産業革新投資機構騒動

産業革新投資機構と経産省が対立し、民間出身の取締役9人全員が辞任した。報道の第一報は報酬問題。1億円超の約束が3千万円に減らされ辞任とのニュース。しかし、それだけが本質ではなさそうだ。産業革新投資機構とは、政府が2兆円の資金を供給し、民間が有望な先端技術の事業化に投資する投資ファンドだ。政府は大金を持っているが投資の目利きが出来ない。民間は金は無いが有望かの判断は出来る。両者が噛み合えば新しい産業が興せるという目論見だった。ところが、役員報酬1億円を3千万円に減額された民間役員が政府の豹変に不信感を持った。一方、政府は投資の手法に疑念を持った。相互不信ということだ。これでは上手くいくはずがない。問題は、報酬1億円が単に官僚の一案で政府案では無かったことを、民間が政府案だと思い込んだことと、孫ファンド設立により政府が投資内容を把握出来ず民間のやりたい放題になりコントロール不能になるのではないかと恐れたこと。政府・官僚と民間は水と油だ。界面活性剤が介在しなければ安定なエマルジョンは出来ない。界面活性剤的人材が欠如していたということだろう。そう言えば、厚労省の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人GPIFは今どうなっているのだろう。