打たれ強さの欠点

メイ首相は打たれ強い。メイ首相のEU離脱案は英議会で2度も大差で否決され「合意なき離脱」は免れたものの「6月末まで離脱延長」が議会から承認された。意気揚々とEU会議に乗り込んだが、EUはメイ首相に4月12日までに「合意なき離脱」か「離脱の長期延期」のどちらかを選ぶように言い渡した。メイの「6月末」案はEUに蹴られて「4月12日」に短縮させられた。英議会で2回も殴られ、EUには平手打ちを喰ったようなもの。普通の人ならもうとっくにのびている。このまま帰れば子供の使いだ。EUの御用聞きのようなもの。打たれ強さが交渉を泥沼に引き込んでいる。迷走させた要因はメイの交渉力の弱さにもある。この交渉のスタートはEUの「英国にいいとこ取りはさせない」からだった。だから交渉の主導権は常にEUにあった。でも英国が本気で離脱を目指すなら、同意なき離脱も選択肢の一つと打ち出すべきだった。合意なき離脱は、EUに英国以上に打撃を与える。合意なき離脱から交渉を出発すれば、主導権は常に英国側にあったはずだ。どうやら、メイの交渉力の弱さと打たれ強さが英国を迷宮へ導いているようだ。