2025年7月

永田町の選挙の神様が曰く

参院選公示前にPRESIDENT Onlineが、永田町の選挙の神様にインタビューを行なった。神様とは、自民党の選挙対策事務部長を長く務め、野党にも幅広い人脈をもつ久米晃氏だ。久米晃氏は「与党が過半数を維持するのは極めて困難」と推測している。与党離れが起きているのは、信念と結果が無いからだと指摘している。石破首相が、予算委員会も開かずに、いきなり衆議院を解散してしまったことが、最初の大失敗。これで信念を貫かないという見方が定着してしまった。少子化・高齢化対策、食料自給率、値段が高騰しているコメの問題も、何1つ結論が出ていない。大地震や周辺で戦争の危機についても大方針を示せない。石破政権が何も結果を出せていないから国民に信用されない。信念と結果の両方が見えなければ、有権者は二度と振り向かない。自民票が減っているのは、自民支持者が愛想を尽かしてしまったため。政治は、これまでの実績、実績から生まれる信用、そして将来に対する期待・展望が全てだ。実績がなければ信用は生まれず、期待も展望も出来ない。更に、久米氏が今、自民党の選対事務部長だったらどんな手を打つかの質問に対し「ありません。選挙にウルトラCはないんです」との答え。「どこの会社でも、普段は自堕落で毎回遅刻してくるような社員が、急に「今度は頑張りますから」と言っても「嘘つけ」と言われて終わりでしょう。政治も同じなんですよ」とのコメントが印象的だった。

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マスクがアメリカ党を設立

アメリカ独立記念日という象徴的な日の翌日に、イーロン・マスクが新党の設立を表明し、トランプ大統領に宣戦布告した。新党の名はアメリカ党America Party。マスクは「大きく美しい法案」に大反対し、トランプ政権から外された。この法案は、トランプ減税の恒久化に加え、旧来型産業に手厚い支援を行う一方で、EV支援や再生可能エネルギーへの助成を大幅に削減する内容だったのだから、大反対は当然のことだ。まさにテスラの死活問題だった。米国の上下院は共和党と民主党が拮抗している。第3の政党を作り、キャスティングボートを握りたいという狙いだろう。マスクは、民主党員には人気が無いが、共和党員の一部には人気がある。選挙はフィールドではなく、SNSで闘うというから、獲得議席がゼロになるということは無いだろう。マスクの目標は、未来産業を育てることにある。日本と同じだ。トランプに翻弄されないためにも、日本はアメリカ党と連携するのが選択肢の1つと言えそうだ。

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公約とマニフェストの違い

今回の参院選に限らず、実現の可能性が極めて低い公約を掲げる政党が殆どだ。特に、国の財政などをしっかり考えずに打ち出した政策が多い。そこで公約とマニフェストの違いについて考えてみた。公約とは、政党や候補者が選挙の際、政策などの実行を有権者に約束するもの。一方、マニフェストとは、財源の裏付けや数値目標、工程も含めて示した公約のことを指す。マニフェストと言えば、北川正恭元三重県知事が言い出し、一時定着した。しかし、今はマニフェストを掲げる政党は無く、言った者勝ちの公約が蔓延っている。そもそも政党政治の時代に、一候補者が独自に達成不可能な公約を掲げること自体が無責任としか言い様がない。公約は政党で一本に絞るべきだと思う。英国の労働党にはマニフェストを練るための委員会がある。1年以上かけてマニフェストを作り上げ、最終的に党大会で承認されて、初めて党の公約になるというプロセスになっている。だから、保守党と労働党で議論が出来るのだ。でも、日本の政党はウィッシュリストを掲げるだけで、議論が深まらない。そして、選挙が終われば、公約はドブに棄てられる。いつまで経っても、線香花火状態は変わらない。残念。

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法整備という仕事を放棄した各党

参院選たけなわで、自公の過半数獲得なるかが焦点になっている。ところが、ヘイトスピーチのオンパレードだ。特に外国人政策だ。支持を伸ばしている参政党は「行き過ぎた外国人受け入れに反対」と強く訴えている。自民は違法外国人ゼロに向けた取り組みを加速することを公約に掲げた。国民民主党は外国人による不動産投資の規制強化を、日本維新の会は外国人受け入れの総量規制をそれぞれ唱え、外国人規制の厳格化を競い合っている。日本保守党の百田尚樹代表は外国人労働者を「日本の文化は守らない。ルールは無視する。日本人を暴行する。日本人の物を盗む」と決めつけ「日本の治安が脅かされるし、日本の文化、社会が壊される」と嫌悪感を隠さない。NHK党の立花孝志党首は、もっと露骨に「これからも人種差別します。怖いから。母国でまっとうに生きていけない人たちが難民とかで来る」と堂々と宣言する始末。国際人権団体は複数の政党が排外主義的な主張を掲げていることへの懸念を表明した。各党の外国人政策は感情論だから、感情の強さの分だけ極右勢力の声が勝ってしまい、彼らの台頭を許してしまう。問題は、外国人を排斥することではなく、まず法律を整備することだ。法律を整備せず、ヘイトスピーチに走る政党は、法整備という自らの義務を放棄しているということだと思う。

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誕生祝いの日

今日はカミサンの79回目の誕生日。カミサンの要望で、知人から紹介され、食べログで予約した近所の創作料理店に行ってきた。生憎、今日は各地で線状降水帯が発生し、いつ豪雨になるか分からない怪しい空だ。土砂降りを避けるため、少し早めに家を出た。目的の創作料理店の場所はすぐに分かった。ドアを開けると中は黒一色。席数も9席と少ない。感じの良い神木隆之介似の若者が出迎えた。料理の説明も、アルコールのチョイスもしてくれた。まずは、ウエルカムドリンクでカミサンの誕生日に乾杯。黒一色の室内の中央は、眩しいほどに明るい調理場。坊主頭の店主が調理する。全ての料理が、手間暇を掛けた繊細なものだった。美味しかったのは言うまでもない。カミサンはコスパの良さに感激していた。店を出るとき、店主に料理の経験を尋ねると、何と我が家が行きつけの日本料理店でかつて修行をしていたとのこと。しかも、その日本料理店が、この店の開店に際し、全面的にバックアップしてくれたという。何だか、料理以上に胸が熱くなった次第。良い誕生祝いの日であった。

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日本は生成AIの活用度が低すぎる

PwC Japanグループが「生成AIに関する実態調査5カ国比較」の結果を発表した。日本、米国、英国、ドイツ、中国で、売上高500億円以上の企業に勤務する課長以上を対象に、生成AIの認知度や活用状況について調べた。調査結果によると、高い効果を上げている企業は、トップダウンで取り組み、ガバナンス整備と全社的変革を進めていることが分かったとのこと。一方、効果が低い企業では、生成AIを単なるツールとして断片的に導入していたとのこと。残念ながら、日本は効果の低い企業が多いという。PwCはその理由に、合意形成重視、ボトムアップ志向の意思決定スタイル、失敗に過度な懸念を抱く企業文化、低い目標設定とチャレンジ意識の欠如、があると分析している。高い効果を上げるには、トップダウンの意思決定や、リスク回避文化の緩和、高い目標設定と変革マインドの醸成が必要だと指摘している。具体的には、現場の知識と業務感覚を持つミドルマネジメントが、経営の戦略的意図を的確にくみ取り、個々人の生成AI活用による成果を企業全体の価値創出に昇華させられれば、日本企業ならではの競争優位の源泉を築くことが出来るだろうと指摘している。仰ること、ご尤もだと思う。まずは企業文化の刷新が必要だ。

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「のれん」の会計基準

企業の買収には、帳簿には現れない価値がある。いわゆる「のれん」というやつだ。たとえば、純資産が6000億円の会社を1兆円で買収すれば、差額の4000億円がのれんとなる。日本では、のれんを一定期間で定額償却することが求められてきた。折角、将来の利益を見込んで買収したのに、即償却が始まり、当面の利益を圧迫することになる。これが、なかなか買収に踏み切れない理由だ。のれんをめぐる国際的な会計ルールは、2つある。1つは、日本式の定額償却する方法。もう1つは、価値が明確に減少したときにのみ減損処理を行えばよいとする国際会計基準の方法だ。これが欧米で主流となっている。償却にしても減損にしても一長一短がある。世界は償却を捨てて減損を採った。日本の主張は退けられたのだ。トヨタ自動車、日立製作所、ソニーグループなど、グローバルに展開する企業のほとんどが国際会計基準に移行した。今や、償却に逡巡する企業は、脱皮の出来ない古い体質の石頭と言えそうだ。

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7・7・7あれこれ

今日は令和7年7月7日。元号と月、日で7が三つ並ぶ「7・7・7」(スリーセブン)となったのは、平成7年以来、30年ぶりだ。どういう理由かは分からないが、縁起が良いと言われている。テレビニュースでは、縁結びの聖地である東京大神宮から中継している。若い女の子らが、絵馬に「早くいい人が見つかりますように!」と書き込み奉納している。最近の女性は結婚願望が薄いと言われていたが、意外な光景だった。同時に、結婚願望を抑える見えない力が強く働いていることを確信した。市役所では、婚姻届の提出ラッシュを迎えた窓口もあったという。千葉県と東京を結ぶ北総鉄道では、7・7・7が印字された硬券を販売するという。スロットルマシンでも、7・7・7と揃えば大当たりだ。7月7日は七夕。牽牛と織女が、年に一度だけ逢瀬を楽しむ日だ。年に一度しか会えない日に、婚姻届を出すのは何故なのだろう。結婚するということは、いつも一緒に居たいということのはず。矛盾している。取り敢えず、ラッキーな日だからという心境なのだろうか。良く分からない。

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米国の「大きくて美しい法案」が成立

トランプの看板政策である大型減税・歳出法案が成立した。「大きくて美しい法案One Big Beautiful Bill」と名付けられている。10年間で約490兆円規模の減税が行なわれる。試算によると、10年で約300兆円もの新たな借金を国民に負わせることになる。トランプは、この減税分を世界から巻き上げる関税で補おうとの魂胆だ。大きくて美しい法案の要点は減税だが、ほとんどの恩恵を受けるのは高所得者。減税の25%ほどが上位1%の高所得者に集中している。一方、低所得者は恩恵どころか損失を受けることになる。一体何処が「大きくて美しい法案」なのだろうかと思う。「大きくて美しい法案」は通称ではなく正式名称だ。米国では、法案の狙いに相反するものでも、名前は自由に付けられる。ブッシュ政権時代には、排ガスの規制を緩和し、空の汚れが悪化しそうな内容の法案が「きれいな空法Clear Skies Act」と名付けられたことがある。法案の名称の格差が広がるとともに、米国民の格差も一層広がることになりそうだ。

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ボーハチって

NHK大河ドラマは、殆ど観ないのだが、去年の「光る君へ」と今年の「べらぼう」は観ている。「光る君へ」は、現代調ではあるが平安の世を偲ばせて面白かった。一方「べらぼう」は、吉原に絡む蔦屋重三郎の物語だ。果たして、花街である吉原が大河ドラマにマッチするのだろうかと思っていた。でも、当時の吉原の状況が上手く描かれていると感じる。よく「ボーハチのくせに」という台詞が出て来る。「ボーハチ」という言葉は聞いたことが無い。調べて見ると、漢字で「忘八」と書き、人として大切な八つの徳(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌)を忘れた者とのこと。ドイツの旅行家エンゲルベルト・ケンペルは自著「日本誌」で「楼主はいかに裕福でも、決して公正な市民とは認められず、市民と交際することも叶わない。ほとんど人とは認められていない」と書いている。吉原者は士農工商に含まれない最下層の身分であるとされていたという。こういう背景を知ると、日本橋が如何に吉原者の進出を阻止しようとしたかが窺い知れる。話は変わるが、トランプはTACOだが忘八とも言えそうだ。

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何故関税30~35%に

トランプが、日本に30~35%の関税をかけると豹変した要因は「目には目を、脅しには脅しを」に書いた通りだ。豹変の要因は、もう1つありそうだ。フェンタニルだ。中国国有企業が日本経由で米国にフェンタニルを密かに輸出していたのだ。フェンタニルは、ヘロインの50倍、モルヒネの80~100倍の強度を持ち鎮痛剤として使われているが、麻薬としても使われている。特に米国では深刻な状況にある。トランプが敵視しているのは、中国、メキシコ、カナダだ。トランプから見れば、そこに日本も加わったのだ。中国との関税は30%だが、内20%はフェンタニル密輸に対する制裁だ。トランプは、日本も同罪と見做し、20%を上乗せすると決断したのだろう。フェンタニル撲滅は、トランプの目玉政策の1つだ。だが、石破の頭の中は、2万円か減税かしか無い。井の中の蛙大海を知らず。30~35%の関税は、石破の失策としか言い様がない。

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字の上手い下手は、志の高さに比例する

参院選公示の前日、恒例の日本記者クラブによる各党党首討論会が開催された。自民、公明、立民、維新は守勢に回り、国民、参政の台頭が浮き彫りになったとか。総じて、政権交代前夜の緊迫感は全く感じられなかったという。自分は討論会を見ていなかったので、今日の日経朝刊7面「2025参院選党首討論の要旨」を読んだ。そこで気になったのは、各党の主張ではなく、各党首の自筆の一言の写真。揃いもそろって、字が超下手。線の向きがあちこちに乱れている。バランスが悪すぎる。まるで小学生低学年レベルだ。勿論、達筆など望まない。でも、党首の頭の中が自筆に現れていると受け取った。当分、日本の政治はダッジロールを繰り返すのだろうと感じた。昔の著名な政治家は達筆だった。今でも、社長室などに飾られていることが多い。字の上手い下手は、志の高さに比例すると思った次第。

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日本原子力発電の黒字は何故?

電力5社の株主総会が終了した。東京、関西、中部、東北、北陸の大手電力5社には「日本原子力発電への支援を中止するよう求める」個人株主の提案が提出された。日本原子力発電は福島原発事故以来停止したまま、再稼働のめどは立っていない。日本原子力発電は卸電気事業者でありながら、発電できない設備だけ持つまれな会社なのだ。保有するのは原子力規制委から再稼働不可と判断された敦賀原発2号機と、避難計画不備で運転差し止めとなった東海第2原発のみ。それでも日本原子力発電は25年3月期決算まで8年連続で最終黒字を計上している。発電がゼロでも大手電力5社が基本料金として、日本原子力発電の人件費や原発の維持管理費用などを払っているからだ。個人株主の提案は真っ当だが、否決された。東電は原発事故の後、政府が大手電力などと設立した原子力損害賠償・廃炉等支援機構から1兆円の出資を受け、原賠機構が議決権の過半を握っている。さらに東電は原賠機構から役員の派遣を受けている。国が議決権の過半を握っているから、真っ当な個人株主の提案は否決されてしまうのだ。一方で、国が目指す核サイクルは既に破綻している。今こそ原発に関する真摯な議論が必要だ。

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目には目を、脅しには脅しを

トランプはトリプル安に陥り上乗せ税率を90日間停止したが、その90日目が7月9日と迫っている。日本は上乗せ部分の14%が停止され、基本部分の10%だけが現在は適用されている。赤沢経済財政・再生相の米国交渉は難航している。トランプは日本との交渉を優先させる考えだったが、しびれを切らし態度を一変させた。何と交渉を打ち切り、関税を30~35%に引き上げると言い出した。トランプが強気になった背景は、カナダのデジタルサービス税を脅しで撤回させたことに自信を持ったためだろう。トランプの政策は「取引」というが「脅し」そのものだ。脅しには脅しで立ち向かうべきだと思う。ドル売りを武器にして、トランプのTACOを引っ張り出すべきだ。例えば、関税を30~35%にするならば、日本はその関税分に見合うドルを売り、企業に補填するという具合にだ。ドルを売ると言うだけで、トランプは真っ青になるはずだ。目には目を、脅しには脅しを。

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