灰色のサイ

毎日鬱陶しい曇天が続いている。梅雨に入ったのだからしょうが無い。あとは梅雨明けを待つしか無いと思っている。ところが、テレビニュースでは流れていないが、中国では各地で集中豪雨による大規模な洪水が発生しているとのこと。中国当局は、80年に一度の規模の大洪水だと警告を発し、24の省で850万人が被災したと発表した。中国の三峡ダムの上流にある四川省の発電所の施設と周辺の村が土石流で崩壊し、三峡ダム決壊への懸念が再燃した。三峡ダムは世界最大の水力発電ダムで、中国の全電力の2%を供給している。最新原発の16基分に相当するというから規模の壮大さが分かる。でも、建設当時から地質の脆さによる崩壊が危ぶまれていた。昨年は基礎の直線部分が湾曲していることが指摘されている。それに今回の80年に一度の大洪水が加わるのだから、決壊は目前だ。三峡ダムに詳しい水利専門家は、三峡ダムが崩壊すれば、長江の中下流にある宜昌市や湖南省岳陽市から、長江の入り江に位置する上海市まで、甚大な被害をもたらすと強く懸念しているという。予想外の出来事をブラック・スワンと言う。でも三峡ダムは建設以前から危険性が指摘されていたので、大問題に発展する確率が高いのに軽視されたリスクである「灰色のサイ」と言われている。スワンやサイが現われる前に、当局の決壊防止策が打たれることを願うしか無い。