半端じゃないホンダイズム

空のホンダが絶好調だ。小型ジェット機市場で、あのセスナ・サイテーションM2を抑え世界一のシェアを達成したとのこと。ホンダが小型ジェット機を作っていたことは知っていた。だが、バイクの次に自動車を作り始めた会社が、小型ジェット機を作るのは余りにもギャップがあり過ぎて、所詮不可能な挑戦だと思っていた。だからこのニュースにはマジに驚いた。ホンダジェットは自社製のジェットエンジンを開発し、エンジンを主翼の上に配置することにより、クラス最高水準の最高速度、燃費性能、静粛性や7人乗りの室内サイズを実現したとのこと。更に驚いたことがある。開発を開始したのが1986年で受注を開始したのが2006年で、この間30年間も売上げはゼロだという。事業化を前提としない研究目的とはいうが、この期間の長さは半端じゃない。1機5億2千万円のジェット機を2017年は43機売ったから、売上げは224億円だが、営業損益は300億円の赤字だという。ビジネスとして軌道に乗せるには、まだまだ苦難の道が続きそうだ。でもエアタクシー会社から16機受注し、未来は明るそうだ。それにしても、創業世代から続くホンダ流の我慢の新事業育成法には驚嘆させられる。スケールのバカデカイ会社だと思う。「いつかは空へ」という夢を実現した今、創業者本田宗一郎は満足な顔をして天国から見守っていることだろう。