懐かしいプランク定数

質量の単位「キログラム」の定義が130年ぶりに書き換えられることになるようだ。現在パリに重さ1kgの分銅「キログラム原器」が保管されている。地球上の全ての重さはこれが基準になっている。元来1kgとは1リットルの水の重さと定義されていたが、条件により変動するため、白金とイリジウムの合金で原器が作られた。これも僅かに変化するため新たな基準が求められていた。国際単位系は基礎物理定数による再定義が進んでいる。メートルも嘗ては合金製のメートル原器だったが、299,792,458分の1秒間に光が真空中を進む距離として再定義された。国際単位系で時代遅れの定義が残っていたのが質量の単位だ。新しい定義はプランク定数に基づくという。プランク定数とは量子論の基本的な普遍定数で、光子のもつエネルギーと振動数の比例関係をあらわす比例定数のこと。まさか大学時代に量子力学で習ったプランク定数が、質量の単位に関係するとは夢にも思わなかった。産総研は高純度なシリコン結晶で定数を精密に測定し、これまでより詳しい小数点以下43位までの値を特定。キログラムを厳密に定めるのに必要な水準をクリアしたとのこと。来年11月の国際会議で正式に決定される予定。日本が国際単位の基準に関わるのは初めてだ。まずは目出度し、目出度し。