志の違いで混迷と秩序に

15年ぶりにマハティール首相が復帰し始動した。選挙公約は、消費税廃止や最低賃金の引き上げ、高速道路の無料化、教育の無償化などだった。このバラマキ政策を経済の持続的成長に繋げるには相当の手腕が試されそうだ。政権は、まずナジブ前首相の汚職疑惑の追求を優先し、失われた国民の信頼を取り戻す考えとのこと。更に行政、立法、司法の三権分立を強固なものにしていくという。安倍政権とは似ているようだが、本質的に真逆な方向にある。いま日本では安倍一強により、三権分立が揺るがされ政権のやりたい放題の状態になっている。まさに政治の私物化だ。消費税についても、増税か凍結かを政争のネタにしているし、高速道路料金は永遠に無料化されそうもない。国民から巻き上げられるものは全て巻き上げてしまおうとの魂胆だ。そこには国民の生活を豊かにしようとする気配は感じられない。マハティールには1997年のアジア通貨危機を乗り切った経験がある。タイや韓国はIMFに財政支援を求めた結果、緊縮財政を余儀なくさせられ全ての国民が疲弊した。だがマハティールは、為替の固定化、財政支出の拡大、金利の引き下げなどの景気刺激策に打って出て、この難局を乗り切りマレーシア経済を浮上させた。今後もマハティールの国を思う経験が物を言いそうだ。両者の志の違いが、国を混迷と秩序に導いているように映る。