日本原子力発電の黒字は何故?

電力5社の株主総会が終了した。東京、関西、中部、東北、北陸の大手電力5社には「日本原子力発電への支援を中止するよう求める」個人株主の提案が提出された。日本原子力発電は福島原発事故以来停止したまま、再稼働のめどは立っていない。日本原子力発電は卸電気事業者でありながら、発電できない設備だけ持つまれな会社なのだ。保有するのは原子力規制委から再稼働不可と判断された敦賀原発2号機と、避難計画不備で運転差し止めとなった東海第2原発のみ。それでも日本原子力発電は25年3月期決算まで8年連続で最終黒字を計上している。発電がゼロでも大手電力5社が基本料金として、日本原子力発電の人件費や原発の維持管理費用などを払っているからだ。個人株主の提案は真っ当だが、否決された。東電は原発事故の後、政府が大手電力などと設立した原子力損害賠償・廃炉等支援機構から1兆円の出資を受け、原賠機構が議決権の過半を握っている。さらに東電は原賠機構から役員の派遣を受けている。国が議決権の過半を握っているから、真っ当な個人株主の提案は否決されてしまうのだ。一方で、国が目指す核サイクルは既に破綻している。今こそ原発に関する真摯な議論が必要だ。