「単純平均モデル」と「時間予測モデル」の論争

今月13日の日向灘地震で、再び南海トラフ地震臨時情報が発令された。だが「南海トラフ巨大地震とは関係はない」という評価結果が出された。その根拠は、日向灘地震はユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界面がずれるタイプであり、南海トラフ地震とはメカニズムが異なることと、マグニチュードが7に達していなかったことだ。でも、現実として、南海トラフのプレートの沈み込みによる地震は、阪神淡路大震災以降続いている。更に政府の地震調査委員会は南海トラフの巨大地震の今後30年以内に起きる確率を、15日にこれまでの「70%から80%」を「80%程度」に引き上げたことを公表した。確率の内容を知らなければ「今回の地震で南海トラフ地震が更に近づいた」と思うかもしれないが実態は、単に時間が経過したので自動的に数値が大きくなっただけなのだ。そもそも、日本の地震確率は「単純平均モデル」で算出されている。それに従えば南海トラフ地震の発生確率は20%なのだ。ところが、南海トラフ地震だけは「時間予測モデル」が採用されている。その方が80%と危機意識を煽れるからだ。自分はどちらが正しいかとは思わない。何故なら、どちらとも確たる根拠が無いからだ。そもそも日本は地震大国だ。いつ何時大地震が発生するかは誰も分からない。しかし、日頃から万一に備えることが重要だ。そう言う意味で「単純平均モデル」と「時間予測モデル」の論争は効果が有る。但し、地震学者としては、相当程度が低いと思う。