藪の中のシリア

アサド政権が化学兵器で、子供を含む多くの市民を死傷させたとの情報に基づき、米国がダマスカスをミサイル攻撃した。米国がシリアを直接攻撃したのはこれが初めて。大統領がオバマからトランプに替わり、対シリア戦略のフェーズが変ったということだろう。驚いたのは、攻撃が習近平主席の訪米中に行われたことだ。しかも、会食中にトランプから習に直接伝えられたという。外国首脳の面前で軍事行動を起こすということは極めて異常だ。異常だからこそトランプはチャンスとばかりに、この時を選んだのかもしれない。習に対し、米国は本気になったら何でもやるぞ!という脅し効果は充分だったに違いない。習はシリア攻撃を容認したとのこと。でも、これは米国側の発表だから、後日中国が同じ内容を発表するとは限らない。寧ろ、米国とは全く異なる内容を発表することになるのだろうと思う。そもそもアサド政権が化学兵器を使用したという証拠は無い。シリア攻撃の引き金は、トランプが「一線を越えた」と認識したことだ。シリア情勢は混沌としている。テロ集団を操っているのはCIAとの噂もあるし、米国がテロ集団の撲滅をはかっているとの話もある。全ては藪の中だ。最早順当な解決策は無い。米国とロシア両国で折り合う点を探すしか無いようだ。