生乳の大量廃棄

岸田首相が、生乳の大量廃棄を防ぐため年末年始にいつもより1杯余計に牛乳を飲むよう国民に呼び掛けた。首相が特定の農産物の消費を呼び掛けるのは異例だ。年末年始に生乳が5000トンも余って廃棄されるという。机上計算では、日本の人口の4分の1、約3000万人が年末年始に牛乳をコップ1杯飲めば6000トンを超える。岸田の呼び掛けに応え、スーパーや食品メーカーが消費を後押ししようという動きが広がっているとニュースが伝えている。大量廃棄の要因は、コロナ禍でホテルや土産物向けなどの需要が減少していることと、冬休みに入り学校給食での消費が無くなったことだという。でも、通年でスーパーやコンビニや家庭で賞味期限切れで大量の生乳が廃棄されているのが現実だ。年末年始の5000トンは、小さなピークの1つに過ぎない。生乳の廃棄には構造的な問題がある。更に言えば、日本の食品ロス量は年間600万トンも発生している。岸田は5000トンの問題よりも600万トンの問題に取り組むべきだと思う。しかし、人間にはそれ相応の能力に限界がある。日本の首相は5000トンレベルの問題にしか取り組めないということかもしれない。