日本人の勝算

今年の春闘は労使ともベアへの拘りが薄れているという。景気が縮む局面に入り官製春闘が腰折れしているからだ。安倍首相が経団連に賃上げを頼んでも、安倍政権がこの国の将来像を描けないから、経営者は不安に思う。だから賃上げは進まない。ところが、少子高齢化の日本を将来輝くものに導き得る本がある。今ベストセラーとなっている「日本人の勝算:デービッド・アトキンソン:東洋経済」だ。この著者は「少子高齢化でパラダイムが変わったから、これまでの方法は通用しない。日本がGDP世界3位なのは人口が多いから。一人当たりのGDP(労働者の生産性)は29位と低い。一方人材の質は4位と高い。今後は労働者の生産性を上げる必要がある。そのためには計画的に最低賃金を上げる政策をとることが必要。そのための政治主導が欠かせない。経営者に任せておくと益々デフレスパイラルに落ち込み貧困国になってしまうから」と主張している。更に再教育の必要性を説いているが、経営者や政治家が最も勉強しないのが日本の大問題と言っている。この本は全ての日本人が読むべきものだと思う。次なる日本のリーダーにとってのバイブルとも言える。ニューリーダーの出現を切に願いたい。