横綱昇進の要件

大相撲の人気が若貴フィーバー以来再び盛り上がり、連日満員御礼が続いているようだ。一時は八百長や横綱審議会の問題で、人気がすっかり落ち込んでしまった。その頃から、自分は殆ど大相撲のテレビ中継を見なくなってしまった。だから、最近の四股名を見ても力士の顔が浮かばないし、それ以前に読めない四股名が多い。ウィンブルドン現象で多くの外国人力士が活躍している。それはそれで良いのだが、大相撲は国技なのだから、一人くらいは日本人の横綱がいてもいいのにと思っていた。大関稀勢の里が優勝し、横綱昇進が確実になり、19年ぶりに日本人横綱が誕生することになった。でも場所前に横綱昇進の話などは無かった。横綱審議委員会が横綱に推薦する内規は「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績を挙げた力士」。稀勢の里はその内規を満たしていない。ところが、この1年間の勝率は82%と極めて高い。若貴以降の歴代横綱で、貴乃花の88%に次ぐ成績を残している。若乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬、日馬富士は2場所連続優勝で昇進したが、勝率は稀勢の里に劣る。偶々連続優勝出来たので横綱になれたとも言える。審判部は14日目で横綱昇進に異論が出ず、理事長は千秋楽の白鵬戦の内容を見て判断するとの姿勢をとっていた。いずれにしても安定した実力を評価し、内規に拘らず横綱昇進を認めたことは、大相撲界にとって、大きな前進だと思う。その柔軟さが大相撲に再び活気をもたらすのかもしれない。