デジタル・プロダクト・パスポートって

第四次産業革命が始まろうとしているとのニュース。EUが2027年に導入し内外企業に取得を義務づけるという「デジタル・プロダクト・パスポートDPP(全デジタル製品に割り当てる旅券)」のことだ。パスポートといえば人の属性、履歴を書き込む公的な本人証明書だ。起源は古く、古代のエジプトやローマに遡るが、プロダクトである「モノ」にパスポートを付けるのは21世紀の欧州が初めてだ。運用が始まれば、パスポート(冊子というよりQRコード的なもの)を持たない製品は域内に入れなくなる。製品がどこで採掘された原料を使い、どこで最終製品にされたか。その間、製品はどう運ばれ、二酸化炭素を合計どれだけ出したか、などもパスポート上で電子的に把握できるようにする。欧州の環境基準に達せず、認証機関のお墨付きが得られなければ、域内企業にも海外企業にも販売許可を与えない。監視は販売後も続く、という内容だ。EUのDPP導入の狙いは、脱炭素と循環型経済でEUが先行する立場を不動のものにするためだ。体のいい非関税障壁とも言える。儲ける仕組みを考えるEUは、日本よりも役者が一枚上だ。日本が勝つには、脱炭素が論理的に間違いであることを立証することだと思うのだが。でも、飲み込まれるのだろう。残念。