崩壊するエレベターの安全神話

エレベーター事故が相次ぎ、安全神話が崩壊しつつある。乗っていた「かご」が急に上昇して天井に衝突したり、点検中の作業員が挟まれて死亡したり、ドアが開いても「かご」が無く人が転落してしまったりと、もはや他人事とは言えない事故が相次いでいる。全国には90万台ものエレベーターがあり、老朽化が進んでいる。でも安全神話の崩壊理由は、老朽化だけではない。背景には、エレベーター保守の質の低下があるのだ。かつて1回7万円程度だった点検費用がどんどん値下げされて、今や2万円台で請け負う業者もある。薄利多売が常態化してしまい、点検時間も1時間かけるべきところを30分に短縮。従来の倍の件数をこなさなければ利益が出ないのだ。特に、多くのマンションでは、費用だけで安い業者を選ぶ傾向にあり、しかも点検の中身を確認しないケースが多い。交換の目安は20~25年とされるが、1台あたり1000万円を超える費用や長期停止への懸念から、改修は先送りにされがちだ。老朽化したエレベーターこそメンテナンスの重要性が一層増しているというのに、命を預ける装置が価格競争の産物になってしまっているのが現実だ。