ダボスの終焉

トランプ大統領の就任が間近に迫っている中で、ダボス会議が開かれている。ダボス会議と言えば、世界を代表する政治家や実業家が一堂に会して世界経済や環境問題などについて幅広く討議する場だ。政財界のトップが主張や存在感をアピールする場としても活用するようになり、ダボスでの議論は世界に強い影響力を持つまでになっている。今年のテーマは第4次産業革命。人工知能やロボット技術をどう進めるかが議論になっている。だが、現在の世界最大のテーマは、トランプ対策のはず。経営者は戦々恐々として不安と期待が入り交じっているに違いない。ところが、経営者からトランプに対する批判は一切出ない。どうやらトランプ批判を封印してしまったようだ。何のために世界トップの経営者や政治家が集まったのだろうかと思う。習主席が初めてダボス会議に出席し基調講演を行い、トランプの反グローバル化、保護主義を批判した。更に自由貿易を貫くため為替操作などをする考えは毛頭無く、ましてや通貨戦争をする気など無いと、心とは裏腹なことをコメントしたようだ。トランプ批判の封印とか中国の絵空事な講演内容を聞くと、ダボスの役割は既に終わってしまったのだと感じた。