放射能汚染に罰則を

放射能汚染犯に罰則を科そう、そんな法律の制定運動が広がりつつあるようだ。考えてみると大公害である放射能汚染に対し何故罰則が無いのか不思議だ。日本の公害が極めて酷かった昭和40年代に公害防止法が制定された。大気、水質、騒音、振動が規定され、違反すると罰則が設けられた。自分は化学会社に勤めていたので、水質第一種公害防止管理者という国家資格を取ったことがある。でも、当時は放射能汚染は規定されていなかった。規定されたのは福島原発事故の3年後。やっと放射能汚染が公害と定義されたものの、放射性物質の規制基準と環境基準が定められておらず罰則も無い。放射性セシウムが土壌に付着しても、汚染水が海に流れても刑事責任を問われる人は誰もいない。原子力政策を押し進めてきた政府の責任は極めて重い。汚染や被ばくに責任を負わない仕組みが、自主避難者への住宅支援打ち切りなどに繋がっている。安易な原発再稼働の流れも、事故時の責任が問われないことが一つの要因になっている。避難することは、公害被害者の権利と言える。今村復興相の「福島に帰れないのは本人の責任。裁判でも何でもやればいい」発言は、事故の責任を誰も取らず、国に加害者意識が欠如しているからだ。是非とも原発事故に罰則を与える「放射能汚染防止法」の早期な制定を願いたい。