人類の万能薬になるかも

大阪大などの研究チームが、寿命や老化現象に関わるたんぱく質を発見したと英科学誌に発表した。その名はルビコンRubicon。ルビコンそのものは2009年に大阪大の研究者により発見されていた。ルビコンはオートファジーを抑制する。例えば脂肪肝はルビコンの増加により脂肪の分解が抑えられるためだと知られている。オートファジーとは、生物が飢餓を乗り越えたり、細胞を新陳代謝したりするために、細胞内の不要物を分解し再利用する現象。病原体など有害物を除去する働きもある。細胞内に隔離膜と呼ばれる膜が現れて不要物を包み込み、分解酵素を含んだリソソームが融合して不要物は分解される。その分解酵素の働きを阻害するのがルビコンだ。研究チームは、マウスなどでルビコンの有無による差を調べた。そしてルビコンが無いと寿命が1.2倍延びることを確認したという。今後ルビコンを生成しない薬の開発が焦点になる。その薬は人類の万能薬になるかもしれない。オートファジーでは、大隅東工大名誉教授が2016年にノーベル医学生理学賞を受賞したが、大阪大のルビコンも受賞対象になる可能性は大きそうだ。