長期安倍政権の評価

安倍首相の通算在任日数が今日で2887日となり、明治以来桂太郎を抜いて最長となった。人間にとって長生きは好ましいことだとは思うが、果たして政権にも当てはまるのだろうか。真摯に考えるべき事だと思う。安倍政権がヨチヨチ歩きだった頃、日本の首相は1年替わりで入れ替わっていた。それに較べれば7年は相当長い。当時イタリア歴史に詳しい塩野七生が「安倍に10年くらいやらせてみたら」と言っていた。西欧の歴史から見ても大切なのは政治の安定化だと確信していたからなのだろう。自分もある程度長期政権が必要だとは思っていた。でも、結果はどうだったのだろうか。7年間の実績は惨たるたるものだったと思う。それまでの首相の1年間の実績と7年間の実績が対等と考えれば、7年間の実績は1年生首相の7倍であるべきはずだ。でも高々1~2倍でしかない。塩野の目論見は外れていた。安倍政権の長期化の要因は、安倍個人の力量ではなく、小選挙区化、官僚の人事権掌握、内閣情報局の私物化だったのだと思う。安倍政権は実績を残したのだろうか。アベノミクスは株価が上がっただけ。反面格差が増長した。それだけではない。日銀は国債と株を買いあさり、年金機構は株に年金を注ぎ込んだ。余りにも巨額なため、換金すると株が暴落するので最早回収は不可能だ。後世になると安倍政権は日本に致命的な欠陥を遺したと評価されるかもしれない。