毛生え薬と歯生え薬

最近「毛生え薬」のCMが目立つ。リアップとかニューモとかが新参で、リーブ21は最古参だ。毛生え薬の技術が確立しつつあるようだ。でも、ヒトの歯は毛生え薬のようにはいかない。まず乳歯が生え、次に永久歯が生えて終わる。永久歯が抜けてしまえば、義歯で補うしか方法は無い。ところが、日本の研究チームがマウスを使い「歯生え薬」の開発に成功したとのこと。ある遺伝子を欠損させたマウスは、歯の数が増えることを発見したのだ。その遺伝子によって合成されるたんぱく質USAG―1は、歯の成長を抑制する働きがあった。つまり、USAG―1が合成されなければ歯が生えるのだ。そこでUSAG―1中和抗体薬を開発し、見事マウスに歯を生えさせたという次第。現在、薬は人への利用に向け無歯症の治験の準備が進められているとのこと。実は、ヒトの歯は永久歯が終わりではなく、永久歯の次に当たる第3生歯の芽があるという。ほとんどの場合、成長に伴って無くなってしまうと考えられている。しかし「歯生え薬」の技術を使えば、第3生歯を生えさせる可能性があるとのこと。いずれは、入れ歯、インプラント、歯生え薬の3択の時代が来るかもしれない。

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河村市長がまたヤラカシタ

名古屋城復元をめぐる討論会で「障害者は我慢せいよ」の発言があり、河村市長が陳謝したとのニュース。このニュースを聞き、第一感として、あの河村市長がまたヤラカシタと思った。名古屋城を昔通りの木製で復元する計画がある。討論のテーマは「名古屋城の天守閣の復元におけるバリアフリーについて」。名古屋市は、より忠実な復元を目指すとして新たな木造の天守閣には、現在設置されている5階までのエレベーターは設置せず、車いす利用者と介助者が利用できる2階までの小型昇降機を導入するとしていた。討論会に参加した車椅子の男性は、エレベーターを排除することは「障害者が排除されているとしか思えない」と主張した。ところが反対派の男性は「平等とわがままを一緒にすんなって。エレベーターも電気もない時代に作られた物を再構築するのに、なんでバリアフリーの話が出てくるのが荒唐無稽だ。おまえが我慢せえよ」と発言。その後行われた河村市長による挨拶も「熱いトークもあってよかった。ぜひ皆さんで愛する名古屋を盛り上げようみゃー」というにとどまり、差別的な表現をとがめるような言葉はなかった。後日、河村市長は「いろんな意見が出てくるのは当たり前のこと、それを禁止することは恐ろしいこと」とコメントしたが、結局制止出来なかったことに対し謝罪したとのこと。でも、河村市長の心の内に「障害者は我慢せいよ」があったことは間違いなさそうだ。こんな木造復元など止めてしまえ。

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プロ将棋あれこれ

藤井聡太竜王が渡辺名人を下し、名人位を獲得した。これで名人・竜王・王位・叡王・棋王・王将・棋聖の7冠の偉業を達成した。しかも、20歳10カ月での獲得は最年少記録だ。残る冠は王座だけとなった。挑戦者決定トーナメントを勝ち抜けば、永瀬王座が待ち構えている。藤井名人と永瀬王座は、杉本師匠の教室で少年時代に共に将棋の研究に励んだ仲だ。でも、もはや昔の手の内は通じない。互いに如何に成長したかが問われる勝負となる。きっと奥の深い将棋が繰り広げられるに違いない。史上初の8冠獲得を期待したいものだ。一方で、プロ棋士でもチョンボはあるという話。ABEMAトーナメント2023予選リーグでの出来事。佐藤天彦九段と船江恒平六段の対戦は、プロ棋士には珍しい王手放置という反則で決着した。持ち時間が双方10秒を切り、盤上が、さながらボクシングの殴り合いの様相の中で、佐藤九段の3五角の王手に対し、船江六段は王の対応をせず、3八飛の王手で返してしまった。王手をかけられたら、王を逃がすなど必ず王手を防ぐ手を差さなければならず、王手をかけられた中で王に関係のない手を差すのは反則負けとなる。そう言えば、かつてNHK杯で橋本八段が二歩で負けたことがあった。プロでもチョンボはある。相田みつおではないが、人間だもの。偶にあるから益々面白くなる。

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原子はどのように生まれたのか

自分は大学と大学院で化学を専攻し、化学会社で働いてきた。いわば化学漬けの半生だった。大学1年の時、当時103あった周期表の元素名と原子番号を全部覚えたものだ。でも、今まで元素がどのように生まれたのかは知らなかった。最近になって、本「時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙:ブライアン・グリーン 」で、元素が生まれた順番と生成条件を知った。どんな複雑な原子でも、作り方のレシピは決まっている。陽子と中性子が結合出来る条件を満たせば良いのだ。始まりは160億年前のビッグバンだ。でも、ビッグバンで生まれた原子はたったの5つ。水素とヘリウムと重水素とヘリウム3とリチウムだ。次に十分に質量の大きな恒星は、そこからさらに原子核同士を融合させて、周期表の先のほうにある、より複雑な元素を合成した。ヘリウムを融合させて炭素と酸素を作り、更に炭素を融合させてナトリウムとネオンを作った。そして更なる核融合でマグネシウム、硫黄、ケイ素、鉄が合成された。鉄の陽子と中性子は、あらゆる元素の中でもっとも強く結合しているので、このプロセスは一旦停止した。しかし核融合が停止すると、物質は猛烈な勢いで恒星の中心部に向かって落下し、爆発する。その衝撃波によって鉄以降の原子が生成されたという。化学を学び始めて60年を経過したが、今になってやっと原子の起源を知った次第。感無量。

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SIMスワップ詐欺って

物騒な世の中になったものだ。聞き慣れないSIMスワップ詐欺なるものが相次いでいるという。ある日突然電話が繋がらなくなる。そして本人が知らぬ間に銀行預金が引き出されているということが起きるという。携帯番号が乗っ取られた為だ。自らの手元にスマホがあるのに、なぜ携帯番号が乗っ取られるのか。手口はこうだ。まず犯罪グループは、SMSなどで偽サイトに誘導して個人情報を盗み取る。その個人情報をもとに運転免許証などを偽造し、それを使って紛失の名目でSIMカードを再発行してもらったり、解約して他社へ乗り換える手続きをしたりする。そして、不正に入手したSIMカードを犯罪グループが持つスマホに差し込む。これで携帯番号の乗っ取りが完了だ。当然本来の持ち主の携帯は繋がらなくなる。その後、被害者のインターネットバンキング口座にアクセスし、あらかじめフィッシングで入手したパスワードを使い預金を引き出す、という具合だ。この手口だと、金融機関が使うワンタイムパスワードも犯人に届いてしまうので無効だ。SIMスワップ詐欺に掛からないための対策は、URLが公式なものかをチェックすることと、不審なメールなどに記載されているリンクや添付ファイルは開かないことだ。もっとも、携帯電話販売店がSIMを再発行する前に、被害者に電話して本人確認をするルールを確立すれば防げるのだが。

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