東芝の禁じ手と天の声

東芝が2度にわたり延期していた2016年4~12月期連結決算を発表した。最終損益は5325億円の赤字。米原子力子会社の会計処理や内部統制をめぐり監査法人と見解が折り合わず、監査法人が決算内容に「適正」を付けない異例の公表になった。通常、監査法人が「適正」のお墨付きを与えてこそ、第三者の目で見て問題なしとの証明になるが、監査法人は「適正」「不適正」を明確にしない「意見不表明」とした。監査法人の「適正」が無いから、東芝の決算書はテストを自己採点したようなもの。信頼性は無い。もし、東証が「意見不表明」について「悪質で市場秩序の維持が困難」と判断すれば、上場廃止になる。「意見不表明」は不法ではないが、禁じ手だ。東芝は既に内部管理体制の改善を求められる「特設注意市場銘柄」と、上場廃止を検討する「監理銘柄」に指定されている。それだけに「意見不表明」が上場廃止の決定打になりかねない。ところが、東芝は何故か強気だ。「内部統制は有効」と開き直った。断崖絶壁の崖から既に片足は浮いているというのに、この自信のある発言は何処から来るのだろう。一説によると「天の声」に基づいているという噂もある。今や東芝案件は国家プロジェクトだ。上場廃止は国が阻止するということなのだろう。でも、虎の子の半導体事業を売ってしまえば、カス事業しか残らない。国は何故東芝を助けるのだろうか。助けるには何か別の理由があるはずだ。