続:土偶の謎の解明

長らく謎であった新石器時代フィギュアについて有力な新説が発表された。対象は、エジプト先王朝時代のナカダⅡ期(5700~5300年前)のフィギュア。ここで言うフィギュアとは「造形された人体型の小像」を意味する語で、ぴたりと閉じられた両脚、不自然な後傾姿勢、腕部が省略された円筒状の上半身、という奇怪なフォルムだ。今年発刊された「竹倉史人:世界の土偶を読む:晶文社」によると、奇怪なフォルムは植物の人体化であると言う。植物資源が人体化されて造形されたのは、当時の採集狩猟民や耕作民たちが炭水化物の精霊たちを可視化し、これと交渉する必要があったからだと考察している。著者は、実際にムギを発芽させ、フィギュアとソックリな姿であることを確認している。竹倉史人氏と言えば、かつてこのブログ「土偶の謎の解明」で、取り上げたことがある。遮光器土偶はサトイモだと解明している。恐らく著者は、これに自信を付け、海外の土偶にも展開したのだろう。まさに研究の宝を掘り当てたのだと思う。因みに「世界の土偶を読む」出版記念講演会が2025年7月16日東京科学大学で行なわれる。興味のある人は是非拝聴すべきだと思う。

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イスラエルがイランを空爆したのは

イスラエルがイランに電撃的な空爆を実行した。勿論イランも報復攻撃を開始した。何故今イスラエルはイランを空爆したのだろうか。ウラン濃縮に関する米国・イラン交渉が暗礁に乗り上げた。でも、イランの核兵器完成は目前。そんな状況下での空爆だ。戦争には双方の言い分がある。特に中東情勢は複雑で、大昔に遡ることから始まって、第2次世界大戦後の英仏のいい加減な措置などに端を発している。でも、今更昔の話を蒸し返しても始まらない。だから、今を切り取って判断すべきものだと思う。極めて現実的な考察をすれば、イスラエルのネタニヤフ首相には、軍事衝突をエスカレートさせなければ議会を解散され、下野して逮捕されてしまう恐れがあるから、戦争を仕掛けたということだろう。一方、イランのイスラム保守政権は、イスラエルという敵がいなくなれば改革派の突き上げで国が瓦解してしまうので、戦争に応じているということだろう。何のことは無い。イスラエルとイランの指導者は、平和になったら困るのだ。自身の延命や保身のために戦争を利用しているのだ。そう考えると、状況が見えてくる。その時、一番被害に遭い困るのは国民だ。結局、国民が声を挙げなければ事態は動かないのだ。

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日本郵便は不祥事の宝石箱や

国交省が、日本郵便の一般貨物自動車運送事業許可を取り消す予定だと発表した。日本郵便が法令で定められた点呼を適切に実施していなかったことが理由だ。緊急内部調査を実施した結果、全体の約75%にあたる2391局で法令違反が発見されたというから、組織的な犯罪行為と言える。点呼は、運転者に対する酒気帯びの有無、疾病や疲労、睡眠不足でないかなど安全運転を確保するための確認だから、物流業にとって極めて重要に位置付けられている。点呼をはじめ規則に違反した事業者には、車両停止処分、事業停止、事業許可の取り消しの3段階の罰則が科せられる。日本郵便は事業許可が取り消されるのだから、その悪質さが分かる。日本郵便の千田哲也社長は「大した影響は出ない」と言っている。開いた口が塞がらない。振り返れば、日本郵政グループ全体で不祥事が相次いでいる。かんぽ生命の不正販売、ゆうちょ銀行の顧客情報の不正利用、日本郵便による下請け業者への高額な違約金の徴収などだ。彦摩呂風に言えば「日本郵便は不祥事の宝石箱や」ということになる。

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習近平の第2の失政は

遂に中国BYDが米テスラを超えた。2024年度決算で、売上高はテスラの14.7兆円に対しBYD16.1兆円だった。しかもBYDの純利益は8329億円。BYDはEVの不動の地位を築いたと見える。ところが、JPpressの記事によると、BYDの隠れ債務問題がいよいよ表面化し、第2の不動産最大手・恒大集団になるかもと懸念されているという。中国は、習近平の失政で不動産不況に陥り、経済はドシャブリ状態だ。そこにBYDが追い打ちをかけるかもしれないというのだ。中国では自動車産業全体がEV、新エネ車に全振りしている。自動車産業は長年国家からサポートを得てきたが、特にEVの赤字は非常に深刻な状況にあるという。昨年から走行距離ゼロの新車なのに中古車市場に出回り、EVの価格破壊を引き起こしているのだ。この背後には、補助金目的の中古車売買プラットフォームとディーラーの癒着があるという。新車同然の車が30%から半額で中古市場に出回るので、やがて新車が定価で売れなくなる。BYDは今年になって3回目の値下げを敢行した。BYDの大手ディーラーの店舗が次々と破綻している。中古車の過剰在庫も深刻で、EVの墓場も出現している。BYDのライバル企業の会長は「自動車産業の恒大はすでに出現している、まだはじけていないだけだ」と発言した。習近平の第2の失政が明らかになるのは目前だ。

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日本製鉄のUSS完全子会社化が承認された

1年半超に及ぶ交渉の結果、日本製鉄のUSS完全子会社化が承認された。国内の鉄鋼市場は中国製の安価な鋼材が出回り、生産縮小を余儀なくされている。トランプ関税が50%に引き上げられたので、米国内現地生産は必須だ。しかも米国の鉄鋼は成長市場で、日鉄が得意とする自動車用の高張力鋼板、電磁鋼板、石油掘削用の油井管の需要が底堅い。日鉄が成長戦略を描くには、USS買収が必須だった。USSを完全子会社化することと、日鉄が2028年までに1兆6000億円を新たに投資することと、米政府が拒否権を行使出来る黄金株を持つことで、合意に至った。日鉄が完全子会社化に拘ったのは、技術流出を恐れたからだ。結局、到底妥結しようもなさそうな交渉が成立した。橋本日鉄CEOの粘り強さには感服する。あとは、巨額投資に見合った収益が生み出せるかだ。何か先が明るいような気がする。

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