似て非なる買収

久々に大型買収の話が進んでいる。海外ではルイヴィトンLVMHがティファニーを約1兆8千億円で買収することに合意したという。一方日本では昭和電工が日立化成を買収する優先交渉権を獲得したという。買収額は約9千億円と見られている。LVMHはファッションと小売りが柱で、手薄の時計・宝石を強化させるのが狙いだ。同一業界内の弱い分野の補強だから上手くいきそうだ。一方昭和電工は日立化成を買収して相乗効果が出るのだろうか。日立化成はスマホに使う半導体の封止材料やリチウムイオン電池の負極材などで世界でも高いシェアを持っている。昭和電工から見れば魅力的に映るのかもしれない。だが、日立化成は小さな事業の集合体で、昭和電工に較べると一人当たりの生産性が極めて悪い。もし、買収に成功しても、まずは事業の整理・リストラから手を付けざるを得なくなるに違いない。簡単に言うと、売り上げ・組織は大きくなるが1+1の相乗効果は期待出来ない。寧ろ買収額9千億円の半分程度はドブに捨てることになるかもしれない。発表により、昭和電工の株価は-6%下がり、日立化成は+15%上がったのは、昭和電工に対して無謀なことはするなという市場からの警告だと思うのだが。