惰眠を貪る会計検査院

政府が新型コロナウイルス対応へ用意した「コロナ予備費」と呼ばれる予算がある。政府は12兆円の使い道を国会に報告した。ところが、日経新聞が分析した結果、最終的な用途を正確に特定できたのは8千億円強にとどまったとのこと。9割以上は具体的にどう使われたか追いきれないのだ。通常、政府は特定の政策を目的にした歳出を細かく積み上げて予算案をつくり、国会審議を経て出費できるようになる。その例外が予備費だ。金額だけあらかじめ計上しておき、使い道は政府の閣議だけで決められる。政府は最近は年5千億円程度の予備費を準備し、災害など不測の事態に備えることが多い。緊急事態に備えて予備費を準備することは意味があることだ。でも、コロナ予備費は総額20兆円にのぼった。GDPの数%に相当する巨大な予算を国会審議を経ずに執行できる仕組みは極めて異常だ。たとえ予備費といえども、外部から適切にチェックできる体制が必要だ。会計検査院は惰眠を貪っているのだろうか。