受信料制度改正の前に

受信料の徴収をめぐり、NHKが放送法の改正を求めている。NHKの大義名分は受信料徴収コスト300億円の費用削減だが、その根底にあるのは「肥大化路線」だ。総務省の有識者検討会で、NHKはテレビの未設置者にも届け出を求めたが、設置者のみに修正された。NHKの要望に対しては、民放各社や新聞社からも強い批判が起きている。民放連は、届け出を求めなくても業務の見直しでコストカットは可能だと主張し、新聞協会は、受信料制度は公共放送が担うべき業務範囲の明確化とセットで議論されるべきで、まず業務範囲を自ら抑制的に規定することを最優先するべきだと主張している。自分はこのブログでNHKの在り方について何回も主張しているが、新聞協会と同じ意見だ。受信料制度を合憲とした2017年の最高裁判決以来、NHKは図に乗っている。最高裁は「NHKが受信設備設置者の理解が得られるように努め、これに応じて受信契約が締結されることにより運営されることが望ましい」と判決を下した。最高裁は税金や保険料のように支払いを義務化して良いとは言ってはいないのだ。最高裁判決は片手落ちだ。新聞協会が主張するように、受信料制度は公共放送が担うべき業務範囲の明確化とセットで義務化すべきと判決すべきだったと思う。