戦争犯罪で裁けるか

ウクライナのブチャやボロシャンカなどでロシア軍の撤退後、民間人とみられる遺体が見つかった。後ろ手に縛られたまま頭を打ち抜かれた男性や強姦された女性など民間人への加害行為が明らかになった。欧米各国も日本も「戦争犯罪」だとロシアを一斉に非難し、国際法廷で責任を追及する姿勢を強めている。国際刑事裁判所ICCは戦争犯罪の可能性があるとして捜査を開始した。国際司法裁判所ICJはロシアに対し軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置を出した。だが、2つの裁判所とも、大国が関わり合う紛争解決にはほとんど役に立たないという。国連は「戦争犯罪」について「戦闘状態における軍隊による民間人に対する攻撃」と定義しているが「戦争犯罪」を成文化した単独の国際法は無い。ロシアはクリミヤ併合後ICCを脱退したし、米国も中国も調印していない。現場を指揮した司令官などを戦争犯罪人として特定することは出来たとしても、政府の最高政策決定者の責任追及となると、至難の業だ。プーチンが実際に命令を下したという事実が判明しても、プーチンが国外に出国しない限り身柄を拘束出来ず、身柄を拘置しなければ公判は成立しないという。口で言うのは容易いが、プーチンを戦争犯罪で裁くのは、至難の業と言えそうだ。