国は大学の研究費の在り方を再考すべき

「無期転換ルール」により労働契約を終了した教員と研究者が、全国の国立大学で701人に上ったとの毎日新聞の記事。「無期転換ルール」とは、有期雇用が10年を超えれば無期雇用に転換できる研究職のルールのこと。研究者の雇用を守るために改正された労働契約法だ。ところが、ルールの目的とは正反対に、無期雇用転換直前にクビを切られた研究者が701人もいたということだ。この雇い止めは理研でも多くの研究者が対象になり、問題になっていた。今回は初めて大学関係が公表された。それによると、最も多かったのは、東京大と大阪大でそれぞれ92人。次いで多かったのは、東北大69人、京都大65人だった。優秀な研究者が多い大学や研究所ほど雇い止めをしている構図だ。この無期転換ルールは、元々5年だった。京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授らが、5年では研究現場に与える影響が多き過ぎると直訴し、10年に変更された経緯がある。でも、先延ばししただけだった。何故、優秀な研究者がクビを切られなければならないのだろうか。答えは単純。国が研究費を減額し続けているからだ。国の予算にも限度はある。しかし、明日のコメを得る元となるはずの技術の芽を摘んでしまっては、本末転倒だ。国は大学の研究費の在り方を再考すべきだと思う。