豪傑が張りぼてに

幻冬舎の見城社長が「ヒッキーヒッキーシェイク:津原泰水」を文庫本にする予定を急遽取り止めさせたことが問題化している。経緯はこうだ。幻冬舎の編集担当者が津原に文庫本化を懇願した。販売部数が少ないのにと思いながら津原は承諾した。見城は販売部数が少ないことを理由に反対したが、担当者の熱意に絆されて承諾した。ところが、その後津原が幻冬舎のベストセラー「日本国紀:百田尚樹」は他の出版物と類似していると批判したことを知り、頭にきて急遽見城は文庫本化取り止めを命令した。批判を受け見城はツイッターで「元々自分は反対していた。販売部数は1800部しかなかった(雑魚だ)。(経営判断を少し間違えたに過ぎない)」。だが、このツイッターで、実部数を公表したこと、この作家は売れないと触れ回ったこと、作家に対し敬意が無く物の価値としか捉えていないこと等々、作家の批判の火が点いた。作家たちの見城幻冬舎への猛反撃が始まった。見城は3つものミスを犯した。見城は出版したいものを出版するために幻冬舎を買い取り非上場にしたはずだ。初心を貫き出版の是非を自分で判断すべきであった。ところが、その判断を一担当者に丸投げした。これが第一の間違い。恐らく箕輪厚介という幻冬舎のカリスマ編集者におんぶにだっこ状態に味を占めてしまった結果なのだろう。2つめは社長としてのミスジャッジ。初めからダメならダメと言えば、社長としての尊厳は保たれたはずなのだが。3つめは決断を翻したこと。なんちゃって決断がバレてしまった。もう、見城の元には愛読者も編集者も戻りそうもない。全ての人が見城の豪傑さが張りぼてであることを垣間見てしまったようだ。