平たい三角屋根

異常に蒸し暑い関東を逃れて長野県白馬に来た。我が家は二人とも山歩きは好きではない。そこで、気軽に行ける白馬五竜高山植物園を選んだ。ロープウエーに8分乗るだけで標高1,500mの高山植物を観ることが出来る。気温も湿度も低いし空気もきれいだ。一応目標を達することが出来た。白馬は自分にとって思い出の場所でもある。50年以上前に生まれて初めてスキーをしたのが八方尾根スキー場。初めてだというのにうさぎ平の上まで行かされ、狭い崖のあるリーゼンコースを麓まで必死で滑り下りた記憶がある。当時宿泊したのが対岳館という旅館。散策がてらに探してみた。対岳館は現存していた。昔は平たい三角の赤いトタン屋根だった。今は対岳館ホテルと名前が変わり、佇まいは小洒落たホテルに生まれ変わっていた。ただ平たい三角屋根だけが昔の面影を残していた。今の時点で昔の思い出の場所へ行くことは簡単に出来る。だが50年後にこの場所を再び訪れることなど、50年前には想像だに出来なかった。そのギャップに果てしなく長い時間が過ぎたことを実感した。偶には昔の思い出の場所を訪れるのも良いものだ。