縦割り行政 vs 横串行政

全国で高齢ドライバーの自動車事故が相次いでいるという。マスコミは最近高齢者の事故が急に増えていると報道しているが、本当だろうか。警察庁交通局の報告書「平成27年における交通事故の発生状況」によると、この10年右肩下がりで事故は減っている。決して増えてはいないのが事実だ。年齢層別の交通事故死傷者でみると、20代は70代の3倍もある。免許保有者10万人当たりの交通事故件数は、20代がトップで、80代が続いている。このデータを見る限り、20代の交通安全再教育が最優先されるべきだと思うが、的は高齢者に絞られている。マスコミの加熱な報道は少し恣意的に思えてならない。国交省が高齢者をスケープゴートにして、自動運転や自動ブレーキの技術開発を推進しようとしているようにも見える。しかし、確かに年を取ると動作が鈍くなるし、認知症の恐れもある。最近は認知症テストで免許返納を呼びかけている。返納しても生活に支障の無い人はよいが、支障の出る人を如何に救済するかは考えられていない。縦割り行政の欠点の最たるものだと思う。高齢者の事故撲滅一つをとっても、総合的に対策を取る仕組みも無いし、人物もいない。国交省と厚労省と総務省を連携させる横串行政は、何故出来ないのだろう。