実態を知らない無知が

最近は地デジの情報番組よりもBSの報道番組を見る方が多くなった。理由は明解だ。昼間の地デジの情報番組に登場するコメンテェーターは一茂に代表されるように、ナンチャッて専門家で何の役にも立たないコメントが多いからだ。その点、BS報道番組は、その道の専門家を揃えているので、情勢を理解し易い。それでも問題はある。BSフジ「プライムニュース」のウクライナ情勢について、伊勢崎賢治東京外語大教授が出演した。伊勢崎教授は、NGO・国際連合職員として世界各地の紛争地での紛争処理、武装解除などに当たった実務家としての経験を持ち、紛争解決請負人とも呼ばれているという。その伊勢崎教授が「ゼレンスキー大統領が、国民も銃を持って戦えと言ったことは間違い。これでは一般国民も兵士と見做され攻撃されてしまう」とコメントした。確かに肯けると思った。ところが一方で、ある番組で廣瀬陽子慶大教授は「チェチェン紛争であったように、ロシアが無差別に病院や学校を砲撃するのは常套手段で、その常道を外れた攻撃が相手を降伏に追い込むのだ」とコメントしていた。伊勢崎教授は一般論で、廣瀬教授は現実論だ。戦争は現実に起きている。正解は明らかだ。伊勢崎教授と廣瀬教授の間に、ロシアに対する認識に雲泥の差が有り過ぎる。実態を知らない無知が、誤った方向へと導くのがとても怖く感じる。