破壊から建設へ

米大統領選で何故バイデンが勝って、何故トランプが負けたのかには諸説がある。その一つが現代貨幣理論Modern Monetary Theory所謂MMTだと言われている。MMT経済理論では、通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため「財政赤字で国は破綻しない」と説く。主要国は巨額の債務を抱えるがインフラや医療保険などに財政資金をさらに投じるべきとの考えに立っている。そもそもトランプが大統領に選ばれたのは破壊と建設のうち破壊の任務を与えられたからだ。事実、戦後から定着してきた自由貿易、国際協調、TPPなどの共同市場を破壊し続けてきた。今後もこのまま続くとトランプは内示を受けていたはずだ。ところが、コロナでアメリカ経済は大不況に向かうことが確実になったので、破壊を建設に切り替えることになった。10月には世界中央銀行の番人であるIMFが、従来の財政健全化路線をMMT路線に切り替えた。ここで潮目が変わったのだ。バイデンは財政支出で経済を支える用意があると言っている。この政策はMMTに合致しているとステファニー・ケルトンも言っている。米国の陰のキングメーカーは、大統領選直前になって破壊から建設に舵を切った。破壊のトランプから建設のバイデンに乗り換えたのだ。だから、バイデンが勝ったし、トランプも負けを認めないのだ。という説もあるようだ。