塩か脂肪か

会社勤めの頃はいつも血圧が高かった。最高血圧が160を超えており、身体がジンジンしていた。とうとう薬で血圧を抑えるようになり、それでも150は超えていた。リタイアしてから、仕事のストレスも無くなり、カミサンの減塩作戦の効果もあり、130台に収まるようになった。厚労省の食事摂取基準は1日の理想的な食塩摂取量を男性8グラム、女性7グラムと定めている。何処の医者でも、減塩しなさいと言う。塩こそが高血圧の元凶というのが常識中の常識だ。ところが、最近それを否定する学説が脚光を浴びているようだ。高血圧の元凶は、塩ではなく脂肪だという。血管に溜まった脂肪の塊が血管の内径を狭め、流れる血液の圧力を高めるから。日本人男性4001人を追跡した国立健康・栄養研究所の調査によると、BMIと高血圧発症とは大きな相関があるという。塩は間違いなく血圧を上げるが、塩の効果は短期的で持続性があるとは考えにくい。血管内に脂肪の塊であるプラークが出来ると、短時間では無くならないから高血圧状態が続くと考えると、とても納得性がある。料理にとって、塩は魔法の粉だ。少な過ぎれば味気ない。多過ぎれば辛くて食えないし身体にも悪い。適量こそが素材の味を引き出してくれる。脂肪説が確定した暁には、塩の添加量は美味しさが基準になる。早く確定することを願いたいものだ。