新時代を拓くカーニー加首相

ダボス会議でカナダのカーニー首相が演説した内容が絶賛されている。カーニー首相は「旧秩序の終わりを直視し、中堅国が連携して新たな協調の枠組みを築くべきだ」という強いメッセージを発した。つまり長年続いた米国主導の秩序はもはや機能していないと明言し、世界は移行期ではなく断絶期にあり、強権的な大国が経済統合を武器化していると指摘した。その上で、カナダのような中堅国は無力ではなく、価値を共有する国々が柔軟な協力ネットワークを構築することで、大国の圧力に対抗できると主張したのだ。まさに従来の対米協調一辺倒からの大きな転換と言える。世界をあるがままに受け止め、原則を守りつつ現実的に行動すると述べ、理想主義でも追随主義でもない新たな外交姿勢を提示した。トランプから「米国の51番目の州になれ」とまで侮辱されたカーニー首相が、冷静に米国の覇権の終わりを改めて宣告し、それにとって代わって世界のミドルパワーが決起して新しい価値観と新しい秩序を作っていこうと呼びかけたことに価値が有る。トランプのトの字も口に出さなかったことが、その冷静さと聡明さを物語っていると思う。