がっただけ。反面格差が増長した。それだけではない。日銀は国債と株を買いあさり、年金機構は株に年金を注ぎ込んだ。余りにも巨額なため、換金すると株が暴落するので最早回収は不可能だ。後世になると安倍政権は日本に致命的な欠陥を遺したと評価されるかもしれない。

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香港事情2

政府への抗議デモに揺れている香港で、とうとう香港警察が大学内に突入した。数十人が負傷し、数百人が拘束された。何故雨傘運動は過激化しているのかは1ヶ月前「香港事情 」に書いた。今日はその続きだ。林鄭月娥行政長官が習国家主席と会談した後、デモ隊を「人民の敵」と呼ぶなど益々強硬になった。一方平和的なデモは逆に難しくなり、暴力はますますエスカレートしている。もう既に内戦状態だ。一国二制度は終焉を迎えようとしている。一方で香港の高裁が、デモ隊の覆面を禁じる規則について、憲法に相当する香港基本法に「違反している」と判断を下した。さすがに英の血を引く「三権分立」だと感心した。だが、中国では憲法よりも全人代が上位にある。いずれ中国政府により覆されることになるのだろう。米ではトランプが司法長官を任命し、日本では安倍官邸が逮捕直前のレイプ容疑者の逮捕を見送らせた。日米とも三権は分立されていない。もう一度英に学ぶ必要がありそうだ。

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嗚呼、ボジョレー・ヌーヴォー

もうすぐボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だ。嘗ては初冬の風物詩だった。酒屋は勿論のこと、デパートやスーパーでも店頭の一等地に堆く陳列され、売り子の声が街頭を賑わしていた。でも、今ではそれが夢だったかのようにひっそりとしている。あの騒ぎは何だったのだろうかと思う。当時はワイン通と自称する人がボジョレー・ヌーヴォーを絶賛していた。それにつられ自分みたいなワイン音痴がボジョレー・ヌーヴォーを買い求めたものだ。ボジョレー・ヌーヴォーはラベルが華やかで綺麗だ。自分の購入の選択肢はそのラベルにあったことを思い出す。何故これほどまでに廃れてしまったのだろう。一つは、ワイン通のテイストレベルが上がったためだろう。ボジョレー・ヌーヴォーは新酒だから、ワイン本来のテイストではない。舌が肥えれば当然価値が下がっていくということだろう。もう一つは、毎年のキャッチコピーの怪しさだろう。毎年「10年に一度」とか「豊かな果実味と程よい酸味が調和」とかが繰り広がれる。これだけ続くと誰も信用しなくなる。更なるダメ押しは、商社の販売意欲が冷めたことだ。人気が下降すれば、脱兎の如く逃げていく。ボジョレー・ヌーヴォーの廃れは、本物のワイン通が育ってきた裏返しかもしれない。

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東京五輪招致費の記録の行方

2020年東京五輪が泥塗れだ。マラソンにIOCの横槍が入っただけではない。マラソンについては、ベターを選ぶ選択に過ぎないが、大元の東京招致の疑惑が益々湧いてきた。竹田前会長が裏金をブラック・タイディングス社に2億円を払い招致に成功したと言われている。海外に出れば逮捕は免れないので、会長職を辞しひっそりと隠れている。でもその裁判はまだ始まっていない。ところが、毎日新聞の調査によると、東京五輪招致に使われた海外コンサルタント費計9億円の支出を裏付ける会計書類の所在が不明になっているという。招致委員会の解散時の全役員と事務局幹部計20人に所在を尋ねたが、知る人はいなかったとのこと。招致委と連携していた東京都やJOC、運営を担う大会組織委員会にも継承されていないという。不思議なことに影も形も無くなってしまったのだ。しかも契約書類を保存する規約は無いという。保存義務も無く、疚しい事実が存在するのであれば、向こう傷がある権限のある者が事実を隠蔽する恐れは十分にある。安倍政権とそっくりだ。

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植物の気持ち

乾燥が続いた後に雨が降ると、木々が生き生きとしてくる。木々にとって雨は、まさに天からの贈り物だと思っていた。ところが、西オーストラリア大学などの研究チームが、雨が降ると植物はパニック状態になることを発見したという。水は植物が生きるために不可欠なものだが、植物は雨をさほど歓迎していないという。雨は病原菌をばらまく悪魔と認識しているのかもしれない。雨が植物に触れると、植物は複雑な化学的信号を発し、雨から身を守るための備えをするようだ。研究チームの観察によると、水によりMYC2タンパク質が活性化し、266個の遺伝子が動きだし自衛の準備に入るとともに、この信号が葉から葉へ伝播して、様々な防御作用を引き起こしたという。その信号となる植物ホルモンの一つであるジャスモン酸は、空気を通して周囲の植物にも伝達するという。そう言えば嘗てキャベツの話を聞いたことがある。二つのキャベツを並べ、片方を包丁で切ると、もう片方のキャベツがギャーッと悲鳴を上げるという。昔はマユツバか単なる共鳴かと思っていたが、ジャスモン酸の為せる技かもしれない。植木を剪定するときは、前もって植木に断わりを入れる必要がありそうだ。

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身の丈に外れた儀式

大嘗祭が始まった。明日の午前3時まで続く。大嘗祭とは、大嘗宮において、国家・国民のために、その安寧・五穀豊穣を天照大神に感謝し、新天皇が神々に供え、自身もそれを食する行事だ。大嘗祭を行う場所を大嘗宮という。大嘗祭のたびごとに造営され、その後は破却、奉焼されることになっている。昔は質素な行事だったが、近代は派手になってきた。今回の大嘗祭は平成天皇の前例を引き継いだ。結局、一夜の大嘗祭のために24億円もつぎ込んだ。予てから秋篠宮さまは「身の丈に合った儀式」と主張されていた。極めて現代に合った見識だと思う。テレビを見ていてこう思った。大金をかけた割には見栄えが悪い。まるで土着民がバラックでお呪いをしているように映る。有難味は微塵もない。この行事を仕切ったのは改憲を目指す安倍政権に違いない。最大の欠点は、平成天皇即位の習わしを安易に踏襲したことだ。その平成天皇は昭和天皇を踏襲した。でも考えてみよう。昭和天皇といえば、太平洋戦争の当事者であり、戦前戦中は軍国主義華やかな時代だった。最大の問題は、その昭和天皇と全く同じ大嘗祭を行った平成天皇の行事にこそ問題があったのだと思う。更にその平成天皇の行事を踏襲した判断こそ、時代錯誤と断ずべきだろうと思う。

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秋に桜が散った

政府は総理大臣主催「桜を見る会」が野党の追求を受けるやいなや、突然2020年の会の開催中止を発表した。何事も強引に押し通す安倍政権にとっては異例中の異例だ。それだけ疚しいことがあるということだろう。「桜を見る会」は観桜会の復活という形で1952年に吉田首相が始めたので歴史は長い。目的は、各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労することだったが、安倍政権発足時から変質した。参加人数が8千人から1万8千人に膨れ上がり、費用も1700万円から5500万円に激増した。問題は、地元山口県の安倍後援会が850人も参加していたことだ。しかも、費用は公金から拠出されている。公職選挙法では投票や選挙運動の報酬として供応接待することは事後報酬供与罪となり、罰則は3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金となる。併せて公金の不正使用の疑いもある。これらの罪が成立すれば安倍の辞任は不可避だ。唐突に開催を中止したのも肯ける。安倍政権は、もうすぐ歴代最長の政権になる。長くなればなるほど傲りが出るもの。引退の道には散った桜が敷かれている。

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易しい銀行経営

SBIが福島銀に出資とのニュース。島根銀に続く「SBIによる第4のメガバンク構想」の第二弾だ。20~30年前は、銀行が証券会社を取り込むのが当たり前だった。ところが、時代が移り証券会社が銀行を取り込む時代になった。いま地方銀行は疲弊している。要因は二つ。日銀のマイナス金利政策と銀行自身の重いシステムだ。マイナス金利政策により地銀の再編は避けられないが、再編の壁は高い。そのネックとなるのが地銀のシステムコストと行員のプライド。吸収しても、吸収されても、それが問題になる。ところが、証券会社はフットワークが軽い。ネット技術や金融商品の販売ノウハウで優位にある。しかも、システムは再編容易なクラウドだ。だから重たい地銀が、軽い証券会社に飛びついたという構図だ。時代は移ろいゆくもの。その典型がみずほ銀行だ。第一勧銀、富士銀行、日本興業銀行で再編されたのが2002年。でもシステムが統合されたのは昨年。しかも戦艦大和のような重いシステムを構築した。身動きがとれないし莫大な維持費が必要だ。だが、いまやクラウドの時代に移っている。戦艦大和がみずほの業績を引っ張っている。もし、時代を先取りし、クラウドを指向していれば、みずほ銀行は国内随一の銀行になっていたのかもしれない。難しいようで、易しいのが銀行経営なのかもしれない。

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千葉県民が一番悪い

房総半島を襲った台風15号の余波が今も続いている。強風で屋根を吹き飛ばされた家に台風19号が追い打ちをかけ、復旧が大幅に遅れている。でも被害が拡大し、かつ復旧が遅れている原因は台風だけではない。森田千葉県知事要因もかなり大きい。台風15号が猛烈な風台風であることは上陸する前から天気予報で知らされていた。だが、森田は何の事前指示を出さなかった。それどころか、翌日自宅の被害状況を確認するために職務を放り出し自宅に向かい引きこもってしまった。これをきっかけに森田の知事生活が次々と暴露されつつある。台風が上陸した当日に森田知事が登庁しなかったこと。初動対応が遅かったこと。普段から市町村長の面会を殆ど受け付けず現場の意見を吸い上げないこと。登庁してすぐ帰るくせに年間141日も休んでいること。政策に全く通じておらず、議会答弁でも事務方が用意した原稿をそのまま読むこと。知事と面会する人には県秘書課の職員が「知事には政治的な質問はしないでください」と釘を刺していること。自民党千葉県連が「森田はお飾りだから言いなりに出来て使い勝手が良い」と言っていること。これらの暴露を聞くと、台風翌日何故自宅に帰ってしまったのかがよく分る。県庁に出向けば無能さが露呈してしまう。隠れることこそ森田にとって最善策なのだろう。よくよく考えると、仕事も出来ないのに知事に立候補した森田が悪い。無能な知事を操る自民党千葉県連も悪い。無能さをリークしない県職員も悪い。でも、森田を選んだ千葉県民が一番悪い。

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「民が主」と「民の主」の違い

ゲームのアプリは個人が楽しむものと思っていたが、中国では全く別の使い方があるようだ。中国共産党とアリババが共同で「学習強国」というアプリを開発した。習近平国家主席の指示、談話、画像が大量に収録され、クイズ形式になっている。「学習強国」とは「習に学んで強国になる」の意味。習近平思想を学び、クイズに答えてポイントを稼ぐ仕組みで、ポイントが高くなるほど習近平への忠誠度も高いと見なされ、仕事の業績の一部として評価されるという。当初の対象者は、共産党員や政府職員だけだったが、メディア記者の資格要件にも対象が広げられた。そのうち、全国民が対象になり、国民の思想統制が行われることになるのだろう。まさに、毛沢東語録の先を行く習近平語録なのだ。先日その習近平が上海を視察した際「全過程の民主」という言葉を用いて、中国式民主主義について言及した。重要な立法の決定は民主的な下相談を経て、科学的な決断や民主的な決断を通して決められると述べたのだ。言葉づらでは西欧の民主主義とそっくりだ。民主主義の無い中国にも民主主義が誕生するのかと思ったが、全く違う。言葉の定義が違うのだ。民主主義国家では、民主とは「民が主」だが、中国では「民の主」なのだ。言葉の壁が相互理解を難解にさせている。

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問題多い血液クレンジング

血液クレンジングなるものが流行り出し批判を浴びているという。この療法の安全性や医療広告上の問題について、衆院厚生労働委員会で取り上げられた。血液クレンジングとは、100cc程度の血液を抜いて、体外でオゾンと酸素を混合し、また体内に戻すというもの。治療効果の謳い文句が凄い。疲労回復や美容だけでなく、免疫機能を活性化させガンに効き、血流を改善するため心疾患や脳梗塞を改善し、インターフェロンを産生するため肝炎やHIVにも効果があり、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症、リュウマチ、更年期障害、にも効果があるという。だが、問題が多い。まず、認可されていない自由診療だから効果があるのか分らない。治療効果が誇大広告で商法上の問題がありそうだ。血液を体内に戻すため血栓が生じる恐れがある。毒性のあるオゾンを体内に入れるため安全性に疑問がある。中世の西欧では瀉血療法が流行ったことがある。瀉血は単に患部の血液を抜くだけ。現代は殆ど行われていない。血液クレンジングは瀉血の現代版なのかもしれない。血液クレンジングで、抜いた血液にオゾンと酸素を混ぜると、青黒い血が鮮やかな赤色になる。ヘモグロビンが酸素と結合するから動脈血の赤色へと変色するのは当たり前だ。でも患者にはインパクト大。全てはプラセボ効果のなす術かもしれない。早急な安全確認が必要だ。

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自分は誰?

医療技術が進化している。ES幹細胞やiPS細胞を使ってヒトの器官の小さな三次元モデルを生成する技術が花盛りだ。夢の再生医療だから、技術が進化することは人類にとって好ましいことではあるが、一方で倫理的な問題も含んでいる。ヒトの多能性幹細胞から作製する豆粒大の人工脳「脳オルガノイド」は、現代の神経科学で最も注目されている分野の一つだ。とうとう、その脳オルカノイドからヒトの未熟児と類似した脳波を検出したとカリフォルニア大学の研究チームが発表した。だが、脳オルガノイドに関する倫理規定はまだ存在していない。倫理よりも前に、脳オルカノイドの研究が一線を越えてしまったということだ。脳オルカノイドは今は試験管の中の世界だが、ヒトに適用される時代は目前だ。SF小説が現実になろうとしている。施術されると「自分は誰?自分は自分なのか?」と訳が分らないことになるかもしれない。早急な倫理ガイドラインの策定が必要だ。

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ピッチング・ニンジャ賞って?

MLBのオフシーズン・ニュースが面白い。カブスのダルビッシュ投手は前半は振るわなかったが、後半は豪腕を生かして活躍した。サイ・ヤング賞は獲れなかったが、ピッチング・ニンジャ賞を受賞した。ピッチング・ニンジャ賞とは、現役メジャーリーガーや米メディアからもフォローされる名物セレブとして有名なフリードマン氏が自身のツイッターで発表するタイトルのこと。ダルビッシュの159キロの剛球が、捕手の股間に当たり、球審の喉にあたり、そして打者の背中に当たり、たったの1球で打者、審判、捕手をKOしたが、誰一人怪我はしなかったプレーが対象になったとのこと。成績だけでなくプレーを楽しむ精神に満ちあふれた賞だと思う。一方、今季の活躍度合いを金額換算し、年俸とのギャップを示した記事もある。ダルビッシュは+4億円で、年俸以上に貢献したと評価されている。因みに、大谷投手は+21億円、田中投手は-9億円。ファンはその評価に納得し、来季の活躍を期待するし、選手にとっては、+評価はインセンティブになるし、-評価は反省材料になる。日本でも同様の評価が行われれば、プロ野球も活性化すると思うのだが。

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ミラーレスの証明

デジカメの写り具合が今一なので、そろそろミラーレスかと思っていたら、ミラーレスの記事が目に留まった。キヤノンはミラーレスが不振で、業績予想が今期3回目の下方修正を迫られたとのこと。キヤノンは御手洗社長が会長になった10数年前から業績が伸びていない。御手洗の社長時代の成功体験が足を引っ張り、先端技術を取り込む体質が消失してしまった為だろう。一方出井、平井が技術を潰してしまったソニーだが、ミラーレスでは健闘している。ソニーはCMOSイメージセンサーに磨きをかけてミラーレスの欠点であったシャッター遅れを克服した。その結果ソニーのミラーレスのシェアは43%に達している。嘗て一眼レフの王者だったキヤノンの凋落ぶりは見る影も無い。ニコンも巻き返しを図っている。何と発売前のニコンZ50がデジタルカメラグランプリ2020で金賞を受賞した。消費者不在の賞に意味があるのか怪しいが、専門家が審査したのだから、それなりの革新性があるのだろう。ロートル経営者に最先端技術を理解したり、未体験の世界を想像する力は無い。未来を若者に託すことが出来る企業だけが、競争に参加出来ることをミラーレスが証明していると言えそうだ。

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ニュースに載らないビッグニュース

日本郵政がゆうちょ銀株で巨額減損リスクを抱えているという。その額は約3兆円規模というから驚きを超えている。日本郵政は、ゆうちょ銀行の発行済み株式の89%を保有している。簿価は総額5兆7800億円。保有株式数で割ると株価は1732円。会計ルールでは、簿価の50%以下にまで下落すると強制減損になる。もし株価が簿価の半値である866円になると、5兆7800億円の半分の約3兆円が吹っ飛ぶことになる。8月末には950円まで割り込んでいる。時限爆弾のようなものだ。あるファンドマネジャーは「恐ろしすぎて、誰も口に出せない」と言っている。一方、ソフトバンクが米企業ウィーワークへの投資に失敗したと先月MONEY VOICEが記事を載せた。孫CEOはウィーワークを5兆円の価値があると判断し1.1兆円を投資した。ところが、ウィーワークは見てくれだけは立派だが、中身は借金転がしのただの不動産屋で、借金まみれで潰れかけの企業であり、主事業のシェアオフィスにも将来性がないことが判明したとのこと。ウィーワークが潰れたらソフトバンクのビジョンファンドが崩壊し、本体のソフトバンクも潰れる恐れがある。だが、未だに孫CEOからのコメントは無い。一般マスコミは何ら報道せず沈黙している。本当に恐ろしい事は報道しないのが日本のマスコミの常のようだ。

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変わってほしい高野連

FA権行使によるメジャー挑戦を表明した西武の秋山選手が、プレミア12開幕直前に死球を受け右手を骨折した。硬式野球は過酷で危険なスポーツだ。プロ選手でも怪我はつきものなのだから、高校生では尚更だ。でも、この高校生を仕切る高野連は未だに時代遅れの信条を貫いているようだ。今時プロではフェースガード付きヘルメットが当たり前。ところが、高野連は禁止している。安全性能が明確でないとか、視野の確保についての懸念があるとか屁理屈を捏ねている。更に、お金がかかるから平等でないとダメ押しだ。よほど高校生に嫌悪感を持っているのか、はたまた高校生を不死身と誤認しているかのように映る。投球制限についても長らく議論されている。このたび「1人の1週間の総投球数を500球以内」とする投球数制限を盛り込んだ答申案が公表された。投球制限と聞くと制限されるのかと錯覚するが、実態は週に150球、3試合も可能なのだ。投球制限になっていない。先日高野連を牛耳る事務局長が亡くなった。その人は在任中にタイブレーク制度や球数制限の導入、数々の熱中症対策など、球児の体を守るための改革を進めたとされている。実態は真反対だ。死んだ人の悪口を言いたくないが、高野連は遅れ過ぎている。少しは変われないものなのかと思う。少しは変われ!

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「文化の日」という謎

今日は「文化の日」。でも「文化の日」とは、どういう祝日なのかは知らなかった。恐らく国民の半数以上は知らないのではないかと思う。そこで調べてみた。「文化の日」とは、法律によれば「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としている。分ったようで分らない。11月3日は元々明治天皇の誕生日で祝日だった。昭和21年11月3日に日本国憲法が公布され、昭和23年に国民の休日「文化の日」になった。日本国憲法が、平和と文化を重視していたからだという。公布された後、施行されたのが5月3日で、この日が憲法記念日となっている。「文化の日」と「憲法記念日」は対なのだ。それならば、寧ろ「文化の日」は「平和の日」の方が良かったとは思うのだが。この経緯にはまだ裏話がある。元々日本国憲法は11月1日に公布されることになっていたという。そうすると、施行日が5月1日となりメーデーと重なってしまうという理由で3日になった。当時11月3日を憲法記念日とする動きがあったが、明治天皇誕生日と重なるためGHQが猛烈に反対し、訳の分らない「文化の日」に落ち着いたらしい。遂に自分にとって意味不明の「文化の日」の謎が解けた。今から思えば「平和の日」と命名しておけば、改憲議論など起きなかったかもしれない。

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マラソン札幌移転騒動

IOCが東京五輪のマラソンを札幌に移すことを決定したと唐突に発表したため一騒ぎだ。JOCはIOCに従順だが、小池都知事が抵抗している。小池は「なんで私が最後なの。北方領土でやれば良い。札幌の費用は出さない」と息巻いていたが、結局「合意なき決定」という形で札幌移転が決まった。近年の猛暑を考えれば、札幌に移転する方がアスリート・ファーストであることは間違いない。札幌では毎年マラソン大会を開催している。千葉真子は「新川通りは真っ直ぐで日陰が無いので選手はきつい」と言うが、選手はそんなにヤワではない。突然の会場変更で選手の対応が大変だと言うが、条件は全選手同じ。会場変更によるハンデを負う者などいない。小池が最後に「何故暑い8月に開催するのか理解しているが、もう一度考え直すべき」と発言した内容だけは的を射ている。日本陸連の強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦は「移転と聞いて、やる気がなくなった」とコメントした。「やる気になった」のなら理解出来るが「やる気がなくなった」のは理解不能。リーダー失格。早急にリーダーの変更が必要だ。

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不甲斐ない文科相s

大学入学共通テストの英語民間試験が、土壇場になって来年度導入が見送られ、新制度を検討後2024年度に先送りされることになった。文科省による民間への丸投げは当初から問題があった。大学入試センターが民間試験を認定したのが2018年。時の文科相は林芳正だった。林が元凶だが、何ら反省の弁も無い。次の柴山昌彦は不作為。これまた無責任。そして萩生田が登場。萩生田は当初来年度導入派であった。ところが「身の丈」発言でボロを現した。世論の反撃に遭い、とうとう降参した。降参のタオルは官邸が投げたようだ。元々萩生田の文科相抜擢は、加計問題の論功行賞だ。萩生田は落選時代に加計に飯を食わせて貰った恩義がある。しかも安倍首相のマブダチ。加計学園獣医学部新設のため官邸の権力を駆使して奔走したのは間違いない。一方文科省官僚はアンチ安倍派が多い。安倍は官僚潰しのため萩生田をつぎ込んだのだろう。ところが、官僚の「民間丸投げ」という罠に嵌まってしまったというところかもしれない。歴代文科相の顔ぶれを見ると、日本の教育に暗澹たるものを感じる。文科相の適任者はいないのだろうか。

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