所変われば悩みも変わる

地球温暖化で世界の海面は上昇している。だが、アイスランドでは下降しているという。アイスランドではシシャモやニシンを大量に積んだ大型の船が入港の際、海面の下降で船底が海底すれすれになる危険に直面しているという。世界の大部分で海面上昇や陸地の浸食が懸念される中、この地域は真逆の問題を抱えているのだ。地球全体で見ると、北極周辺だけが下降しているとのこと。何故このような現象が起きるのだろうか。考えられる要因はいくつかある。1つは、重しの氷が溶けて地面が隆起しているという説。国土の約10%が氷で覆われているアイスランドでは、1年に約100億トンの氷が消滅している。毎年約100億トンの重しが無くなっているのだ。もう1つは、氷河の万有引力が弱まり、引きつけられていた海水が離れつつあるという説。あのニュートンの万有引力だ。物と物は引きつけ合う。質量が大きくなるほど引力は強くなる。大質量のグリーンランドの大氷河が溶けて質量が小さくなり、引きつけていた大量の海水を離しつつあるからだ。NASAの研究者によると、グリーンランドの氷河融解などが原因で世界の平均海面水位が1m上昇した場合、アイスランド周辺の水位は20cmほど低下するという。温暖化、温暖化と騒いでいるが、所変われば悩みも変わるようだ。