本物のノーベル経済学賞

2019年ノーベル経済学賞が、MITのバナジー教授、デュフロ教授とハーバード大のクレマー教授に授与されると発表された。授賞理由は「世界的な貧困の緩和への貢献」。3氏は、学校教育や子どもの公衆衛生の改善のため、実験により効果を確かめた貧困の具体的な解決手段を提唱。貧困を解消するための最適な政策を導入する基礎を築いたのが授賞理由だ。今までのノーベル経済学賞の授賞対象と較べてユニークだ。元々正式な「ノーベル経済学賞」というものは存在しない。正式には「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」と呼ぶ。「ノーベル経済学賞」は通称だ。経済学はその時代に即した理論といえる。時代や体制が変われば、通用しない理論ともいえる。現に現代はケインズ経済理論が成立しない時代とも言われている。だが、今年の授賞対象はどの時代でも通用する普遍的な貧困の解消だ。まさに今年は「ノーベル経済学賞」に値する授賞内容だと思う。