トランプの関税政策が変質している。当初トランプは経済政策「アメリカ国内の雇用創出と産業回帰」を掲げた。ところが、製造業回帰という目標は達成出来ず、関税を経済合理性によって正当化することが困難になった。しかし、トランプは関税に拘り、関税を産業政策の道具から、外交・安全保障上の圧力手段へと転用した。まず、ブラジルに高関税賦課することを発表し、ダ・シルバ大統領率いる政権を威嚇した。これに味を占めロシアやイランとエネルギー取引する第三国に高関税を課した。更に、イランの国内情勢を理由に、イランと取引を行う国に対して関税を課すと発表した。そしてあろう事か、グリーンランド領有に反発するNATO諸国に対しても関税を課すと発表した。まさにヤクザの脅しと同質だ。トランプが関税に拘るのは、議会の承認を必要とせず大統領権限によって比較的容易に発動出来るからだ。また「外国が不当にアメリカを搾取している」という単純なストーリーと結び付けやすく、有権者にとって分かりやすい政治的メッセージとなるからだ。でも、最早関税による脅しは大統領権限から逸脱している。米最高裁は早く憲法違反の判決を下さないと、米国民全員が世界の笑いものになりかねないと思うのだが。
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