生物ではない生き物

鳥インフルエンザとヒトインフルエンザが猛威を振るい始めた。インフルエンザと言えば、悪名高いあのウイルスだ。自然科学では、細胞があって、代謝、増殖出来るものを生物と呼んでいるが、ウイルスは細胞を持たないので非生物とも言える。ウイルスは生物の細胞に取り付いて増殖するまさに生き物だ。取り付くだけなら未だしも病原体として振る舞うから嫌われ者だ。ところが、ウイルスも人間の役に立つことがあるようだ。広島の国立研究所が、ウイルスを使い赤潮の原因となるプランクトンをほぼ死滅させる実験に成功したとのこと。実用化されれば、赤潮による養殖カキなどの大量死被害を防ぐことが期待されている。赤潮が発生する海域の海底の泥などに含まれるHcRNAVというウイルスが、赤潮の原因の一つであるヘテロカプサ・サーキュラリスカーマというプランクトンを死滅させるという。ウイルスを含む泥を海に撒けば赤潮の進行を防げるという具合だ。でも、実際の海域では泥も拡散してしまう。撒き方と拡散防止に工夫が出来れば実用化も夢では無い。ひょっとすると、ウイルスはカキやアサリなどの二枚貝にとっての救世主になるかもしれない。