パナソニックの価格決定権

「他店より安くします」が家電量販店の常套文句だ。それが高じて、ヤマダもビックもケーズも、殆ど横並びの値段設定になっている。ところが、絶対値引きをしない電化製品が現れた。ひと昔前は、メーカーに価格決定権があった。だが、日本に国内市場の開放を求めた日米構造協議で、米国の圧力によりメーカーが流通業者の販売価格を拘束することは、独占禁止法で違法に変わった。そして殆ど全ての製品がオープン価格になった。価格COMが重宝する訳だ。パナソニックが値引きをしない製品を売り出した。その取引形態は、パナソニックが在庫リスクを負担する代わりに、価格決定権を持つというもの。在庫リスクを負うことでメーカーが直接販売していることになり、販売価格を決めても違法とはならないとのこと。家電量販店にとっても、値下げ競争から抜け出して、収益性の高い製品を販売するメリットがある。メーカーにとっても、製品寿命が延びて更なる高付加価値化を検討出来る時間が取れる。購入者にとっても、家電量販店を渡り歩いて価格を調べる手間が無くなる。三方良しだが、全ての家電がこの方式になってしまうと、量販店は単なるショールームになってしまう。でも、この方式が成立するのは、高付加価値製品に限られるだろう。結局、パナソニック方式は家電量販店に新たな息吹を吹き込むことになるに違いない。