核燃料サイクルの完全破綻

フランス政府が次世代型原子炉ASTRIDの開発を中止すると日本側に伝えてきた。ところが、政府もマスコミも騒がない。極めて奇妙だ。日本の原子力政策は、核燃料サイクルが完成することを前提に進めてきた。だが、2016年に高速増殖炉もんじゅの廃炉が決まり、核燃料サイクルは破綻した。それでも政府は足掻いてプルトニウムを消費出来る次世代型原子炉の完成に賭けた。だが日本には技術が無い。そこでフランスとの次世代型原子炉ASTRID共同開発に望みをかけた。しかし、頼みの綱のASTRIDが開発中止になったため、核燃料サイクルはどこにも出口のない袋小路に入り込んでしまった。核燃料サイクルは完全に破綻したのだ。いま日本には原爆6000発分に相当するプルトニウムがある。青森県は核燃料サイクルが破綻すれば、六ヶ所村の再処理工場から使用済み核燃料を全国の原発に送り返すという方針を示している。すると日本中の原発の核燃料プールは使用済みの核燃料で一杯になり、発電が出来なくなるばかりでなく、未来永劫に保存・管理をしなければならなくなる。いま降ってきたように経産省は産業革新投資機構の高額役員報酬で揉めている。核燃料サイクル破綻問題を目立たたせないための目眩ましのように映る。