マクロンの敗因

フランスで「黄色いベスト」の嵐が吹き荒れている。最初は燃料税引き上げに対する一般市民の反対運動だったが、暴徒も加わりシャンゼリゼ通りまで瓦礫の山になっている。事の起こりはマクロン大統領の財政再建計画。国民一般に広く増税し、法人に減税というバランスの悪い金持ち優遇と優遇され過ぎの公務員のリストラが柱になっている。この黄色いベスト運動の支持者は、今や国民の過半数を超え、マクロンは増税の延期・撤回を余儀なくされている。果たしてフランスにとって財政健全化は喫緊の課題なのだろうか。IMFが公表した各国の財政状況を見ると、フランスは若干負債が資産を上回っているが、英国ほどではない。でも英国では財政健全化など問題になっていない。マクロンがまずすべきことは歳出の削減だ。優遇された過剰の公務員の処遇を見直し、ある程度リストラすることが、国民の支持を得ることに繋がるはずだ。今時法人税を減税したところで、企業が集まってくる時代でもない。法人税減税に見合う国民一般への増税など机上の計算に過ぎない。マクロンは国の財政だけを見て、国民を見ていないのが敗因のようだ。