賭け事好きな英国首相

英国のメイ首相が、下院を解散して2020年5月に予定されていた総選挙を今年6月に前倒し実施すると緊急声明を発表した。狙いは、現政権を支持するかの民意を問い離脱交渉に向けて安定した足場を確保することだと言う。総選挙の争点は、EU離脱に伴って欧州単一市場からも離脱するか否かとのこと。10カ月前の国民投票では、離脱51.9%、残留48.1%の僅差で離脱が決まった。その後離脱に伴うデメリットが明らかになり、基本的なシミュレーションすらもされずに国民投票が行われたことが判明してしまった。状況は変っている。残留派が勢いを増しているものと思っていた。だが、英国は3月末に正式にEU離脱を通告した。賽は投げられた。今更残留への後戻りは出来ない。本来、メイ首相は離脱通告前に解散総選挙で民意を問うべきだったと思う。では現時点での解散総選挙には如何なる意味があるのだろう。勿論メイ首相が圧勝すれば思惑通り進むのだろう。しかし、万一惨敗すればEUとの交渉も進まず、英国は2年後には漂流することになる。国民投票もキャメロン首相は残留が確実と見込んでいたが離脱になった。さて、総選挙では国民投票の二の舞になることはないのだろうか。賭け事好きが、賭け事に強いとは限らないのが現実だ。