NHKの再現ドラマ「危険なささやき」が放送された。旧統一教会が行なった信者の勧誘や慈善活動を装った訪問販売などの手口を、元信者の女性が教団に勝訴した裁判資料に基づいて再現されたドラマだ。当初の題は「悪魔のささやき」だったが、事前に旧統一教会が放送中止と謝罪を求めて抗議した結果「危険なささやき」に変更された経緯がある。教団の問題に詳しいジャーナリストは「番組は裁判資料からファクトを拾い、教団側が放送中止を求めるような内容ではない。旧統一教会の解散命令が取り沙汰されてから教団の抗議活動が激しくなっており、メディアへ取り上げぬよう圧力を掛ける狙いだろう」とコメントしている。ジャーナリストの江川紹子氏も「裁判で明らかになった事実で構成され、人々の注意喚起を促す良番組」と評価し、更に「事実を誹謗中傷と言い募り、批判を侮辱と言い換え、不都合な番組を中止させようとする教団の対応からは過去への反省がまるで感じられない」と教団の姿勢を批判している。NHKは折角良い番組を制作しながら、旧統一教会如きの抗議に腰を引き、番組名を変更するとは、情けない限りだ。NHKの何処に公共放送としての信念があるのだろうか。
岸田首相が物価高などに対応するための経済対策を打ち出した。主なお題目は、物価高への対応、賃上げと投資拡大、人口減少下での社会変革、国民の安心・安全だという。なかでも注目されているのが「年収130万円と106万円の壁」との対応だ。従業員100人以下の企業では、配偶者に扶養されているパート従業員が年収130万円を超えると、年金保険料などの支払いが生じて手取りが減る。そのため勤務時間を調整して130万円以下に抑えることになり、人手不足に拍車をかける。政府は年収が130万円を超えても連続して2年までは配偶者の扶養に留まれるようにするという。一方、106万円を超えると従業員101人以上の企業で社会保険料の支払いが発生する。政府は、この106万円対策として、条件を満たした企業に従業員1人あたり最大50万円を給付するという。またまた政府の得意な補助金だ。岸田政権は、補助金政権と言うほど、具体的な対策が打てない能無し政権だと思う。今までのパート年収と年金・社会保険の関係は、専業主婦がモデルケースだった。しかし、世の中に専業主婦は殆どいなくなった。何処の家でも共稼ぎだ。岸田が今までのモデルケースを断ち切り、今様に改革すれば安倍をはるかに超える長期政権になると思うのだが。しかし、その技量も気配も無い。
いま日本の大人の半数近くの4300万人が高血圧を患い、うち2400万人が降圧剤を飲んでいる。自分も高血圧症だ。40~50代は160以上あった。50歳ころから降圧剤を飲むようになった。最初はカルシウム拮抗薬が処方されたが余り効かずアルファ遮断薬が追加され、150程度に下がった。転勤し医者が替わりベータ遮断薬になった。ベータ遮断薬としてジェネリックのピンドロールから先発医薬品のカルビスケンに替えてからやっと120~130に安定した。このように降圧剤は、闇雲に処方して合うところを探す方法が採られている。ところが、肝心の高血圧症の定義は曖昧だ。10年前には、日本人間ドック学会と日本高血圧学会が基準値で揉めていた。自分の掛かり付け医は、昔ながらに130以下だと言う。でも、2019年に改訂された高血圧治療ガイドラインで、正常血圧は120以下、高血圧は140以上と定義された。でも同時に、年齢や持病の有無に応じて、目標値を変えることが勧められたのが一歩前進だ。高齢になれば血圧は高くなるものだ。日本の65歳以上の高齢者は3600万人で総人口の3割を占めている。年齢を考慮しない高血圧症診断が高血圧症患者を増産しているように見える。
首都直下地震と東南海地震が日本を壊滅状態に陥れるのではないかと恐れられている。地震の発生メカニズムは少しずつ解明されつつあるが、問題は発生確率の精度だ。このブログ「東南海地震の発生確率は70~80%か20%か」にも書いたが、発生確率は前提条件次第でコロコロ変わる。因みに、地震対策をする自治体は70~80%を採用しているが、地震学者は20%としている。地震の発生確率は、本質的に不確実な自然現象を統計的に評価したもの。過去に何年周期で起きているから、次回は何年後頃に何%の確率で起きるかもしれない、という程度のものだ。因みに、阪神大震災の地震発生確率は発生直前で、0.02~8%だったし、2016年の熊本地震の場合は0~0.9%だったのだ。地震発生確率が低ければ発生しないというものではない。日本は火山列島の上にある。地震の巣窟の上にあるのだ。いつ何時大地震が起きようが、常に身の安全確保と減災対策をし続けなければならない運命を背負っている。
インフルエンザが全国的に流行しているという。我が家にも例年より早く市役所から「インフルエンザ予防接種のご案内」が届いた。小中学校では学級閉鎖が相次いでいるという。今の時期にインフルエンザが流行るのは異常だ。振り返ってみると、この3年間は新型コロナの感染対策のためかインフルエンザの感染者はほぼゼロで推移していた。でも昨冬から流行りだし、一定数の患者がずっといる状況とのこと。インフルエンザの流行は、医療機関の定点観測で1医療機関あたりの患者数を基準値としている。1人を超えれば流行期とされ、10人以上で注意報、30人以上で警報レベルとなる。現在は10人をはるかに超えている。「新型コロナが5類に引き下げられたため、感染症対策が緩んだことが原因」という見方もあるし「数年間インフルエンザの流行が無かったことで免疫や抗体が低下し、罹患しやすくなっている可能性もある」との見方もある。でも、5類に引き下げられたのは5月だから、昨冬から流行っている説明には当を得ていない。一方免疫や抗体の低下説は的を射ているようには感じるが、では何故昨冬から流行りだしたの解にはなっていない。新型コロナもインフルエンザもウイルスだ。ウイルスは環境に順応して変異する。ウイルスの環境を変えないことこそ、やり過ごす最適な手段に思えてならない。嵐が通り過ぎるのを待つことこそ人類の知恵なのかもしれない。
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