EU離脱案否決後の行方

英議会が、EUと合意したEU離脱案を否決した。それも、反対432、賛成202の大差で否決された。メイ首相は1月21日までに代替案を議会に提出することを求められているが、可決が見込める代替案の提出は不可能だろう。このまま行けば3月末に合意無き離脱へ突入することになる。離脱を決めた国民投票時と現在では状況が変化している。国民投票当時は、移民により仕事が奪われる、テロリストの流入に繋がる、EUの細かすぎる規制、EUへの拠出額の大きさ等を問題視してきた。謂わば先行きの不安が対象だった。でも今は違う。アイルランドとの国境問題。これが解決しないと英国は永遠にEUの支配下に残ることになる。反対票が激増したことも肯ける。かと言って、合意無き離脱をすれば、英国経済はリーマンショック以上の衝撃を受ける。合意無き離脱によるデメリットを考えれば、離脱に賛成する英国民は殆どいないだろう。今は離脱による影響は不安ではなく現実的なものになっている。当面の解決策は、離脱日を延期することしかありそうもない。英国民は今一度頭を冷やして考えるべきだと思う。