建国70年の果て

中国建国70周年を迎え、北京の天安門広場で軍事パレードが行われた。兵員数、戦車、ミサイルなど過去最大規模のパレードだった。習主席は「中国は世界の東方にそびえ立ち、いかなる勢力も中華民族の前進を阻むことはできない。我々は平和発展の道を堅持し、ウィン・ウィンの開放戦略を実施する」と訓示した。習主席の野望は、中華民族の偉大なる復興、社会主義現代化国家の樹立、世界一流の軍隊の建設と言われている。言い方を変えれば、漢民族による少数民族への弾圧、共産党富裕層による国家権力の独占、他国に有無を言わせぬ軍事支配といえる。最大規模の軍事パレードは、兵力の増強こそが正義だと言わんばかりだ。訓示との乖離が余りにも大きすぎる。中国の報道官のコメントを聴くといつもそう思う。外国がウイグルやチベットの迫害を問題視すると、必ず報道官は「内政干渉するな」と言う。だが、少数民族の迫害は、中国内部の問題ではなく、人類に共通した人権問題だ。人権問題を内政干渉で覆い隠そうとする体質と、軍事力増強で他国を支配することが平和とする体質が現代版中華思想の根幹なのかもしれない。