アインシュタイン・リング

コロナの影響で、世界の天文学者たちも大型天体望遠鏡にアクセス出来ない状況にあるようだ。でも宇宙の謎への探求が止まってしまった訳ではない。二人の天文学者がロックダウンの最中、過去のデータを引っ張り出してアインシュタイン・リング現象の元となる銀河系への距離を割り出すことに成功したとのこと。天体研究において、距離の計測は絶対に必要な最初のステップだ。銀河系MG1131+0456によるアインシュタイン・リングは1987年に発見されたが、未だに距離が割り出されていなかった。距離が分かると、宇宙の膨張の過程や暗黒物質の探査などで、重力レンズをツールとして利用することが出来るようになる。アインシュタイン・リングとは、ある銀河と地球の間に天体が存在すると、ある銀河から発する光が天体の重力により歪められリング状に見える現象で、重力で光が歪められる現象を重力レンズ効果という。光が重力で歪められるのは、まさにアインシュタインの相対性原理だから、洒落たアインシュタイン・リングという名が名付けられているという。天文学は何てロマンチックな学問だ。