備蓄米とJAの関係

政府備蓄米とは、凶作や不作時の流通安定のために日本政府が食糧備蓄として保存している米と定義されている。平成の米騒動後1995年に制定された制度だ。適正備蓄水準は100万トン程度とされている。今までの放出事例では、東日本大震災が4万トン、熊本地震が90トンだった。東日本大震災ですら、たったの4%しか放出されなかったのだ。明らかに100万トンは過剰備蓄と言える。2011年にJAの強い要求で、保管方法が「回転備蓄」から「棚上備蓄」に変更された。回転備蓄は、保管期限を過ぎたコメを主食用の古米として売却する。一方棚上備蓄は、飼料用など非主食用のコメとして売却する。だが、農水省の試算によると、財政負担は回転備蓄は年150億円程度なのに対し、棚上備蓄は700億円が必要とのこと。JAにとっては米価格の高値安定が狙いだが、消費者にとっては回転備蓄のほうがメリットは大きい。備蓄米100万トンの維持費は年478億円。しかも、殆どがJAの低温倉庫で保管されている。江藤農水相時の放出米は殆どJAが落札した。でも、JAが急いで卸に流してしまうと、倉庫の保管料が減少してしまうので、JAは放出の時間稼ぎをし、市場には出回らなかったと推測される。1980年代までJAの集荷シェアは95%あったが、2022年には半減した。2024年産は26%まで落ち込んだ。着実にJA離れは進んでいる。だが、農林族を筆頭に利権者は未だにJAに纏わり付いているのが現実だ。